猪木とビンス(534)最終章

77年全日本プロレス「世界オープン・タッグ選手権」国際プロレス勢の前半戦の活躍ぶりは以下の通りです。

第３戦、12月４日、寝屋川市市民体育館(観衆3,000人発表)でラッシャー木村＆グレート草津組はドリー・ファンク・ジュニア＆テリー・ファンク組のザ・ファンクスと早くも対戦。

Ｒ木村とドリーは２年前の75年12月14日、山形・米沢市営体育館でオープン選手権公式戦で対戦し17分53秒、エビ固めでドリーが勝利。

69年にＲ木村がアメリカ修行の際、カンザス、ミズーリといったセントラルステーツ地区をサーキットしていた際、プロフェッサー・キムラというリングネームでヒールとしてファイトしていましたが、その時期にＮＷＡ世界ヘビー級王者だったドリーに挑戦したことがあるようです。

控室で、ドリーがしげしげとＲ木村の顔を見ていましたが、控え目な性格のＲ木村はそれを自分から言いだすようなタイプではありません。ある時ドリーが「ユー、どこかで俺とやっていないか？」と聞いたところＲ木村はようやく重い口を開いて「実は…」と話し始め、ドリーは「おお！あの時のプロフェッサー！」と再会を喜んでハグしたとのことです。

テリーとＲ木村は初対決、草津は両者とも初対決でした。試合は草津がテリーをカナディアン・バックブリーカーに担ぎ上げたところ、テリーが草津の肩の上でコーナーを蹴って反転させて、リバーススープレックスで投げつけ18分51秒、体固めでフォール勝ち。Ｒ木村＆草津組は１勝１敗で２点。ファンクスは開幕戦の天龍源一郎＆ロッキー羽田組、第２戦のザ・デストロイヤー＆テキサス・レッド組についで無傷の３連勝で６点。

マイティ井上＆高千穂明久組は大木金太郎＆キム・ドク組と対戦、13分38秒、大木が高千穂を体固め。Ｍ井上＆高千穂は３連敗で０点。

第４戦、12月５日、広島県立体育館(観衆4,900人発表)ではＲ木村＆草津組vsビル・ロビンソン＆ホースト・ホフマン組が公式戦で対戦。ロビンソンとホフマンはいずれも国際プロレスに参戦していました。Ｒ木村、草津とロビンソンは74年11月「ワールド・チャンピオン・シリーズ」以来の対戦。ホフマンとは草津はオープン選手権公式戦、75年12月11日、日本武道館での力道山13回忌追善記念興行で２度シングルで対戦し草津が連勝しています。Ｒ木村とホフマンはオープン選手権では対戦しておらず、74年６月の「ビッグ・サマー・シリーズ」以来の対戦。

試合はホフマンが草津をロープに飛ばし、得意のカウンターのサイド・スープレックス狙いに来たところを草津が身体を密着させて一回転、14分54秒、前方回転エビ固めでホフマンをフォール。２勝１敗で４点となりました。ホフマンは元気がありません。Ｍ井上は試合が組まれず休み。

第５戦、12月６日、福岡九電記念体育館(テレビ収録、観衆6,900人満員発表)ではＲ木村＆草津組は天龍＆羽田組と公式戦。両チームは先の「全軍対抗戦」でいずれも対戦済み。15分７秒､草津が羽田の回転エビ固めを切り替えしてエビ固めでフォール勝ちし３勝１敗の６点、Ｍ井上はジム・デュランに勝ち。

この日のメインイベントはファンクスvsロビンソン＆ホフマンの米欧タッグ頂上決戦が行われ45分時間切れ引き分けでした。

第６戦、12月７日、福井市体育館(観衆6,500人超満員発表)では夢のシングルマッチとしてＲ木村とテリーがシングル初対決。のらりくらりとした動きで返し技を多数持つドリーより直情激昂型のテリーの方がＲ木村には与しやすい相手でしたが９分31秒に両者リングアウトの引き分け。　　

草津は試合が組まれず、Ｍ井上＆高千穂組はドク＆デュランに勝っています。

第７戦、12月９日は馬場のお膝元､新潟市体育館(観衆4,500人満員発表)。Ｒ木村＆草津組とアブドーラ・ザ・ブッチャー＆ザ・シーク組の地上最悪コンビが公式戦で激突。

75年のオープン選手権でＲ木村、草津共にブッチャーとは対戦。Ｒ木村とは両者リングアウト、草津はフォール負けしています。シークとは両者共に初対決。

最初から大荒れの展開で７分38秒、両チームリングアウトの無得点試合、日頃、Ｒ木村が相手にしているキラー・トーア・カマタ、ジプシー・ジョー、アレックス・スミルノフ、クレイジー・セーラー・ホワイト、キラー・ブルックスらと比べると一段も二段も上の格上ヒールチームであり、馬場＆鶴田組が開幕戦で負けたことを考えると上出来の両リンではなかったかと思います。

Ｒ木村＆草津組は３勝１敗１両リンの６点となりました。

Ｍ井上＆高千穂組は天龍＆羽田組と公式戦で対戦し45分時間切れ引き分け。両チーム共に１点の初得点を挙げています。