mixiユーザー(id:2230131)

2020年02月17日12:43

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Beyoncé/Beyoncé

 あらためて10年代の優れた音楽を振り返ってみよう、という主旨でなぜかビヨンセを聴いています。ビヨンセ初体験です。
 正直、この辺は苦手だったため(苦手だった理由は後述)避けて通ってきていましたが、この10年のブラック・ミュージック・シーンの隆盛を語る際、ビヨンセの2013年作『ビヨンセ』を外すわけにはいかないだろう、と。

 作風としては、エレクトリックなアレンジを効かせた現代版R&Bといった感じ。全体の傾向として、音数が削ぎ落されたミニマルなプロダクションという共通項は挙げられるものの、客演やプロデューサーによって楽曲毎の曲調は見事にバラバラになっている。

 たとえば、“Blow”はまるでプリンスみたいな奇妙なねじれ感のある密室ファンクだし、それとは対照的にディアンジェロの独特なコーラスワークを取り入れたような“Rocket”もある。ブラック一辺倒ではなく、シングルカットされた“XO”などは一時期のコールドプレイがやっていてもおかしくないようなスペクタクルなポップ・バラッド。
 これだけ様々な曲がありながら、キャッチーな美メロで構成された、ありきたりな「普通に良い曲」がほとんど見当たらないのが凄い。どの曲も攻めているし、それは言い換えれば、この過酷なシーンの中でオルタナティヴな存在であろうとする姿勢が一貫している。(ビヨンセってもっとオーセンテックなシンガーじゃなかったっけ?)
 とりわけ後半は「攻め曲」が多く、“Superpower”なんかは現代版の暗黒ドゥーワップ(笑)とでも言うべし、いかにもフランク・オーシャン客演らしい妖しげなムードが漂っている。

 しかももっと凄いのは、これだけ変化球だらけの楽曲、すなわち高難度な歌を一人のシンガーの手に委ねられているのだから、普通だったら「無理やり衣装を着せられている感」が出てしまってもおかしくないところ、ビヨンセの場合、まったくそうなってない。どの曲も自分のモノにして着こなしているし、繊細なファルセットから、旦那譲りのラップ、アッパーなハイトーンなど、なんでもござい。
 正直、この人は腰をくねらせて踊っているセックス・シンボルとしかみなしていませんでしたが(失礼)、これほどスキルのある歌い手だったとは。いやはや、おみそれしました…。

 だからこそ苦言を呈するわけではないけれども…。付属の映像作品に出ているビヨンセは、相変わらず旧来の「腰をくねらせて踊る」イメージのまんまで…。つまりエロさばかり全面に押し出してきていて、ウブな自分はちょっと引いてしまいました。どのビデオでも、半分以上の時間はビヨンセの半裸同然の肉体が映し出されている(笑)。
 これだけ性的なアピールが強いと誤解されやすいのでは?そう、かつての自分のような一部のリスナーに所見の段階ではじかれることで、肝心の音楽の素晴らしさを逆に見えづらくしてしまっているのだとしたら、本当に勿体ないことだと思う。
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