84年新春黄金シリーズ天王山は2月7日、蔵前国技館大会で12000人(超満員)の観客を動員しました。
札幌でのテレビ生中継の効果は観客数の伸びに顕著に現れました。
第4試合で前田日明と木村健吾がシングルで対戦、不穏とはいかないまでも噛み合わぬカタい試合をし両者フェンスアウト。
一夜にして時の人となったテロリスト藤原喜明は第5試合で維新軍の切り込み隊長アニマル浜口とのシングル戦。
浜口は長州の敵討ちとばかり藤原に襲いかかり藤原は早くも額から出血、浜口はブロックバスター(サモアン・スープレックス)からフォールの体勢へ。
おそらく、これまでの藤原であればこれでカウント3が入りフォール負けのパターンであろうかという場面でしたが、藤原はカウント2でキックアウト。館内からは大きなどよめきが。
額からの流血をものともせず、一本足頭突きを浜口に連発、さらにロープに振ってのタイガー・ジェット・シンばりのカウンターのコブラクロー。
しかしトレーナー姿の長州が試合に乱入、報復に出ました。場外で藤原を捉えると浜口がエプロンから足を掴んでのハイジャック式パイルドライバー。
4分44秒、藤原の反則勝ちとなりました。
続いてはダイナマイト・キッド、デービーボーイ・スミス、ザ・コブラの3人によるWWFジュニア・ヘビー級王座決定リーグ戦優勝決定戦。
試合は3人による巴戦で先に2勝した選手の勝ち。試合順は抽選で決められ、まずはコブラとスミスが対戦し両者リングアウト。
続いて札幌に次ぐ従兄弟対決のキッドとスミスが激突、スミスはキッドをリフトアップスラムで叩きつけるなどジュニア離れしたパワーを見せつけましたが札幌同様にキッドがリングアウト勝ちし1勝。
次は必然的にコブラの出番となりキッドとの対戦、キッドがセカンドロープからのサイド・スープレックスを見せればコブラもジャーマンを決めて応戦。
しかし、最後はキッドが自らジャンプしての豪快なバックドロップからそのままエビ固めにホールド。6分17秒、キッドが2勝を挙げ、第10代王者となりました。
セミ前の第9試合は、長州、谷津嘉章組vsハルク・ホーガン、アイアン・マイク・シャープ組。
珍しくラフバウトに出たホーガンがパンチで長州を出血させる展開となりカウンターのビッグブートで圧倒。長州もシャープを強引にバックドロップで投げて反撃に転じたものの8分20秒、ホーガンが谷津をアックスボンバーから体固めで破り、ホーガン、シャープ組の勝利。
長州は大型外国人選手と対戦すると持て余してしまい本領を発揮出来ないことがよくありました。
セミファイナルは猪木とのタッグを拒否した藤波がラッシャー木村とのシングル対決。
試合はスピードで勝る藤波がR木村を撹乱していきましたがR木村もカウンターのクロスチョップ、ラッシング・ラリアット、ブルドッキング・ヘッドロックと反撃し実力者ぶりを見せつけました。
劣勢になった藤波はコーナーの金具にR木村の額を叩きつけて流血させ、レフェリーの静止を無視して額を攻撃、9分24秒、暴走しての反則負けとなりました。
猪木の蔵前でのメインのシングルでの対戦相手にバッドニュース・アレンが抜擢されました。
アブドーラ・ザ・ブッチャーは蔵前大会を待たずに帰国、ホーガンとはIWGPでリベンジするまで対戦はなし、新日本初参戦のシャープは力はあるものの試合は雑、となるとアレン以外にはいなかったと思います。
試合はこのシリーズ結託しているR木村が乱入、場外でアレンが羽交い絞めにしたところにラッシング・ラリアットを狙いましたが猪木にかわされ同士討ち。
9分20秒、猪木が延髄斬りからの卍固めでアレンをギブアップさせてメインを締めました。
新日野毛道場育ちのアレンを猪木は全面的に信頼していたのは確かで、ブッチャーや85年に移籍してくるブルーザー・ブロディなど難しい選手のタッグパートナーとして組ませていました。
また、この直後に行われたフィリピン遠征の他、パキスタン、ドバイ、イタリア、さらに猪木がセミリタイアしてからのイラクの平和の祭典など猪木の大好きな辺境の地での興行には必ずアレンを連れて行っています。
ログインしてコメントを確認・投稿する