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2021年11月21日07:21

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原子力で洗脳された東海村

茨城の開発は、鹿島開発、つくば学園都市、百里基地などに見られるように、国の先験的なプロジェクト・国策の展開の場として茨城の地が選ばれたところに特徴があり、いわば国内植民地化されていったのです。こうした事例の一環というか、先鞭として東海村の原子力開発は考えられます。

1954年、当時、通産大臣であった中曽根康弘の強引なやり方で原子力予算が可決され、1955年、日本原子力研究所の設置を決定し、1956年、東海村に建設が決定しました。この当時、建設候補地は六か所ありましたが、建設の条件として、東京から距離が近いこと、3敷地・水が確保できること、3国有地を借り上げられること、などが原則としてあり、これらの条件に合致する所として神奈川県横須賀市、群馬県高崎市と東海村が候補地として残りました。

東海村に決定したのは、敷地が330万平方メートルを越えるそのほとんどが国有地であり、太平洋に面していて那珂川と久慈川に挟まれた標高35メートルという平坦地であったこと、東京に近いという地の利があったことです。

この久慈、那珂両河川と太平洋に面しているという地理的条件は、放射能のゴミを処分するのに重要な条件でもありました。ちなみに、神奈川県横須賀市にはJNF が設置されており、群馬県高崎市には日本原子力研究所高崎研究所が設置されています。

東海村は1955年に石神村と村松村が合併してつくられた村で、当時人口は約一万人。純農村地帯で、ほとんどが専業農家でした。村の面積は3567ヘクタールで村域の35.3パーセントが農地で、主要作物は米、麦、野菜、さつまいも等です。

このような純農村地帯に原子力施設が相次いで建設され、その関連企業もまた次々と建てられていきました。進出企業の増大にともない様々な人々が入りこみ、地元住民のなかに生活するようになって、それまでの村社会が崩れ、人と人、村落ごとのコミュニケーションは疎遠となって行きました。

むら社会は喜怒哀楽、善悪のけじめ、教育、しつけ、交際など、人を育む意味でいえば果たしてきた役割は大きいのだが、村のなかに企業が進出し、都市的な要素や開発の既成事実が造られ、オカネが優先するような風潮が出ると村の崩壊は早まりました。

ともあれ1956年に東海村に日本原子力研究所の設置は決定され、翌年には第一号の原子炉が建設されました。東海村の原子力開発の開始は同時に日本の原子力開発のスタートでもあり、放射能公害の始まりでもありました。

このような中で日本学術会議の真摯な討論を経て「自主・民主・公明」の原子力開発の原則を定めた「原子力基本法」が成立するのですが、つくった早々から国によって踏みにじられました。

東海第一号炉の大事故を想定して、その損害を計算・評価した「大型原子炉事故の理論的可能性と公衆災害に関する試算」というのを、科学技術庁が日本原産会議に委託して作らせたのですが、その現われた数字に驚いてこの報告書をマル秘扱いにし、国会にも概要しか報告しなかったのです。

この報告書が公にされていれば、その後の日本の原子力開発は変わっていたと考えられます。原子力予算にして89原発は地域をひらくのかも、原子力基本法にしても、つくった張本人が率先して踏みにじったのだから、後の展開は推して知るべしであり、日本の原子力開発は「ウソ」から始まったのです。

原子力研究施設から小型の原子炉へ、そして巨大原発から核燃料再処理工場へと開発は急速に拡大の一途をたどっていきました。なぜこのような原子力開発が進行していったのか、反対運動は起きなかったのか、住民はどのような動きをしたのだろうか。

国、県、村当局の誘致運動、設置協力運動が際立っていたことに見られるように、原子力開発は田中角栄の列島改造論に見られるブルドーザー路線の下で、地域開発の申し子のように見えました。

「東海村は遅れている」「このままでは進歩に取り残される」という脅迫的キャンペーンに、多くの人たちが巻きこまれ、一つの幻想が植えこまれていきました。いま思えば、原子力開発は住民に対する戦争だったのです。なんか、新型コロナウイルス対策によく似ています。

「原爆の被爆国としての日本だから原子力の平和利用をすることができる、平和利用のその技術は世界の最先端をいくものだ、それが東海村へ来る、世界の東海村になる、最先端の村になる」と宣伝され、受け入れればあたかも住民の生活までもが変わるかのような、先取・進歩という幻想がばらまかれ、植えこまれていったのです。

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