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2020年05月27日22:33

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Baroque Gravity/SCHÖENBERG

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第二派の到来が予測されるコロナ過によるショックがまだまだ落ち着かない世相ですが皆様いかがお過ごしでしょうか?私は勤務が時短になった分、ある程度時間にも余裕が出来たおかげで好きな音楽やドラマや映画やアニメを思う存分視聴して割と充実した楽しい?日々を過ごしておりました。

さてそんな世相の中、ライヴにも参戦する機会の多い推しバンド、SCHÖENBERGの3枚目の新作アルバムが3年半ぶりに4月にリリースされました。

今回のBaroque Gravityという作品はコンセプトアルバムだった前作「Another Veiled Story〜運命の系譜〜」に続くシェーンベルクにとって3枚目のオリジナルアルバムということになる。前世を垣間見て現状の自分と照らし、前向きに現世を生きようとするメッセージが込められていたように思える「Another Veiled Story〜運命の系譜〜」も珠玉のメロディの詰まったアルバムだったが、今回の「Baroque Gravity」もますますメロディや曲の構成が冴え、聴けば聴くほど随所で新たな仕掛けや展開を見つけることの出来るファンにとってはまさに待ち望んでいた一枚に仕上がったように思う。

一曲目のGravity Overeture-惑星-,op.3の音が流れた瞬間に荘厳でクラシカルなSCHÖENBERG独自の音世界に引き込まれる。(この曲はガンダム鉄壁のオルフェンズからインスピレーションを受けたという話から有料ネット動画サイトで全話ガンダム鉄壁のオルフェンズを視聴してしまった為、この日記を書くのが遅れたなんて言えません泣き顔
続く大切な2曲目のポジションに位置するこのバンドのキラーチューンに命名されるロサシリーズの新鋭曲「ロサ・インフィニティ」だ。ツーバスの目立つ疾走感のあるサビの印象的なナンバーといえばHELLOWEENやSTRATOVARIUSを筆頭に世界中至るところで聴くことが出来ると思うし、特に我が国に於いては元来よりこの手のタイプの曲を好むリスナーが多いような気がする。言わずもがなSCHÖENBERGのファンもロサシリーズに期待する向きは多いし、その高いハードルを越えるのは至難の業かと思うのだが、今回も見事に期待を裏切らず、というか期待以上の楽曲を繰り出してくれた。ヴォーカリストのnaru嬢によれば「音楽と量子力学と、本物の切なさを融合した作品」とのことだがイマジネーションを相応に使いながら楽しめた前作「Another Veiled Story〜運命の系譜〜」と異なり、歌詞の世界観を俗世界へシフトを切ったかのように感じられる今回の作品の中ではロサシリーズも例外ではなく、気高く清廉な世界一辺倒だったnaru嬢の歌も気高さに加えて生々しく堂々とした艶やかな情感が如実に感じられ、サビ後の「千の星月数え 宇宙仰ぐ〜」の部分に入ると思わず高揚感のあまり、拳を握りしめて一緒に叫びだしたくなる衝動に駆られてしまい、今回の緊急事態宣言下の中、車を運転中に何度も一緒に叫んでしまったということは秘密にしておきたいくらいの破壊力を持つナンバーだ。w
前述のツーバスの目立つ疾走感のあるサビの印象的なナンバーを嗜好とされる方がおられたら是非一聴をお勧めしたい。異国産のメロスピチューンとSCHÖENBERGのロサシリーズの趣が異なるのは歌い手のnaru嬢が昭和ムード歌謡の旗手であるクールファイブのヴォーカリストでもある「前川 清」の歌う曲世界からの影響を公言し、天才ギタリスト星野学氏曰く今回のBaroque Gravity Albumに於いては速弾きネオクラシカルHRギターの祖Yngwie Malmsteenからの影響を包み隠さずに散り嵌めながら要所要所で絶妙にブレンドしていることをインタビューで吐露しているあたりからも窺えるかもしれない。
クサいメロディ(所謂クサメロ)にも色々な趣があると思うが、このバンドのメロディセンスは枯渇するどころかどんどん懐を広げているのが頼もしい。

フランス語で「雪の結晶」を意味するクリスタル・ド・ネージュは前述の前川清の持ち曲(恋唄(マドリガール))なんてワードを入れてあったりするが哀愁が溢れんばかりに発生しているせいか、聴き応えのあるガッツィーなアンセムにも成り得る。

続くStay The Nightあたりは、ライヴで披露されていた頃から一番抒情的な時期のDOKKEN辺りを比較したくなるなぁと思っていたし、この曲の力強さと切なさは天才ギタリスト星野学氏と情念の歌姫naru嬢(こう書くと女版ロニー・ディオみたいな誤解をされそうですが違うんです。...ケイト・ブッシュのような清廉さとポール・ショーティノの哀愁とアカネ・リヴのパワーを併せ持ったというかね…)にしか醸せないケミストリーだと思うし、ポジティヴに叩いている世代の違うテクニカルパワードラマーのRui君やコンポーザーの星野氏をして「曲に合った音を出してくれる」と言わしめる堅実なプレイで曲に貢献している“カッちゃん”こと山崎勝博氏というソリッドなリズム隊が脇を固めていることも特筆しておくべきだろう。

思わずパッヘルベルのカノンを想起させるメロディを持つもう一つのロサシリーズ、
ロサ・ユニヴァースはnaru嬢曰く超弦理論とホログラフィー原理をSCHÖENBERGの音楽の中で表現したという...なんとも耳慣れない単語に気圧されて当初はすんなり入ってこなかったのだがMETALLION68とBURRN!2020年6月号の星野氏とnaru嬢のインタビューを読んで「この世は全てホログラフィのような幻かもしれないけれど今ある現実というのは確かにあって今を生きている自分たちそのものであり、そのものではないかもしれない。でも今を大切に生きていれば新たな世界が見えてくるんぢゃないか」というポジティヴなメッセージを込めたんだと語るお二人の答えでSCHÖENBERGという真摯なロックバンドからの応援歌と捉えていいんぢゃないかと勝手に解釈してからは今までのロサシリーズと同様、聴く度に背中を押してくれるナンバーに聴こえてきた。これもライヴで聴くのが非常に楽しみなナンバーだ。

ポジティヴなバラード...というか非常に敬虔で安らかなメロディの中、命の子守歌のつもりで詞をつけ、歌っている最中に泣きそうになってしまうと歌い手のnaru嬢自身が語る「明日へ」はリラックスしている状態で聴くと一層、ヒーリング効果のある一曲だし、
SCHÖENBERGの背景にある根幹的な原点としてクラシックな音楽があるのでバロック音楽に惹かれているという意味でアルバムタイトルにも繋がっていると星野氏自身が語る「Baroque Gravity」では、アクセントとしてベートーヴェンの運命か?と思わせるワンフレーズが入っていたり、それこそ昨今の粗いソロが目立つイングウェイ御大よりもイングウェイらしい、もとい、イングウェイ御大よりも丁寧に音を紡ぎ、曲に溶け込み、且つ曲を昇華させるような天才ギタリスト星野 学氏の流麗なギターソロを堪能することが出来て心地よい。(個人的にはウリ・ロートやジーノ・ロート、ヘルゲ・エンゲルケ辺りのソロを思い出す部分もあるんですがどうでしょか)
幽霊船バシリカル号を題材にゴシックな世界観をnaru嬢がソプラノ唱法を駆使して歌いあげ、星野氏が好んで聴くというHans Zimmer等の映画音楽からの影響が表れたアグレッシヴな楽器陣が鎬を削る展開を見せる「The Ghost Ship Basilica」とその直前に配置された「水晶と幻惑の色彩」は前作「Another Veiled Story〜運命の系譜〜」に入っていてもおかしくないような気がしたが「The Ghost Ship Basilica」のプロローグとして捉えるとまた違って聴こえるから不思議だ。このオペラとアグレッシヴなロック演奏が絶妙にブレンドされているパターンのナンバーもSCHÖENBERGの唯一無二の個性であり、これを期待しているファンもいるのではないかと思う。

今回のアルバムで俗世間的にある男女の愛情や別れを題材にしたとnaru嬢は語っているがそれが最も分かり易い顕著な形で理解出来たのが個人的には真っ先に好きになった「Misty」だろう。先述の前川 清の「東京砂漠」をオマージュした曲とのことだが確かにHR/HMとかクラシカルなメロスピとかそういうカテゴライズを超えて狂おしいまでの郷愁を発生する胸に迫る曲であり、こんなメロディを創造出来る星野 学というギタリストはやはり天才と呼びたくなってしまう。

ラストを飾るメロスピチューン「罪俗ノクターン」ではカトリックのクリスチャンでもある!?naru嬢が「在俗」という教会用語から俗世間での罪を意味する「罪俗」という単語を作り、背徳的な世界観を官能的に歌い上げるのだが後から足されたという中間部のクラシカルなギターパートではソリッドなリズム隊の援護の中、星野氏が天翔けるようなプレイを披露している。

11曲、47分、全くだれることのない凄いアルバムを作ってくれたと思う。
人生において音楽に助けられた恩返しをするつもりで作ったと語る星野氏や
同じ時代を生きる我々に届けることが出来る奇跡を噛みしめていると謙虚に語るnaru嬢を筆頭にベースのカッちゃんや助っ人ドラマーのルイ君も含めて、本当に謙虚で素敵なこのバンドのメンバーが届けてくれたこのアルバムがメンバーの願い通りに少しでも沢山の耳に届くことを祈りたい。

大小問わずライヴ参戦も先行きが見えない世の中だが、本当に良質で真摯に音楽と向き合っているSCHÖENBERGのようなアクトを無くしてはいけない。
気軽にまたライヴに参戦ができるその日まで自分はSCHÖENBERGのGravityに惹かれて
ポジティヴに生き抜いてやろうと思う。それだけの力や元気を貰えた素敵な作品でした。

1.Gravity Overeture-惑星-,op.3
2.ロサ・インフィニティ
3.クリスタル・ド・ネージュ
4.Stay The Night
5.ロサ・ユニヴァース
6.明日へ
7.Baroque Gravity
8.水晶と幻惑の色彩
9.The Ghost Ship Basilica
10.Misty
11.罪俗ノクターン
http://schonberg.heavy.jp/
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