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2010年03月24日00:01

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Di doo dah/Jane Birkin

フレンチ・ポップ界の至宝、ジェーン・バーキンの実質的なデビュー・アルバム。

ただし、全編を手掛けている夫セルジュ・ゲンスブールなくしては始まらない作品なので、今回もあくまでセルジュ作品の一つという位置付けで語ってみることにします。(じゃないと批評できない)

方法論としては、この二年前に発表された『メロディ・ネルソンの物語』を踏襲して作られている。つまり、ジャン=クロード・ヴァニエによるフル・ストリングス・アレンジと、シンプルなバンド編成の融合、という手法。全編にわたって生の弦楽器が鳴り響き、よりソフトで落ち着いたバッキングにあの独特なウィスパー・ボイスが彩られる。
ただし、これはあくまでジェーンのアルバムなので、前衛性は極端に薄められ、プログレ的な大仰な展開もない。楽曲に関しても、比較的メロディが聴き取りやすい2分台のポップでまとめられている。終始同じような曲調が続き、アレンジメントにもこれといった工夫が見られない。
このような異様な「取っつきやすさ」、もしくは「軽さ」は、セルジュのプロデューサー的判断なのだろう。実際、タイトル・トラック“ディ・ドゥ・ダー”での高級カフェテラスみたいな(笑)洒脱なムード、そして擦れたハイトーン・ボイスを聴かせる“バナナ・ボート”など、ジェーンの声質ありきだし、ジェーンのキャラクターを活かした音作りをしている。あるいは、提供曲は売れても自身の作品だけは売れないというジレンマを抱えていた彼のこと、「どうせみんな、こういうのが好きなんだろ?」という穿った視点もあるかもしれない。本人が不本意だろうと、良質なポップスを生み出す作家としての宿命からは逃れられないのだ。

というわけで本作『ディ・ドゥ・ダー』は、ウェル・メイドに仕立てられたフレンチ・ポップという枠から出るものではない。ハッキリ言って、ジェーンの熱烈なファン以外は、とりたて手に取る必要もないだろう。これを聴くのなら、僕ならセルジュとジェーンの共同名義作品『ジェーン&セルジュ』を猛烈にオススメする。
ただし、単純にジェーン・バーキンの入門編、あるいはフレンチ・ポップ入門編としてなら最適なディスクになるかもしれない。楽曲単位では少なからず美しい歌曲も収録されているので、セルジュのマニアも揃えておいて損はない。
快適なカフェテラスのお供にも、どうぞ。
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