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2017年03月12日12:32

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ジャンボ鶴田怪物伝説(352)

猪木が日本プロレス時代に保持していた3本のベルトのうち、インターナショナル・タッグ王座はザ・ファンクスに奪われておりアジア・タッグ王座は直ちに王座決定戦が行われていますが、UNだけはわざわざカナダのバンクーバーで王座決定トーナメントを開催して(?)いる訳です。

何故バンクーバーなのか?UN王座(UNヘビー級と「ヘビー級」がつくようになったのはインターナショナル王座同様、全日本プロレスで復活してからで、日本プロレス時代はインターナショナル王座になぞらえ、ユナイテッドナショナル王座と呼ばれていた)は日本、アメリカ、カナダ、メキシコの4か国で認定されている「準国際タイトル」でした。

メキシコが入っているのはレイ・メンドーサが歴代王者の中に名を連ねており、71年3月26日にロサンゼルスで猪木がジョン・トロスを破って日本にベルトを持ち帰る直前の3月6日、前橋・群馬県スポーツセンターで猪木がミル・マスカラスと60分3本勝負で対戦(1-1から猪木のリングアウト勝ち)しているところから、両者のタイトルマッチが組まれることを想定してのものかと思われます。

ゴング誌によると、72年1月(日付不明)にカナダのバンクーバー・オーデトリアム(この会場の名前は他で聞いたことがない)において2日間にわたってUN王座決定トーナメントが開催された。

出場選手はデール・ルイス、ルーク・グラハム、ボリス(グレート)・マレンコ、ドン・ジャーデン(スーパー・デストロイヤー)、ペッパー・マーチン、ロニー・メイン(ムーンドッグ)、シャグ・トーマス、ルター・レンジ、トム・アンドリュース、ビル・ワット、ボビー・グラハム(ザ・ヘラキュリー)、キング・クローの12選手。

このトーナメントで1回戦にペッパー・マーチン(8分)、2回戦でワット(17分)、3回戦では「クジ運に恵まれて」決勝進出を果たしたキング・クローが、

同じく1回戦でルーク・グラハム、2回戦でロニー・メイン、3回戦でボリス・マレンコを破って決勝に進出したシャグ・トーマスと決勝で対戦。

21分36秒、バックブリーカーからの体固めでキング・クローが勝ち第6代UN王者となる。

と言う大変丁寧な解説文が記載されています。

一方、ベースボール・マガジン社の「秘蔵写真でつづる日本のプロレス」(75年5月発売)にはキング・クローが王者になったと書かれているのみ。

こちらはクローは第4代王者となっており、おそらく、初代がメンドーサ、2代目トロスという解釈かと思われます。

王者となったキング・クローはこの時点では未来日。バンクーバー出身の若手レスラーでした。バンクーバーが王座決定トーナメント開催の場所に選ばれた理由はこれです。

バンクーバーはジン・キニスキーの本拠地であり当時はサンダー・コバックスがプロモーターをしていたテリトリー。トーナメント参加選手も12人と83年版と全く同じ人数。

初代王者とされるデール・ルイスが入っているのがポイントですが、クロー、トーマスいずれとも当たっておらず。クローがクジ運に恵まれた、とあるのはおそらくルイスの「負傷棄権」があったかと…。そのあたりはストレートには書いていません。

他のルーク(65)、マレンコ(65)、ジャーデン(63)、マーチン(65)、メイン(66)、トーマス(64)、レンジ(61)、アンドリュース(69)、ワット(67)、ボビー(66)は過去10年間に日本プロレスに来日した(ボビー・グラハムことヘラキュリーだけは東京プロレス、レンジは69年に国際プロレスに再来日)外国人レスラーの中からまんべんなくチョイス。()内数字は来日した年。

未来日のクローにハンディを与える芸の細かさもあり、クローが新王者に。フィニッシュのバックブリーカーも怪しい。

クローは72年2月11日、ロサンゼルス・オリンピック・オーデトリアムにUNのベルトを巻いて現れ、坂口に敗れ王座を失う、言わばダミーチャンプでした。

同年5月、坂口に奪われたUNベルトを奪回しに日本プロレスに初来日。6月5日、前橋・群馬県スポーツセンターで坂口に挑むも2-0のストレート負け。以来日本に呼ばれることなく終わりました。

6月1日、大阪府立体育会館での坂口、マサ齋藤組vsマスカラス、クロー組の試合は映像が残っており、テレ朝チャンネルのワールドプロレスリングクラシックスで放送された他、ビデオパックニッポンから出ている「最強マスクマン烈伝」DVD-BOXにも収録されています。(もちろん主役はマスカラス)

キング・クローはダン・クロファットのリングネームでも活躍しており、全日本プロレスの常連であったダニー・クロファットのリングネームはクローをモチーフにしたものです。

いずれにしてもこの詳細で綿密に考えられたトーナメント表を作れるのはおそらく日本でただ1人、ゴング編集人、竹内宏介氏以外にはいない…(?)
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