Chi-chi Nwanoku

夕食の後、私たち夫婦は、いつも１時間ー１時間半ほど、義母のいる部屋でテレビを見ます。義母が食事の後にすぐにベッドに入ってしまうのを防ぐためです。
（テレビは、義母のベッドの前にあるので、私たちがベッドに座ってテレビを見ている間は、義母は、寝ることができません＾＾：）

私は、なんとなくこの時間が自分にとってはムダな気がして、この日もパソコンを膝の上に置いて、テレビには注意を向けずにメールを打ったり、日記を書いたり、自分のことをしていました。

が、NHKの番組で、コントラバス奏者のChi-chi Nwanokuが紹介されて、彼女が話し始めたのを目の端でチラリと見た途端、彼女の生き生きした表情に魅せられてしまいました。

私はChi-chiのことは何も知らなかったのですが、番組を見て行くうちに、彼女がアイルランド人の女性とナイジェリア人の男性との間に生まれた混血で、クラシック音楽の世界では珍しい、女性のコントラバス奏者であることを知りました。人種的にマイノリティであると、それだけで、クラシック音楽の世界で活躍する場がなかなかないのが現状なのだそうですが、彼女は特にそれを大きな壁と感じることもなく、トップクラスの音楽学校を出て、世界の有数のオーケストラと共演するようになったのです。

その後、Chi-chiは自分でマイノリティに属する音楽家が多数をしめるオーケストラ「Chineke! Orchestra」を結成して活動を始めます。その様子が番組で彼女自身によって語られていますので、ご興味のある方はコチラ　（https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/2058602/）　で見ていただくとして、私は番組を見終わってから、彼女が演奏している時の表情がずっと目の中に焼き付いていました。ああいう生き生きとした顔をして生きている人だから、白人だとか、黒人だとか、男性だとか、女性だとか関係なく、彼女の目の前の扉が開いて行ったんだろうなぁと思いました。

それで数日たってから描いたのがこの絵です。



ちなみに、彼女のオーケストラの名前「チネケ！」は、彼女のお父様の生地、ナイジェリアのイボ族の言葉で、何か素晴らしいことが起きたりした時に思わず叫ぶ感嘆詞だそうで、元々の意味は、「すべての良きものを創造するスピリット」なんだとか。
いかにも彼女らしい、いいネーミングですね！