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2019年10月22日12:41

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RWC2019 Match44 QF2 JPNvsRSA 2nd Half もしくは「JPNの終戦と、もたらしたあまりにも大きな果実」

aRWC2019 Match44 QF2 JPNvsRSA
@東京スタジアム
2nd Half

後半について書くその前に。
何度か書いたように、RWCの一次リーグは、かなりの過密日程で行われる。今回、JPNは主催国という特権を活かした。ただし、理由は自国なので観客動員が期待できる、都市の大会場、という選択肢という理由が最大だと思う。釜石や花園といったキャパの小さな会場、大分のようにキャパはあっても交通・宿泊インフラに難がある会場では出来ない。結局、東京、エコパ、豊田、横浜というキャパと交通インフラの整った(エコパはそれでも怪しかったけど、掛川まで新幹線があるのが大きい)で、週末に、という日程になった。
それでも、一次リーグは4戦戦うことになる。これは通常の国際試合の期間(ウインドウマンス)とほぼ同じ。スーパーラグビーやシックスネイションズと言った試合数の多いシリーズでも途中に休息週が設けられる(またはチーム数の関係で試合のないチームが出たりするようにする)。要はそのくらいラグビーでの連戦というのは疲労がたまるスポーツだと言うこと。この大会で思いっきり日程に恵まれた(移動距離も東名間)JPNでさえ、このQFで5週連続の、しかも前の週にSCOとの激闘をしたばかりというのは、急速な進化との等価交換で、これまでに経験が無いハードスケジュールだったはず。しかも、他国はもっときついスケジュールでやって来ている(例外は19号の影響で試合中止になったENGとFRAくらい)ので、JPNが不利だったわけでもない。

と言うのを頭に入れると、RSAがとにかくスクラムの崩壊を狙ってきたのも、ゲームプランとしては理にかなっている。しかも、フォワードのキーマンだった姫野に対しては執拗にマークを続けていた。
後半の最初の10分。PGで6点取られたけど(一発勝負で怖いのは自陣でのペナルティ、と言う証明ではある)、それでも前半のロースコアのおかげでまだ11-3と8点差。WALvsFRAがほぼ同じタイミングで9点差だったことを思えば、本来のJPNであれば十分追いつける点差ではある。「本来の」JPNであれば。
ただ、前半で起きていた異変がここで火を噴くことになる。前半のシンビンの原因になるスピアータックルで傷んでいたJPN1の稲垣、そして同じく傷んでいたJPN10の田村が、まだ48minという早い段階で交代となる。そしてその4分後、今度はJPN8姫野が交代になる。いつもの作戦としての交代ではない。前半の部分で書いた「替えることのできない」選手をこのタイミングで3人も失ってしまった。稲垣は相手がシンビンを喰らうペナルティによる負傷というものだけど、田村と姫野までこのタイミングで失うのは、日本の戦力としては大きくダウンしてしまう。特に田村は、一次リーグを通じて、一種神がかった司令塔兼キッカーとして成長していたので、彼を失うというのがどれほどの痛手か。松田が決して悪い選手ではないんだけど、ことこの段階に至っては、明らかに1枚落ちていた。そして、姫野とリーチが突破口を開いていたのが、それがそこまで確実にできる選手が減ってしまった。稲垣以外の交代の原因は、やはりハードなゲームの5週目という、疲れがピークに来ていることにも一因あると思う。リーチにしても、vsIREではベンチスタート、vsSAMでもキャプテンを譲っているのは、表には出てきてないけど、たぶん温存とかではなく体のどこかがあまりよくなくて、それでもキャプテンの責任で出てきていたんだという気がするし。

そして、まだ情報が無いので、推測しかできないのだけれど、この試合の一番の謎。田中史朗の投入が、ほぼ雌雄が決した70min過ぎになってからの投入だったこと。ジョセフHCが、ここに来てそんな采配ミスをするとも思えない。まだJPNの攻撃の余力が残っていた50min前後、遅くともポラードがPGを失敗した60min前後(普通の試合でもここらあたりで流と交代するのは多いパターン)が有効に田中を使えるチャンスだと思うんだけど、指令はなかった。
推測は幾つかできる。まず、他の選手と同様にフミも連戦の疲れでコンディションが悪かった。田中史朗と松田の相性がよくないからできるだけ流で引っ張ろうとした。流の出来はよかったから、できるだけ流を引っ張っておきたいと言うこと。そして、もう一つの可能性をあげるなら、前半でなんどもパスの途中でRSAにインターセプトされている(RSAのプレイの精度がよくなかったので、インターセプトを攻撃に行かせなかっただけ)から、ラインを作ってパスをする時に、ほぼ水平に近かったパスラインが、明らかに後方に投げる、と言うように修正してきていた。安全策ではあるんだけど、同時に、走る速度と距離の割に前進する距離が稼げない、下手をすると後退してしまっていることもある。これでは、田中を投入してテンポアップしたくてもできない。そして、更にPGで点差を広げられたところで、なんとかしようとする隙を突かれてトライ。
だから、いつものJPNだと反撃ができたタイミングでそれができなかった。で、自陣でペナルティを与えてPGを取られ11点差。こうなると、無理に攻撃を仕掛けないといけないのだが、早めに交代したRSAのフォワードが強力で、その上SHのデクラークの出来がものすごくよかった(実際、MoMになってるし)。個で突破できない、ラックになると押されてターンオーバーされる、で、デクラークが絶妙な球さばきをして攻撃に転ずる。こうなってくると、本来のRSAらしさを取り戻してくる。
こう書いてくると日本ばかりが怪我で泣かされたように見えるけどそうではない。RSAも、本来はトライゲッターのはずのWTBのコルビがディフェンス中心の動きで、たまの攻撃チャンスもJPNに阻まれて、途中傷みながらもなんとかプレイしていたけど試合が決定付いた70min頃に交代となった。RSA相手で一番怖かったのはコルビに走りまくられて翻弄されることだったので、怪我は意図してではないんだけど、コルビの封じ込めにはJPNは成功していたと言っていいと思う。RSAですら、決勝Tにたどり着いた時には疲弊している。それぞれのチームが、一次リーグの長旅の疲れが癒えぬままに突入する決勝T。だからこそなにが起こるかわからないし、本当の強さが試されることになる。

最後、80minになってもRSAはプレイを切らずにトライを取りに来た。プール戦ではないので、既に勝利は決まっている。ここでトライを取りに来たのは、RSAの、2015の屈辱のリベンジ。その後のテストマッチで勝っているとはいえ、RWCで受けた屈辱は、やはりRWCでしか返せない。最後にもう1つトライを取って、JPNの心を折ってやりたい。
でも、JPNはそれをしのいだ。最後の力を振り絞って、懸命にディフェンスをした。そして、RSAは外に蹴出してプレイを終わらせた。ここでトライを取らせていたら、RSAのリベンジは完遂され、JPNはあの日こじ開けた扉を再び閉ざされてしまう。それだけは許さなかった。そして、RSAは、トライをあきらめることでこう言ったんだろう。「JPNの強さはわかった。ようこそ、我々の世界へ」と。

試合後の報道で、WorldRugbyのCEOゴスパーが、南半球国の対抗戦「The Rugby ChampionShip」に日本を入れるべきだという発言をしたというのが流れてきた。ゴスパーはオーストラリア出身で、TRCやスーパーラグビーを主宰している、南半球4か国のラグビーユニオンにもそれなりの影響力がある(そもそもWorldRugbyの実質的なトップだし(,,゚Д゚))。そうなると、元々サンウルブズのSRからの撤退は金銭的な問題だから(南半球からの遠征費用とか)、日本での入場者数などの市場拡大などでその辺りが妥協できれば、2021シーズン以降の継続参戦の可能性も出てきた(サンウルブズ自体の解散、と言うわけじゃなかったしね)。
一方の北半球側。シックスネイションズはこれ以上国を増やすと試合スケジュールが厳しくなるだろうから単純な加入は難しいだろうけど、かねてから万年最下位のITAを外すかどうかという問題は上がっていて、ITAとJPNの入れ替えというのも、決してあり得ない話ではない。北半球側が有利なのは、南アフリカやアルゼンチンと言った南半球への移動に比べると、欧州遠征ならまだ移動は楽なところ(時差はキツいけどね)。各国とは1戦ずつなので、試合日程の調整だけで何度も行き来しなくてすむところ。
仮に、これらの話が全部実現しなかったとしても、JPNの選手たちで、代表引退する選手以外の選手には、スーパーラグビーや北半球のプロリーグ(フランスリーグあたりが有名)からのスカウティングが殺到するだろう。
そして、これらの動きは、日本に、更なる人材を呼び込むことになる。このRWC2019を見て、日本人でラグビーを始める子供たちが増えるのは間違いないけど、それ以外に。
よく、今のJPNのメンバーを見て「多国籍軍」とかいうけど、その大半は、高校や大学で日本に留学してきて、日本でラグビーを習得していったものが多い。リーチ・マイケルなんてその代表的な存在だし。決して、自国の代表資格がまだ無い選手をスカウトしてきた「助っ人」のような存在ではない。
日本という経済的に豊かで、自国の文化になじんでくれれば決して排他的ではない国。そして、これまでもアジアの中では突出して強かったけど、それがほぼT1国並みとなり(今後、T1国とのテストマッチも増えることになるはず)、トップレベルのラグビーをやりたい人たちにとって、JPNが、NZLやAUSと並んで、その選択肢に上がってくるのは間違いない。
3年在住でその国代表の資格が得られるというのは、たぶん最初は世界中に住んでる、主にUK国籍が出場できるようにと言う措置だったと思う(なので、アジア圏内ではJPNの次に強いのはHKGだったりする)けど、今となっては各国代表のダイバーシティを確保する面白い制度になっている。オリンピックやFIFAWCは国籍主義で、これを今から変えるのは困難だけど、それに対するRWCの特徴としては面白いし、実はさっき書いたように「自国文化になじんでくれれば意外と受け入れてくれる」日本にもあってるような気がする。まぁ、「とはいえ、見た目外国人じゃんか」みたいな声があったけど、それをほぼこの大会で潰したのは、各選手の献身的なプレイ、たぶん、一番はリーチ・マイケルの存在だろうけど。
(まー、3年在住でJPN代表資格を得ても、結局はその後日本人女性と結婚して、日本国籍取るケースが、「非常に」多いんだけどねww)

こうして、JPNのRWC2019は終わった。できればSFまでいってくれれば3位決定戦もあるから最後まで楽しめたし、そこまで行けば文句なしにT1国扱いになったんだろうけど、でも、QFまでの進出と、大会の大成功(一応、最終的な収支が出るまでわからないけど、開催決定から心配されていた部分はほぼクリア、と言うか、予想以上だったと思う)で、ほぼそれに近い座は手に入れたようだし、後は、この成功をどう活かしていくか。2015の後にもあった熱狂(年間パスポートで会場には入れなかったんだよなー、直後のトップリーグは。そこからちょっと足が遠ざかっていた)を取り逃した失敗があったのを繰り返さないように、どうすればいいのか。真壁伸弥(レスラーの真壁刀義じゃないよ(,,゚Д゚))が指摘しているように、この熱狂の中、トップリーグも、サンウルブズも来年のシーズンの告知がほとんどできていない。2015以上のこのチャンスを、今度こそ掴まないと(清宮構想のプロリーグとかもあるけど、それはまだ数年先だ)。それこそが、ここまで戦ってきたJPNの選手たちに報いる、最大の感謝だとも思うし。

あー、でも、これで来年のオリンピック、男子のセブンズラグビーのチケット、更に取りにくくなるなぁ(,,゚Д゚) 福岡のラストマッチになるんだから、RWC2019で福岡を知った人たちが殺到するだろうし。ただでさえ、今取れていないんだけど(女子はなんとか1枚取った)。
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