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2010年03月07日07:32

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Turn

優等生(ゆうとうせい)
1.成績・品行とも特にすぐれている学生や生徒。
2.言動にそつがないが、個性がなくおもしろみに欠ける人。

我々がこの言葉を用いるとき、どこか含みとして揶揄が込められてることが多い。
とりわけ独創性を重んじる芸術の世界においては、「優等生」はまったく褒め言葉にならないと思う。

しかし、優等生的なイメージを保ちながらも成功を収めるアーティストも少なからず存在する。
グラスゴー産の美メロ・バンド、トラヴィスがその典型だろう。彼らはひたすら「良い曲」を作り続けることを命題に掲げた楽曲史上主義のバンドだ。「良い曲さえ世の中に残れば、作者なんて忘れ去られてもいい」という想いから、『インヴィジブル・バンド(The Invisible Band)』なんてタイトルのアルバムを発表したこともあった。

では彼らの概略ついて、ざっと説明しておこう。
ブリットポップのムーヴメントが瓦解した97年に登場。ナショナリズムに疲れ切った英国人の心を慰めるように、メランコリックで内省的なバラッドを多く生み出し、国民的な人気を博す。その後のシーンの潮流を作ったという意味でも、実はかなり影響力のある人達だったのだ。
今では信じられないことだが、当時はポスト・レディオヘッドにもっとも近い存在として期待を掛けられていた。(プロデューサーにナイジェル・ゴドリッチを起用したことも大きかった)しかしご存じの通り、当のレディオヘッドはすぐに別次元に突き抜けて比較対象にはならず。一方トラヴィスは、ドラマーが事故って活動休止を余儀なくされたり、その間に後続組のコールドプレイとのポジション争いに敗れ、決して埋まらない決定的な差をつけられたり。しかもナイジェルと袂を分かってセルフ・プロデュースで挑んだ起死回生アルバムが、まさかの大不評だったり。もう踏んだり蹴ったり。個人的にも、その復活作『12メモリーズ』があんまりな出来だったんで、それからは急速に彼らに対する興味を失ってしまった。
今や新作を発表してもかわいそうなくらいスルーされてますが、さり気に良い音楽を作り続けてるみたいですよ。その優等生サウンドは日本人にも受けが良く、彼らのファンだという人をいまだによく見掛けます。

そんなトラヴィスでもとりわけ優等生的な楽曲、“ターン”。
これはトレードマークのバラッドではなく、ミディアム・テンポの叙情的なギター・ロック。明瞭なヴァース/コーラスの構成を含み、これといって特徴もないが、彼らの人気を決定付けたブレイク作でもある。なにより分かりやすく合唱を呼ぶアンセムで、当初はオアシスさえ引き合いに出されたほど。僕自身、車でUターンするときにはかなりの確率でこの曲を思い出し(笑)、そして歌ってしまいます。

あと、もう一つ蛇足ですが、音楽プロデューサーの小林武史が「今、もっとも好きな曲」として、当時ラジオで流してました。
小林武史と言ったら、なにはともあれ日本が誇る優等生バンドを手掛けた人物。トラヴィスの優等生サウンドには、なにかしら共感するところがあったのでしょう。わかりやすい人だな〜。


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