「
もっと日本の優れた音楽を聴こう」。第二段はスピッツです。
とは言っても、スピッツは10代のころから好きでずっと聴いてたんだけど(最近の作品は聴いてない)、ブレイク前の何作かは聴いていなかったので、良い機会だと思ってこのデビュー作『スピッツ』を手に取ってみた。
もう草野マサムネのボーカルから、ヤンチャでパンキッシュなバンド演奏から、なにからなにまで幼く、ピュアで、そしてかわいい(笑)。この感覚は、同世代のライバルと目されていたミスチルのデビュー・ミニアルバム『EVERYTHING』を遡って聴いてみたときの感覚によく似ている。ホントにかわいいんですよ(笑)。
しかもミスチルよりもがむしゃらで、無邪気で、天然で、自分たちがピュアであることに対して無自覚で、まったく臆することがない。
特筆すべきは、やたらとギターの音がバカでかくて豪快なこと(笑)。本作において、三浦テツヤは得意のアルペジオのみならず色んな奏法を試みていて、一介のパンク・バンドで終わらせないという強い意志を感じる。このころはまだ彼が作曲した曲もいくつか収録されており、貢献度は草野に次いで高かった時代だと思われる。
そして、肝心要の草野のソングライティングについてはまだまだ洗練されておらず、名曲と呼べるような曲は1曲も収録されていない。完成度も後々の傑作アルバムと比べるまでもない。
ただ、スピッツ特有のシュールな世界観はこのときからすでに確立していて(歌詞のシュールさはむしろ今よりも激しい)、まさしくダイヤの原石を発見したときのような喜びに満ちている。“テレビ”とか“うめぼし”とか、マジでどうかしてると思えるくらいシュール。あと、ピュアという割には“性”と“死”の匂いが濃厚に立ち込め過ぎ(笑)。(こういう歌詞をあざとくなく歌えるからこそピュアなのか?)
当時これに出会っていたとしてもハマる自信はないけれどね…。
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