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2016年04月04日23:59

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ジャンボ鶴田怪物伝説(256)

スタン・ハンセンの全日本プロレス参戦は、王道マットを1本勝負主流に変えてみせました。

馬場的言い方をすれば「セオリーがない」ハンセンのプロレスはゴングと同時にラッシュしてパンチ、エルボー、ニーアタックを連発、間断なく攻め続け最後はウェスタン・ラリアットで相手をKOしてしまいます。

10〜15分で全てを見せてしまう訳ですから、当然2、3本目は必要ありません。

このハンセンのプロレスが確立されたのはもちろん新日本プロレスのリングでした。

新日本と全日本では3本勝負原則撤廃に至った時期と経緯は異なりますがいずれにしてもハンセンの一発必倒のファイトスタイルが影響していると思います。

新日本プロレスは81年にタイガーマスクがデビューすると、空前のブームを起こしますがそうなるとテレビ中継でも視聴率上昇の為に猪木、藤波、タイガーマスクの試合は全て放送したくなるのは当然の話であり、CMを除くと正味45分強の放送時間内に3試合詰め込まなければならず、生中継が基本の新日本では1試合辺り入場除き12〜13分の試合時間が多くなりました。

80年6月のサマー・ファイト・シリーズから設置された場外フェンスによるフェンスアウトルールは一つは全日本に負けない位の大物外国人が来るようになった新日本でも不透明決着を容認せざるを得なかったことと、もう一つは試合の短時間化の促進を図る為のものでした。

新日本の場合、3本勝負のうち1本は両チームリングアウト、あるいは両チームフェンスアウトが入るケースが多く実質的には「2本勝負」が増えて来ていました。

記録を調べると新日本は83年1月7日、戸田市スポーツセンター大会のメイン、猪木、藤波、木戸修組vsマサ齊藤、長州、ジェシー・ベンチュラ組が最後の3本勝負となっており(1本目は藤波と長州が両リン、2本目は猪木がベンチュラを体固め)、翌8日、松戸市運動公園体育館大会からはメインが60分1本勝負となり、全日本から遅れること8か月でこちらも3本勝負原則撤廃となっています。(その後、団体対抗戦などでスポット復活)

新日本の場合は齊藤、長州の革命軍による軍団抗争がマッチメークの主軸となったことが直接的要因ですが、外国人中心から日本人同士の抗争にマッチメークをシフトさせたのも元はと言えばハンセンを全日本に引き抜かれたことがきっかけ。

さらにハンセンが去ったことで長州がラリアットを使い初め、メキシコ修行を経て藤波に牙を向き、「ハイスパート」と言われたテンポの早いレスリングを行うようになりますが、

ハイスパートの大元は新日本時代のハンセンのセオリー無視の試合ぶりにあり、猪木がハンセンの凄みを際立たせる試合をしていたからなのです。

全日本へ話を戻すと、ハンセンを投入したことでリング上のスピードが早くなり、これまでのドリー・ファンク・ジュニア、ハーリー・レイスが得意としていた60分フルタイム使って組み立てるNWAスタイルからリングの中身が変わりました。

これについてハンセンは「馬場はニュージャパンでやっていたスタイルと同じでいい、と言ってくれた。特に注文はつけられなかった」とコメントしています。

ハンセンの全日本登場により、改めて新日本プロレスはレスリングのレベルの高さを証明し、全日本の選手達はハードヒットなプロレスにも本当は十分対応出来る実力者揃いであったことを証明した、という訳です。

さて、82年エキサイト・シリーズ開幕戦、5月14日後楽園ホール大会には当初参加外国人のメンバーに名前がなかったナチの戦犯クルト・フォン・ヘスが出場。佐藤昭雄と両者リングアウトとなりました。

ヘス自体は全日本に来たのは80年8月にカール・フォン・スタイガーとのザ・ジャーマンズで来て以来2回目ですが(当初ジャーマンズはマスクマンのマスクド・アウトローズ1&2号として来日し、来日記者会見でマスクを自ら脱いだ)、この時はタイガー・ジェット・シンのパートナーとしての役割でやって来ました。

リッキー・スティムボート、ディック・スレーターは80年の最強タッグ以来のコンビを結成、阿修羅・原、マイティ井上組と対戦しスレーターがトップロープからのダイビング・エルボースタッブで井上を片エビ固め。

セミファイナルでは天龍とシンが一騎討ち、天龍はシンの凶器攻撃で額から流血、場外乱闘となりそこへやはり参加メンバーにはいなかった白いシャツにズボンの私服姿の上田馬之助が乱入して天龍を攻撃。さらにヘスも加わりました。

日本側も天龍のピンチにセコンドのグレート小鹿以下が助けに入り5分32秒、両者反則となりました。この辺りのディテールは新日本プロレスを巧みにオマージュしています。

メインは馬場、鶴田組vsハンセン、ロン・ミラー組で鶴田が回転エビ固めでミラーを破り開幕戦を白星で飾りました。
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