新日本プロレスのフィリピン遠征2日目は12月9日、マニラ・リサール・メモリアルスタジアムに8300人(満員)の観客を動員しました。
メインイベントには藤波が登場、アドリアン・アドニスの挑戦を受けてWWFインターナショナル・ヘビー級王座の防衛戦を行っています。
アドニスのセコンドにはパートナーのディック・マードックが付きました。試合はアドニスが先にコブラツイストを見せれば藤波もコブラで切り返し。
アドニスはブルドッキング・ヘッドロックからフォールの体勢へ。しかしこれは藤波がクリア。
藤波はアドニスがブレーンバスターに来たところをバックに回ってジャパニーズ・レッグロールクラッチホールド(回転足折り固め)。
9分45秒、カウント3が入り、藤波が6度目の王座防衛を果たしています。
セミファイナルは猪木、坂口組の黄金コンビが久々に結成されアンドレ・ザ・ジャイアント、マードック組と対戦。
猪木と坂口2人だけのタッグは7月5日、大阪府立体育会館でのデビット・シュルツ、バッドニュース・アレン組戦(反則勝ち)以来5か月ぶりでした。
第5回MSGタッグ・リーグ戦の期間中、ダイナマイト・キッド、デービーボーイ・スミス組の全日本プロレスへの電撃移籍、ハルク・ホーガンのイカサマ的な負傷を理由とした1試合だけやっての途中帰国によるホーガン、ワイルド・サモアン組の棄権で、公式戦が組まれなかった会場が4つあったことは前に書きましたが、タイトル戦は無理でもこの時のフィリピン遠征時のようなカードを組んでいれば観客へのサービスに繋がったかと思います。
試合は10分27秒、猪木がバックドロップからマードックを体固めに降しています。
他は星野勘太郎vsタイガー戸口というマニアが思わず見たくなるようなシングル戦は戸口がブレーンバスター、バックドロップと大技を連発して片エビ固めで勝利。
木村健吾は後藤達俊と組んでケリー・ブラウン、ジェリー・モロー組との対戦、木村健がモローを稲妻レッグラリアットから体固めで破り、「稲妻(二郎)超え」(?)を果たしました。
荒川真はひょうきん殺法で武藤敬司を破り、小杉俊二は後にヤングライオン杯決勝で当たることになる山田恵一を逆エビ固めでギブアップさせての勝利。
この日の第1試合は佐野直喜が橋本真也を体固めで破りました。
新日本プロレスはこの後の坂口、藤波のハワイ遠征、猪木、ザ・コブラのMSG遠征を残してこのフィリピン遠征で84年の全日程を終了。
72年3月の旗揚げ戦からの歴史を見ても、これだけの選手が抜けてしまったことは前例がなく、観客動員、テレビ視聴率の低迷で、旗揚げからテレビ放送のつかなかった最初の1年間を除けば最も苦しい年であったと言っていいでしょう。
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