mixiユーザー(id:2230131)

2020年12月20日02:11

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Yellow Magic Orchestra/Yellow Magic Orchestra

 「もっと日本の優れた音楽を聴こう」という主旨で、なぜかYMOを聴いています。今更ながら、初体験です。

 エキゾチカというマニアックな音楽ジャンルに影響を受けたとされる、デビュー作『Yellow Magic Orchestra』。エキゾチカというのは、西洋人から見た日本や東南アジアへの一方的な憧れを表現した、いわゆる「なんちゃって東洋音楽」。
 たしかに、主旋律で奏でられるシンセのフレーズがどことなく日本的なオリエンタリズムを感じる平坦なメロディ。いかにも西洋人の目から見た誤解した日本の伝統文化、という感じ(を、日本人が模倣しているという複雑さ)。

 このフレーズだけ取り出すとダサく聴こえそうなところ、バンドが奏でる個性的なサウンドと混ざり合ったとき、不思議と耳馴染みが良く、むしろエキゾチカのメロディが楽曲を聴き進める上でのガイドの役割を果たしているとすら思える。

 つまりバンドの音自体がキモってことなんだけど。大雑把に言うと、クラフトワーク等のリズムボックスを多用したシンセサイザー音楽のツールを駆使し、当時流行っていたディスコ・サウンドの上で演奏し、さらにはインベーダーゲームに代表されるビープ音をSE的にまぶせたテクノ・ポップ。と言えば伝わるだろうか。
 一体いくつの要素が入ってるんだって話なんだけど(笑)。こんなもの素人が手を出したらわけのわからない前衛音楽になってもおかしくないところ、前述したエキゾチカ的なフレーズによって終始ポップで聴きやすくなっている。
 しかも機能的ですらある。たとえば細野晴臣のファンク仕込みのベースラインがブイブイ言わせている“コズミック・サーフィン”に象徴的なように、エキゾチックであると同時に、腰をくねらせる横ノリのダンス・ミュージックとしても機能している。

 この感じ方は、何度も言うように「エキゾチカ」の捉え方が西洋人とは異なっている僕だからこそ―――つまり、正真正銘の東洋人の耳だからそう感じるだけなのかもしれない。でも彼らが本作を海外輸出しようとしたのも、このコンセプトにはじめから自覚的で、これが万国共有の感覚なのだという確信があったからこそに違いない。

 細野晴臣は、それこそはっぴいえんど時代から「西洋の音楽理論に則ったポピュラー音楽を、あえて日本人がやる意義」みたいなところを意識的に突き詰めてきた音楽人である。だからこそ『Yellow Magic Orchestra』には、古今東西の音楽を研究し尽くした上で、それでも誰も聴いたことのない音楽を作ろうと格闘した痕跡が見て取れる。こけおどしではない、真の意味で「ユニーク」な音楽を…。そして彼らは見事に成し遂げた。

ホント、おみそれしました…。

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