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2020年05月25日22:27

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正田崇『黒白のアヴェスター』

 正田崇『黒白のアヴェスター』(Gユウスケ:イラスト、神座万象・第十四機関、2020年)の第1巻を読了。ペルシア神話を題材としたダークファンタジー。ゾロアスター教の善悪二元論がモチーフになっており、作中では善悪の陣営が宇宙規模で争っている。
 善悪は「真我」という神の定めた本能のようなものが規準となっている。それは母親と胎児さえもが善悪に分かれれば命の遣り取りをする。狂っていると言えるかも知れないが、現実の善悪も大概はそのようなものかも知れない。
 神のごとく生殺与奪を握る世間や社会、国家から刷り込まれた善悪の概念で人々は戦う。それに対して主人公のマグサリオンはどれだけ周りから嫌悪され、誤解されても自身の主体的な実感によって行動する。それは万人に共有されるものではなく、悲劇や流血を伴うものなのだが、それでしか通俗的な道徳に堕さぬ主体の倫理は確立されないのかも知れない。
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