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2019年02月21日23:51

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覇権国の系統

過去の「覇権国」には
二つの系統があります。

一つ目は、
マッキンダーの地政学でいう「シーパワー」、
梅棹忠雄の文明の生態史観では
「第一地域」の国々から
順繰りに登場した覇権国。

封建制度を経験し、議会制が誕生。
やがて議会制民主主義国となり、
主に「海軍」の力で
シーレーンを抑えることで
覇権国となった国々。

すなわち、
ネーデルランド連邦共和国(オランダ)、
連合王国(イギリス)、
そしてアメリカ合衆国。

二つ目は、
地政学では「ランドパワー」、
文明の生態史観では
「第二地域」から登場した、
広大な領域を支配下に置く覇権国。


権力は
「たった一人の人物=皇帝」に集中し、
支配する土地を常に拡大していく結果、
必然的に他民族、多言語、
多宗教となる覇権国。

すなわち、大モンゴル帝国とソ連。

現在の覇権国であるアメリカに
挑戦しようとしている
「中国共産党(中華人民共和国ではなく)」もまた、
ランドパワー、第二位地域の「出身」になります。

さて、本日は一つ目の覇権の系統、
つまりはオランダ、イギリス、
アメリカについて取り上げたいのですが、
この三カ国が覇権国になった
最大の理由は何でしょうか。

現在のアメリカを見ていると、
「圧倒的な軍事力」により、
世界の覇権を握ったように見えます。

無論、アメリカの軍事力が
世界最強なのは確かですが、

それは「後に軍事大国化した」
という話です。

イギリスから覇権を受け継いだ時代のアメリカは、
モンロー主義の影響もあり、
それほど軍備に予算を使っていませんでした。


あるいは、オランダにしても、
軍事力に限れば当時の宗主国であった
スペインと比べると、はるかに貧弱でした。

それでも、
オランダはスペインから覇権を奪い取った。

そして、イギリス。

イギリスが覇権国に上り詰めたのは、
「第二次英仏百年戦争」と呼ばれる、
長きにわたる戦乱の時代でした。

名誉革命でオランダのオラニエ公が
イングランドに招かれ、
ウィリアム三世として即位。
太陽王ルイ十四世が君臨する
当時の軍事大国フランスと、
長期の戦争を始めます。


何しろ、ナポレオン没落まで
百年以上も戦わざるを
得なかったわけですから、

当時のイギリスの軍事力は、
決してフランスを
凌駕していたわけではなかったのです。

軍事力にそれほど
秀でていたわけではないにも関わらず、
オランダ、イギリス、
アメリカは覇権国となった。

理由は、生産性なのです。

つまりは、生産者一人当たりの生産量の拡大です。

シーパワーとして
最初に覇権国になったスペインは、
アメリカ大陸から送られてくる
金銀に胡坐をかき、
自国の経済力(≒生産性)を
高めようとはしませんでした。


何しろ、運ばれてくる
膨大な金や銀で金貨、
銀貨を鋳造すれば、
それだけで軍事力を
強化することができたのです。

スペインと対立し、
何十年も独立戦争を
戦ったオランダ側には
資源がありません。
金銀もありません。

だからこそ、
オランダ人は交易、造船、
毛織物、農業、金融といった
産業の生産性を高め、
経済力でスペインを
圧倒することで
「覇権交代」に至ったのでございます。

1670年、
オランダに所属した船の数は
イギリスの3倍で、
英仏西葡独の船舶全てを合わせても、
オランダ一国にかないませんでした。

オランダ製の船舶数は、
欧州の船舶2万隻のうち
7〜8割を占めたわけですから、
半端ありません。

そして、イギリス。
インド産キャラコに対抗するため、
イギリス国内で綿製品に関する
様々な発明、技術開発、
設備投資が進み、
イギリス産業の生産性を
「数百倍」にまで高めます。


結果的に、
イギリスは世界の工場となり、
太陽の沈まない大英帝国を
築くに至ったのです。

さらには、アメリカ。

アメリカを覇権国に押し上げる
生産性向上の理由は、実は「人手不足」でした。

アメリカの賃金水準は、
1800年時点で
西ヨーロッパより三割ほど高く、
19世紀を通じ、
高いままの状況が続きます。
西部開拓で領土が広がり、
さらに南北戦争後に製造業が大発展し、
アメリカは移民が
流入し続けているにも関わらず、
常に人手不足の状況が続きました。

労働力不足が継続した結果、
アメリカでは機械化、自動化が進み、
生産性を押し上げていきます。

さて、支配領域が広大が故に、
多言語国家とならざるを得ない
ランドパワー、第二地域の覇権国に対し、
シーパワー、第一地域の覇権国は
「言語が統一されている」という
特徴を持ちます。

オランダはオランダ語、イギリスは英語、
アメリカは移民国家ではありますが、
移民に対し「アメリカ英語の使用」を強制しました。

言語的に統一されているが故に、
生産性向上が容易だった。

あるいは、
生産性向上のスピードが速かった。

結果、三カ国は(順番に)覇権国に
なっていったと考えて間違いありません。

ランドパワー側はともかく、
シーパワー側の覇権国の条件は
「統一言語+人手不足+圧倒的な生産性向上
(厳密には生産性向上のための投資)」なのです。


上記を理解したとき、
シーパワー側の「将来の、次なる覇権国」の
資格を全て満たしている国が、
世界に一つだけあることに気が付きます。

すなわち、我が国です。

そして、日本国が移民を受け入れ、
さらには「多文化共生」などとやることは、
我が国から「覇権国の資格」を
奪い取っていく流れそのものであることも
理解できるのです。

日本の移民受入は、
大げさでも何でもなく
「人類の歴史を変える」ほどに
重大事なのです。
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