ツェッペリンの2枚目のアルバムは、ツアーの合間を縫った慌ただしい状況の中で制作された。
それに関わらず、完璧な完成度を誇る1stと比べても遜色のない密度の濃い充実した内容に仕上がっている。
ブルーズ色を排しジミー・ペイジのゴリゴリしたリフで押し切る作風は、正にハード・ロックの王道であり原点とも言えよう。
それと共に、インプロヴィゼーションを中心としたギターやドラムのソロの増加は、ロックにおけるテクニック重視思考の悪しき雛形として記憶されてしまうこととなる。
衝撃的だった彼等の音は急速な勢いで世界に波及し、最終的にはビートルズに匹敵するほどのビッグ・セールスを記録してしまった。
金に物を言わせた破天荒なライフスタイルは、"持たざるもの"であるパンク世代から激しい批判を浮け、また彼等のスタイルだけを模倣したテクニックだけで中身のない自称ハードロック・バンドが乱立してしまった。
現在に至ってもその影響は強く、ロックのスタジアム化を嫌う層から"ハード・ロック"は、ある種の蔑称として扱われている。
僕も、いわゆるハード・ロックは嫌いだ。
そのハードさだけをデフォルメした"ヘヴィ・メタル"なんてもっと嫌いだ。スラッシュ・メタルとかデス・メタルなんてのもあるみたいだけど、「勝手にやってろ」だ。
連中のやってることはソロ・プレイの快感に取り憑かれたバカテク連中のテクニックのひけらかしであり、公開自慰のようなものだ。様式美に終止しているので音楽的意義に乏しく、美しさのカケラもない。
創始者であるツェッペリンは違う。"Thank You"のハモンド・オルガンの響きは崩れゆくような美しさだし、"Whole Lotta Love"のようなリフを思い付いた後続のバンドがあっただろうか。ギター・ソロだって今聴いても興奮させられる。
そもそも僕はツェッペリンをハード・ロックと呼ぶことに少なからず抵抗があるが、広義の意味ではハード・ロックであろうとなんだろうと構わないという想いもある。これが名盤であることに変わりはない。
情報に惑わされず、一切の文脈を無視して、馬鹿みたいにこのレコードを楽しんで欲しいと思う。
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