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2020年05月14日18:22

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初恋/宇多田ヒカル

 宇多田ヒカル最新作『初恋』にキャッチコピーを付けるのなら、「大人になったヒッキー」かな。(我ながら陳腐なコピーだ…)

 というのも、基本的にはラブ・ソングばかりだった宇多田がはじめて母親の視点から息子への切実な愛情を歌い上げた“あなた”に代表されるように、おおらかで母性的な曲調が多くなっているのが特徴。
 喪に服していたようだった『Fantome』のダークさは(“夕凪”など一部の曲を除いて)払拭され、雪解けの季節を思わせる清々しさがも蘇ってきている。

 プロダクション面においても、生ピアノ、生ドラムス(なんとクリス・デイヴが参加!)、ブラス、ストリングスをリッチに響かせるもので、生のバンド演奏はキャリア史上もっとも使われていると言っていい。
 宇多田は『HEART STATION』など宅録にハマっていた時期もあったが、10年間の活動休止期間中にその辺のオタク気質は後退してしまったようで、任せるべきところは外部のミュージシャンに任せている。そのことによって、宇多田由来のアイディアからはみ出した部分の新鮮味と、風通しの良さと、洗練されたアレンジを獲得した。そのへんが「大人になった」と感じさせる所以。

 本作のキーとなっているタイトル・トラック“初恋”も、言わずと知れたメガヒットデビュー作のタイトル・トラック“First Love”とあらかじめ比較されることを想定していたようで、この辺も大人の自信を感じさせる。10代の背伸びした初々しい恋を歌った“First Love”と比べたら別人のようで(笑)、両曲を聴き比べながら宇多田の成長具合と、視点・作風の変化を楽しむのも一興。

 さらに、“パクチーの唄”のような遊び心のある曲がなにげなく収録されているのも、大人の余裕を感じさせる(こんな曲なのに良曲です)。とは言えこの曲は小林武史のような仰々しいストリングスアレンジで終わってしまうので、たとえばスーパーオーガイムズがアレンジしたピコピコ電子音のように、もっとはっちゃけてしまった方が本来のユーモアが伝わったのでは。(まあ、それだとアルバムのカラーに合わないから、これはこれでいいのかな)
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