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2020年02月14日12:41

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No Geography/The Chemical Brothers

 いつからか、ケミカル・ブラザーズの新譜を手に取ったとき、驚きよりも懐かしさや安心感を期待している自分がいることに気づく。

 その慣れ親しんだ感覚は、たしかにケミカル・ブラザーズでしか得られない感覚であり、ダンス・アクトとしては珍しいくらい強固にシグネチャーとして確立されたサウンドによるものである。
 この感情は何に起因しているのか考えたとき、彼らが良くも悪くも90年代的なサウンドから抜けられない体質が関係しているのではないかと考えるようになった。

 では、その90年代的なサウンドとはなにか?具体的に説明するのは難しいんだけど、ケムズの場合は、ド派手なブレイクビーツだったり、レイヴ・カルチャーとアシッド・ハウスから発生したある種のトリッピーな曲展開だったりする。これは僕独自の時代感覚になるんだけど、90年代のサウンドってビートも上モノもSEもすごくキャッチーで、音圧が高く、個体の「音」として存在感があるんだよね。悪く言えば、コンビネーションとしては垢抜けないんだけど。
 僕からしたら、テン年代以降に登場したディスクロージャーなんかを聴いていても、この曲はどこにフックがあるんだ?と妙にノレない瞬間がある。その点、ケムズの音楽はフックの場所も、そこに達するまでの盛り上げ方も、バカ正直でわかりやすい。

 そんなケミカル・ブラザーズだったが、ゼロ年代以降はその90年代的なサウンドに様々な要素を加えたり、あるいは減らしたりして微妙に変化していったのだが…。久々の新作『ノー・ジオグラフィー』は、かつてのケミカル・ブラザーズ・サウンドを取り戻すべく原点回帰した一作。なんでも、20年の前の機材をわざわざかき集めて、以前のようなスタジオを再現させたとか。
 前作『ボーン・イン・ザ・エコーズ』も原点回帰の傾向があったが、あれはどちらかというとみずからのキャリアを俯瞰した「集大成作品」であり、本作と比べると原点回帰への本気度がまるで違う。ここに来てようやく自分たちのシグネチャーに対して自覚的になったのか。

 なので、いつにも増してブレイクビーツはバッキバキで、ひたすらド派手で攻撃的。とりわけ継ぎ目なくメドレーのように進んでいく前半3曲の流れは、『時空の彼方へ』のときのライヴ感的臨場感もそこにプラスされていて、とにかく踊れるし、楽しいし、ぶっ飛ばされる。
 まあ前半のインパクトが強すぎて、後半に若干の息切れが見られるのは気にしないでおこう…。(もうすぐ彼らも50代だしね…)

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