「大丈夫だ〜」と言って欲しかった

　志村けんさんが亡くなった。
　このニュースはショックであった。

　多分、オイラの世代だと生まれてはじめて面白いと思ったコメディアンは志村けんさんといってもいいだろう、というくらい志村さんの存在は凄かった。
　ドリフターズのメンバーとして出演した『８時だよ!! 全員集合』での「東村山音頭」、「ディスコばあちゃん」、「カラスの勝手でしょう」、「早口ことば」、「最初はグー」は、オイラの世代が子供だった頃には必ずマネをしたに違いない。
　また、『全員集合』での志村さんの立場は、それまでのドリフの笑いがいかりやさんの絶対的君主に虐げられたられていた加藤さん達が逆襲するという笑いから、下の志村さんが上の立場のいかりやさんを常にからかうという笑いに変え、それでドリフの人気を長くさせたというのもある。
　今思うと、志村さんの在籍時の『全員集合』で最も笑っていたのは志村さんがいかりやさんをからかう姿であったのを思い出した。

　そんな笑っていた志村さんであったが、オイラが中学生の頃の放送されていた『志村けんのだいじょうぶだぁ』は冷めていたというかバカにしていた。
　背伸びをしていたからか、『だいじょうぶだぁ』のギャグは子供かなんでも笑うような若い女性に向けたギャグに思えていたのと、時々コントが『ドリフの大爆笑』と同じネタをしていたというので、とてもレベルの低いものに思え、男性も意識していたたけしさんやさんまさんに行ってしまっていたのである。

　でも、20代になって笑いというのに強い欲を持っていた時、アドリブが主体の笑いとなった中で、ちゃんと練られたコントをし、定番ギャグにも魅力があると気づかせてもらった時、志村けんというコメディアンがどんなに偉大な人なのかと気づき、十代の頃のとがって見方をしていた自分に恥じたものであった。

　最近は地上波を見なくなり、CSを多く観るようになったけど。
　CSでは昔の志村さんの番組を多くやっていたので、それを観てはとても楽しんでいた。
　そして、最近、コロナになったというニュースを聞き病気とは無縁そうな明るいキャラのイメージがあったので驚いてしまい、大丈夫かなと心配になっていた。
　そして、今日、訃報のニュースである。
　よりによって、今、話題になっているコロナで死ぬなんて。

　今頃、あの世でいかりやさん、荒井注さん、東八郎さんらと面白い笑いを作り始められているだろうな。

　合掌。

追伸
　あと、志村さんといえば、ドリフの正式メンバーになる前に組んでいた『マックボンボン』である。
　後の志村さんのギャグを彷彿させる動き、ケリによるツッコミは凄かったらしい。
　高田文夫さんが、「コント55号の次はマックボンボンだ」と言われていたくらいである。
　それだけに、マックボンボンの映像がないのが残念である。