VITPILEN 701

　新車同様のエグリターゲット６００がこちらに来ないことになった。一度は買う覚悟決めたバイクが来なくなったのでほっとするが、んじゃー今買えるオンロードバイクのビッグシングルに懸想してみる。
　理想のバイクとは？
　そりゃーゼロヨン１０秒も最高速３００キロも大昔の図鑑少年としては魅力的ではあるが、血液が後頭部に集まるのがわかるようなような大加速はともかく最高速は出す機会がない。現実問題として、おれ今までの人生でバイクで２５０キロ以上出したことはないしそれで巡航したこともない。
　もし笹本がドイツ在住で目の前にアウトバーンがあって、出せる限りの速度で好きなだけ走れるみたいな生活環境だったら、カワサキH２とかスズキハヤブサみたいなバイクも選択肢に入ってくるかもしれない。ビジネスマンズエキスプレスのバイク版ね。
　しかし、笹本は現在試される北の大地在住。都市生活者としては、大型バイクをのんびり乗り回すのはまだ先のことになりそうである。
　夢のバイクならともかく、実用の道具として理想のバイクは、取り回しやすくて常用域で速くて小さくて軽くてすばしっこくて楽なもの、とだいたい決まってきた。今乗ってるSRVは小さくて軽いけどすばしっこくはない。だからってあんまり不満もないんだが。なんせ買うときに「遅いですよー」って言われて、「早いのが欲しければそういの買うから大丈夫」とか言ってるんだから。
　しかしながら、オンロードビッグシングルというマイナーなジャンルが自分に向いているバイクだと思ってるのもまた事実。
　んじゃ、現代のオンロードビッグシングルはどんなのがあるか。
　オーストリアのハクスバーナが、ヴィットピレン７０１という新型車を去年発売している。現物見た人の話によると、小さくて良いらしい。なんであらためて情報を収集してみる。
　オーストリア製ってことはドイツ車みたいなもんか。水冷単気筒で排気量６９３cc、ボア１０５ミリのストローク８０ミリ、圧縮比なんと１２・８！？昔乗ってたSRXが８・５だったからその一倍半！最高出力は７５馬力ってえからこれもSRXの一倍半くらい。最高速度は推定２３０キロという数字をネット上で見掛けた。２００キロも出れば充分なんで問題はない。
　単気筒エンジン最大の問題、震動に関しては、二軸のバランサーが入ってかなり改善されているという。７０００からレッドゾーンだったSRXに対してこちらは９０００から、最高出力は８５００で発生。直径１０センチを越えるでっかいピストンがそれだけ高速で往復運動すると考えると、恐ろしいくらいの高回転型である。
　んじゃ、近所でそれ扱ってる店あるの？
　探してみたら。あーら、札幌ドームの先にありますねえ。３６号線沿い、あのあたりか。
　見に行ってきました。あのあたりなら車で２０分くらいかなー。雨だけど。
　BMWのバイク置いてあるディーラーがあるのは知ってたけど、その近所だったのね。一度通り過ぎてしまい、裏から回り込む。
　３６号線沿い一階ディーラーにはBMWしかおいてなくて、店員に聞いてみたら一番下だという。斜面に三階分くらいのディーラーやら展示スペースがあって、一番下に見に来た７０１があった。
　意外とでかい。というか長い。ホイルベース長いように思ったが、１４４０ミリとそりゃあSRXよりは長いけど、直進性確保のためかなー。
　跨がらせてもらったら、あらあー爪先やっと。かかとまでべったりだったSRXほどじゃないな。そんなにシート高いのか。
　ラジエーターの横に給水口とか幅ひとつ分広くなってて、でもまあハンドルよりは狭いからそこは気にするほどじゃないと。
　リヤのナンバーマウントは、なんとスイングアーム右側からプラスチックで後方水平に延長されてタイヤに回り込んでいた。こんなデザインしてたのねえ。
　なんかねえ、思ったより大きかったんで、落ちた感じかなー。前から切望してるとおり、KTMでRC690なり７００なり出ればいいのに。
　しかし、ABSにスリッパークラッチ（バックトルクリミッター的なもの）、トラクションコントロールまで電子装備完備なのはありがたい。てーか素でSRX600の一倍半の数値性能となると、電子制御しないと一般人には扱えませんってところだろう。
　店員さんに聞いたところ、燃費は２５キロくらい、３０００キロごとにオイルとフィルター交換で工賃７０００円くらいだって。
　外車乗ったことないんだが、何か注意することは？と聞いてみるが、最近の外車なら心配ないって。
　見せてもらったのがまさに試乗車なので連絡していけば乗せてもらえるだろうが、タイヤの耳がまだぴんぴん出たままの状態のバイク、しかもトルク変動の激しい軽くてハイパワーなバイクで試乗するのは怖そうだ。

　理想のバイクなー。小さくて軽くてすばしっこい、低速トルクの項さえ妥協できればSDRが最適解かなー。