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2020年01月24日11:16

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佐藤弘夫『アマテラスの変貌』

 佐藤弘夫『アマテラスの変貌 中世神仏交渉史の視座』(法藏館文庫、2020年)を読了。古代人にとってはこの現実こそが唯一の世界で、神々も山川草木・巨木巨岩とに宿って人間と共生し、祟りを通じて人々に不可測の意思を場当たり的に押し付けた。六世紀頃に仏教が伝来すると、当初は仏もこの神々と同じレベルで捉えられたが、十二世紀を転機として「あの世」と「この世」に区分された。
 中世人は神と仏ではなく、「あの世の仏」と「この世の神仏」の間に線を引いた。神と等質化した形而下の仏たちは、神や人師ともども「あの世の仏」の垂迹とされた。「この世の神仏」は特定の規準に照らして厳格な応報を下し、人々の目を「あの世の仏」に向けさせると位置付けられた。
 そうしたコスモロジーを日蓮や親鸞も受容したが、彼らは神仏のヒエラルヒーの頂点にある「あの世の仏」を一仏に限定し、その主宰力を圧倒的に強化した。また、そのような「あの世の仏」は「この世」へ直接に影響力を行使すると説いた。衆生はあらゆる神仏や聖職者を排し、頂点の一仏への帰依を求められた。
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