相変わらずお忙しいご様子。ブラーのデーモン・アルバーンの新たなサイド・プロジェクトです。
オーソドックスなバンド・スタイルとなっているが、バンドの構成員は元クラッシュのポール・シムノン、元ヴァーヴのサイモン・トング、 元フェラ・クティ・バンドのトニー・アレン、そして新鋭プロデューサーのデンジャー・マウスと、豪華で個性的なメンツが勢揃いしています。
というか、僕はクラッシュのベースが大好きだったんで、それだけで「即買い」です。
今回は"ロンドンの暗部"というテーマがあるようで、一貫してどんよりとした黄昏れたムードに満ちています。
ただし個人的にはそれほど英国らしいサウンドには感じられず、その理由は前述のベースを初めとした異文化風味なリズム・セクションに依る所が大きいのかも。
やはりレゲエやダブを咀嚼した個性的なベース・ラインに目がいきますが、楽曲をグイグイ引っ張っていくほど目立ってはいません。あえて目立たせてないと言った方が正しいのかも。
デンジャー・マウスも、ゴリラズよりは控え目ながらキッチュな遊び心が感じられるもので、懐かしさと新しさを同時に感じさせる絶妙な音響処理です。
あくまで核にあるのは、デーモンの書くしんみりとしたメロディと、大人な歌声でした。それにしても彼、歌うまくなったよなぁ…。深いエコー処理が施されてるからそう感じるのかもしれないけど。
なんにせよメロディの良さが際立っていて、どんなプロジェクトでも曲の書ける人間がフロントにいるのは強いと実感。
彼の他の作品におけるソング・ライティングと比べるとフックに乏しい気もしますが、本質的には紛れもないポップとして響いているので、それさえも今作のコンセプトに相応しい選択だと思えば納得がいきます。
バックグラウンドの異なるメンバーの個性を、明快なコンセプトに沿って一つに纏めあげてしまうデーモンの手腕は、見事と言わざるをえません。
この人は現役を退いた後も、楽器をこなせて曲も書けるマルチなプロデューサーとして大成しそうな予感。
大袈裟かもしれませんが、どこをとってもデーモンの有り余る才能を感じずにはいられない作品でした。
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