mixiユーザー(id:2230131)

2011年11月13日21:20

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Curtis/Curtis Mayfield

 地元に「大喜」というラーメン屋があります。
 とんこつしょうゆ味のスープと焦がしネギの香ばしさとの相性が抜群で、浜松ではなかなかお気に入りの店だったんだけど、その近所に「荻窪」というもっとお気に入りのラーメン店を発見してしまい、最近はめっきり利用しなくなってしまった。おまけに、久しぶりに立ち寄ったら味が相当落ちていた(ラーメン屋ではよくあること)ので、いよいよ見限って行かなくなってしまったという店であります。(ラーメンの好みは千差万別ですよね)

 だけど、店内で流れていたカーティス・メイフィールドをはじめとするニュー・ソウルの音楽の素晴らしさだけは、いまだに忘れ難く記憶に残っている。わざわざ特定の時代のソウル音楽だけをピックアップしてるのだから、店主はさぞかしブラック・ミュージックにこだわりのある人物だろうと、勝手に想像を膨らませながら食事を楽しんでいた。

 ちなみに「ニュー・ソウル」というのは、ブラック・パワー云々とか政治的な経緯とか色々あるんだけど、そういうのは抜きにして簡単に要約するのなら、「70年前後に隆盛した、高度に洗練された新しいソウル・ミュージックの総称」ということになると思います。そして、その定義にピッタリ当て嵌まる作品をひとつ挙げるのなら、前述したカーティスがインプレッションズを脱退した後に発表したソロ・デビュー作『カーティス』なんかが最適だと思われます。

 甘くとろけるようなファルセットを堪能できる“ザ・メイキング・オブ・ユー”をはじめとして、全編に取り入れられた華麗なストリングスに象徴される緻密なアレンジメント、そしてそのような品の良さとは対照的なラジカルな詩世界。まさしくニュー・ソウルの精神性を正しく体現している一枚。たとえば、先にも紹介したJBによる男臭いソウルなんかとは正反対の趣き。まさしく黒人音楽と呼ばれるものが、もっとも華奢でもっとも繊細な表現を可能にした最初の瞬間だと思う。

 ところが本作、中盤以降はアフロ・パーカッションを大々的に展開することで、実は相当に熱かったカーティスのファンク魂をも感じ取ることができる。超名曲“ムーヴ・オン・アップ”を筆頭に、徹頭徹尾ファンキーなダンス・ミュージックの応酬。それも、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのような退廃的なファンクではなく、あくまでスタイリッシュにキメられた洒脱なファンク。ある種、カラッとしたラテンの陽気さすら讃えている。

 この二面性こそが『カーティス』における最大の魅力だと思います。それこそインプレッションズ時代の“ピープル・ゲット・レディ”くらいしか知らない僕のような人間をも虜にさせる、ニュー・ソウル入門盤としてもオススメの一枚。カーティスに浸りながら…久々に大喜のラーメンが食いたくなってきた!!
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