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2020年02月14日12:28

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Spirit/Earth, Wind & Fire

 アース・ウィンド&ファイアー(以下、EW&F)の76年作『魂』は、制作中にモーリス・ホワイトと共に全体のディレクションを仕切っていたチャールズ・ステップニーが心臓発作が亡くなったことで、このアートワークからも分かる通り、全体的にスピリチュアルな印象を残した作品となった。

 まさしくタイトル・トラックの“魂”は、フィリップ・ベイリーの美しいゴスペル・ファルセットが冴え渡るバラッド。さらに“イマジネイション”のコーラス・ワークからは、スティーヴ・ワンダーがまさに神々しく変貌を遂げていた『インナーヴィジョンズ』あたりの時期の神聖なオーラさえ漂っているように聴こえる。あるいは華奢なストリングスの調べからは、カーティス・メイフィールドに代表されるニュー・ソウルの面々の意匠も。

 ただし、スピリチュアル路線の曲は実はそんなに多くない。というか、なんだかんだで“ゲッタウェイ”のタイトなバンド・アンサンブルによるキレッキレなファンク・チューン、もしくは“サタデイ・ナイト”のノリの良いダンサブルな楽曲が全体の印象をかっさらってしまうのは否めない。良くも悪くもバランス感覚が良すぎるのがモーリス・ホワイトのプロデューサー資質。

 ただし、マニアックにもポップにも振り切れない、まさしくこの絶妙なバランス感覚こそがEW&Fの最大の美点だと僕は思っているので、そういう意味では本作も非常に楽しむことのできる得難い作品ではないだろうか。個々の楽曲の粒立ちという意味では、前作『暗黒への挑戦』に明らかに及ばないが、全体的にメロウでソウルフルな側面が強調されているため、じっくりと落ち着いて聴きたい気分のときには最適。

 余談だが、今はビヨンセの2013年作『ビヨンセ』を聴いているのだが、同じ「ポップなブラック・ミュージック」というカテゴリでも時代が違うとここまで様変わりするのかと、進化のスピードを実感させられた。と同時に、やっぱり生バンドならではの演奏のレアな質感、その混じり気のない純粋なグルーヴ感ってやっぱりかっこいいな、70年代の音ってサイコーだな、なんて保守的なことを思ったり。
(ビヨンセはビヨンセでとんでもないことをやってるんだけどね…)

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