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2015年11月15日04:14

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新日本プロレス北米選手権考察(35)

豪華外国人メンバーが揃った80年の第3回MSGシリーズではWWF北米ヘビー級、北米タッグ両王座とも防衛戦の開催はありませんでした。

6月5日、蔵前国技館での優勝決定戦は決勝リーグ戦1位は35点の猪木で、2位には32点でアンドレ・ザ・ジャイアント、スタン・ハンセンに北米王者の坂口の3人が並びました。

決勝進出者決定トーナメントは抽選の結果第1試合でアンドレが坂口をビッグブートからヒッププッシュで4分37秒、体固めで圧殺。

続いて1回戦シードのハンセンがアンドレと対戦。ハンセンは場外でセコンドのハルク・ホーガンを使ってアンドレの注意を引き、その間にリングに上がるという作戦で1分48秒リングアウト勝ちで決勝に進出しました。

猪木とハンセンの優勝決定戦はまたもホーガンが乱入しハンセンと共にブルロープで猪木の首を絞めて7分45秒反則勝ちで猪木が3連覇を達成。

6月19日、高崎市体育館で開幕したサマー・ファイト・シリーズからリングサイドに場外フェンスが設置され、フェンス越しに対戦相手を観客席に投げたら反則負けというルールが制定されました。

全日本プロレスが場外カウントを10、反則負けでも王座移動という「PWFルール」を採用したのは大物外国人同士の対戦で不透明決着を容認する為であり、日本テレビの解説をしていた東スポの山田隆氏は「リング内で正々堂々と決着をつける為の場外10カウント、反則負けで逃げられないようにする王座移動」とスポーツライクさを強調していましたが実際には双方に優劣を付けない為に定められたルールでした。

モハメド・アリと猪木との試合で負った多額の負債を猪木が異種格闘技戦による特番放送による別予算のテレビ放映権料とシリーズオフの海外遠征で身を削って外貨を稼いだことにより前年完済。

資金が潤沢になった新日本プロレスは79年の闘魂シリーズから外国人メンバーが充実して来ました。

この時期からアントンハイセルに猪木が資金をつぎ込むようになるまでの間が一番外国人メンバーが良かったように思います。

そうなると新日本も不透明決着が増加するのは必然的な流れで、その為に場外フェンスが設置された、というのが妥当かと考えます。

6月25日、函館市民体育館で坂口、長州組はバッドニュース・アレン、ゲシュタポ(リック・オリバー)組の挑戦を受けて北米タッグ王座防衛戦を行いました。

1本目は9分31秒に長州とアレンが両チームリングアウト、2本目は3分36秒に長州がカナディアン・バックブリーカーでゲシュタポをギブアップさせ2-1で坂口、長州組が8度目の防衛。この試合はノーテレビでした。

シリーズ終了後は8月8日、ロサンゼルス・オリンピック・オーデトリアムに1年2か月ぶりに出場。

ロン・スター、ジ・アサシン組と防衛戦を行い16分48秒逆エビ固めで坂口がアサシンをギブアップさせて9度目の防衛を果たしています。

ちなみにアサシンの正体に関してはジョニー・マンテル説もありますが確証はなくその後新日本への来日もなかった為、調査したものの判明しておりません。

日本プロレスに来日したオリジナルのアサシンズのトーマス・リネストゥ、ロッキー・ハミルトンや76年に国際プロレスに来たスーパー・アサシンのロジャー・スミスでないことは明らかで、おそらく急造マスクマンかと思われます。

この日は藤波も参戦し、未来日だったトム・プリチャードを13分32秒、ジャーマンで降しWWFジュニア・ヘビー級王座13度目の防衛に成功。

翌8月9日にはニューヨーク・センチュリー・シェアスタジアムでWWFのビッグマッチが開催されておりますが、坂口、長州は参加せず新日本からは猪木、藤波が出場。

猪木はラリー・シャープを9分41秒、延髄斬りからの体固めでNWFヘビー級王座2度目の防衛。

藤波はチャボ・ゲレロを10分28秒、回転足折り固めで丸め込みWWFジュニア・ヘビー級王座を14度目の防衛。

WWFヘビー級王者ボブ・バックランドは元同王者のペドロ・モラレスとドリームタッグを結成し2月にWWF入りしたアファ・アノアイとシカ・アノアイのザ・サモアンズのWWFタッグ王座に挑戦し2-0のストレート勝ちで王座奪取していますが、バックランド、モラレス組はこの日限りの限定チャンピオンで、ベルトは翌日サモアンズに戻されました。

アンドレはホーガンとシングルで対戦し勝利を収めています。ホーガンは50000人集めたとされるシェアスタジアムでのビッグマッチで早くもアンドレとのシングルマッチが組まれ、スピード出世ぶりを見せています。
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