活動再開以降のピクシーズのアルバムはどれも、「良いメロディと良い演奏が詰まった、良いロック・アルバムなのは間違いないんだけど、初期のピクシーズらしい切迫感、狂気感がみじんも感じられない」。
もう、すべてのレビューがこのコピペで良いんじゃないかとすら思う(笑)。
ピクシーズが久々に新作をリリースすると聴いて、全盛期のライブなどを観たりして気持ちを高ぶらせた上で挑んだのだけれど…やっぱり今と昔じゃ全然違うバンドよなぁ…と。
たしかにフランク・ブラックの特徴的なソングライティングや、ジョーイ・サンティアゴのヒリヒリしたギター・フレーズは残っているものの、いずれも過去に何度も聴いた焼き直しでしかない。唯一、制作の上での新しいトピックスと言えば、ベースのパズ・レンチャンティンとの共作が数曲収録されいてることぐらいだが…先行シングル“On Graveyard Hill”を除いて、アルバムのカラーを一変するほどの存在感は示していない。
また前作との違いで言えば、中盤以降、渋めのミドル・テンポの楽曲が多く収録されていることで、アルバム全体のイメージはどこか殺伐とした、全盛期のころのようなサウンドに表面的には戻ってきているような節がある。ただし、前作『
ヘッド・キャリア』に引き続きトム・ダルゲティがプロデュースを続投しており、彼のパキッとして明るいハイ・ファイな録音はダークな印象とはほど遠く(すごく良い音で録られてはいる)、健康的で快活だった2作目のイメージに引きずられているような感。
とは言え、こういう不満を言ってるのは全盛期の彼らのサウンドの呪縛から抜けられない僕のような古参のファンだけで、今の若い子は違うのかもしれないね。当の本人たちだって、この健康路線にそれなりの自信とプライドを持っているようで、ドラムのデイヴィッド・ラヴァリングは「ピクシーズver.02なんだ」みたいなことを意気揚々と発信していたことだし、受け入れなければいけないんでしょうかねぇ…。
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