84年11月1日の東京体育館では、試合開始前の午後4時位から、早くから会場に駆けつけてくれたファン1000人を対象に、ファン感謝デー的なイベントを開催しています。
この日は木曜日であり、サラリーマンは参加出来ない時間の為、学生主体になりました。大学3年生だった私は見ることが出来ました。
新日本プロレスはファン感謝デー的イベントは滅多にやりません。全日本プロレスが毎年8月終わりにミル・マスカラスとよみうりランドでイベントを開催して、多くのちびっ子ファンを集めていたのは有名でしたが、
タイガーマスクが在籍していた時もタイガー単独のサイン会はあったものの、団体をあげての交流イベントはありません。78年2月9日、新春黄金シリーズ最終戦の日本武道館大会の翌日、東京体育館で「新春プロレスファンの集い」を開催。(入場無料、テレ朝の往復葉書による招待制)
猪木とマクガイヤー・ブラザーズがピコピコハンマーでゲームをしたり、コック経験のある藤原喜明が料理を作ったり、木村健吾歌謡ショーが行われたりしています。
試合もバトルロイヤル(このシリーズを最後に新日本を退団した大城大五郎が優勝)、猪木、坂口組vsハリウッド・ブロンドス(ジェリー・ブラウン&バディ・ロバーツ)が組まれ、笑福亭鶴光が司会進行を勤めました。
この模様はワールドプロレスリングとは別枠で2月15日午後7時30分からの水曜スペシャルで放送されました。
それ以来実に6年9か月ぶりのイベントとなりました。
客が入らなくなるとこの手のイベントをテコ入れ策で開催しだすのは仕方ないところで、集客が好調な時もファンを大事にしていればいいのに、とはいつも思います。
午後4時から猪木、坂口、藤波、木村健によるトークイベントの後、会場を利用しての「ウルトラ・スーパー超めちゃんこ闘魂スペシャルクイズ」が藤波かおり(香織)夫人も進行に加わって行われ、優勝した佐藤雅彦君にはペアで12月に予定されているフィリピン遠征の観戦付ツアー4日間の旅が贈られています。
古舘伊知郎アナの司会でプロレスファンとして知られるタレントの斉藤清六、山口良一、ラッツ&スターの鈴木雅之、田代まさしによる一夜限定ユニット、「エクソシスト」によるトークイベントも行われ、古舘アナの軽妙な話術で観客を大いに沸かせました。
3大決戦以外の試合では坂口と今シリーズ本隊側から参加していたタイガー戸口が組んでマスクド・スーパースター、バッドニュース・アレン組と両チームリングアウト。
猪木との対戦がなかったストロング・マシン1号はヒロ斉藤と組んで星野勘太郎、荒川真(ドン荒川)組と対戦。荒川が普段のコミカルファイトを封印して流血させられながらもマシン軍団相手に奮闘しましたが最後はマシンラリアットに沈んでいます。
木村健はブレット・ハートと対戦。80年7月23日には北九州市西日本総合展示場でNWAインターナショナル・ジュニア・ヘビー級王座決定戦で対戦している両者ですが今回はヘビー級に階級を上げての対戦。木村健が雪崩式ブレーンバスター、稲妻レッグラリアットと繋いでのフォール勝ちしています。
新日本東京体育館大会の裏では全日本プロレスがジャイアント・シリーズ最終戦を後楽園ホールで同日同時刻開催(ノーテレビ)。ここで長州がついに行動を起こしました。
午後7時44分、茶色の革ジャンにサングラス、ジーンズという姿で後楽園の5階入場口から1人で入って来た長州は南側K列35番の席に陣取り試合を観戦。
この日のメインは鶴田、天龍組vsテリー・ゴディ、バディ・ロバーツ組。試合は12分6秒、天龍がトップロープからの背面式ダイビング・エルボードロップからロバーツを片エビ固めで破り鶴龍コンビが勝利を収めていますが、会場に長州の姿を見つけた天龍はマイクを掴むと「長州、上がって来い!」と挑発。
これに反応した長州は革ジャンを脱いで白のシャツ姿でリングサイドまでやって来て一触即発状態になりました。
セコンドにいた全日本の選手が長州を制止に入り、長州は退場しました。
長州は敵陣の会場で実力行使、また受けて立つ全日本では長州迎撃の矢面に立つのが天龍であることがはっきりした訳です。
鶴田はエキサイトした天龍を制止したに留まり、自分からこの闘いの輪の中に入っていくことはしませんでした。
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