猪木はウィリエム・ルスカにダブルアーム・スープレックス、弧は小さいが綺麗に決まりフォールの体勢へ、カウント2。
この試合は格闘技戦ながら通常のプロレスの試合ルールでした。
ルスカのパンチはまたもペタン、ペタンというパンチでスピードもなく、頭で考えてから身体が動いている感じでした。
猪木は場外に出てルスカの足を掬って倒しエプロンに足を叩きつける、そう、リングの中と外にあるもの全てを使って闘うのがプロレスなのだ。
桜井さん「ルスカは逃げてからまた攻める、ということをやりませんねぇ、とにかく真っ向からぶつかってますねぇ!」
ルスカの攻めは直線的かつ単調、百戦錬磨の猪木に動きを見切られて翻弄されながらも逃げず、愚直な迄に立ち向かいます。
ルスカは助走なしのドロップキック、しかしこれは猪木に簡単に読まれ自爆、お尻からドスンと落ちるルスカにまたも観客席から失笑が。
猪木はルスカの両足を捉えてリバースのインディアン・デスロック、ロープに逃げるルスカ、猪木はこれを強引にリング中央に引き戻しましたがレフェリーのミスター高橋はルスカのエスケープを有効と見なし、ブレークを命じました。
猪木はスリーパーホールド、試合はワンサイドの展開となりましたが、試合前のルスカの腕ひしぎ逆十字固めの痛みが再発したか、猪木は左腕をかばう動きを見せました。
舟橋アナ「猪木が左腕をかばっています」
桜井さん「猪木君が左腕をかばっていますが、ルスカがねぇ、ダメージが深くなって五分と五分になったんじゃないですかねぇ」
誰の目から見ても猪木のワンサイドゲームとなった試合展開なのに「五分と五分」と言い切る桜井さん、さすがだ!
2月6日の初戦ではレフェリーを務めていた解説の遠藤幸吉氏「お互いにコンディションの勝負ですね」
猪木はエルボー、ダウンしたルスカの両足を抱えると一気に逆エビ固め。腕立てと足を使ってこれをはねのけました。
反動で首から頭をマットに打ち付ける猪木。頭を押さえます。
これは実は猪木の首に相当なダメージを与えています。ルスカがプロレスは素人が故に、逆エビを返すタイミングが普通のプロレスラーと異なり、また苦しかったせいか力任せだった為ルスカの脚力で猪木が逆エビを返された時にタイミングと力を読めずに首からマットに突っ込んでしまいました。
猪木はコブラツイスト、体勢崩れてグラウンドへ。
舟橋アナ「桜井さん、猪木とルスカがフィニッシュにいく時は決め技は何があるでしょうか?」
桜井さん「そうですねぇ、猪木君は卍固め、あるいはバックドロップ、ルスカの方はアキレス腱固め、スリーパーホールドになるんではないでしょうか?」
桜井さんはこの段階に及んでもまだルスカがアキレス腱固めを出してくれるのではと期待しているようでした。
ルスカは猪木のバックに回るとバックドロップ。しかし身体が反れておらず不完全。
今度はお返しに猪木がバックドロップ。猪木はルスカの首を押さえるとコーナーポストの鉄柱へ一撃、場外に落ちるルスカ、セコンドのパット・パターソンがルスカに駆け寄りました。
リングに上がったルスカは額から一筋の流血が…猪木はナックルパンチを連発、ルスカはグロッキー状態で戦意喪失。高橋レフェリーの「まだやれるか!」の問いかけに倒れながら首を横に振るルスカ。
高橋はゴングを要請し21分47秒、レフェリーストップによる猪木の勝利に終わりました。
猪木はカール・ゴッチとの一連の闘いで散々辛酸を舐めさせられた結果僅か6日間だけ手にした実力世界一のチャンピオンベルトをゴッチから贈呈されています。
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