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2021年04月26日08:08

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回想 太宰治

『回想 太宰治』新潮社1983年、野原一夫著。
編集者として太宰と付き合い続けた野原一夫の回想記。生々しい太宰の生活と苦悩につき、鑑賞直後でもあった『人間失格 太宰治と3人の女たち』を裏付けるかのような解説に出会った気分でした。津軽からの上京、反対された結婚、心の病、才能、ユーモア、結核、津島美知子、息子、太田静子 、山崎富栄 、、、複数の自殺未遂を経験しながら最後は39歳の誕生日を目前に思いを遂げたとされる太宰治は芥川龍之介や泉鏡花を尊敬していた、と。イメージされる根暗とは違う過剰な迄のサービス精神も 人見知りで酒無しでは人とコミュニケーションが取れなかった性格からなのでしょうか。宴席で三島由紀夫が太宰に直接言い放ったとされる太宰の人間的弱さが「人たらし」「女たらし」であるとされる仄めかす著者。「子早い」と冗談めかした太宰が、太田静子さんとの間に出来た子の認知状を書く際の描写も生々しく。玉川上水で発見された遺体検証に立ち会った著者は、その後に浮上した他殺説については明確に否定していましたが、そんな著者だからこそ書けたと思われる内容でした。自らの寿命を知っていたかの様に生き急ぎながらの旺盛な創作意欲は、太宰治に限らず複数の文豪が通り抜けた道なのかもしれません。
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