ロープ

『ロープ(Rope)』米国1948年公開、Pハミルトン原作、Aヒチコック監督、Jスチュワート、Jドール、Fグレンジャー、Jチャンドラー、S.C.ハードウィック、Cコリアー、ら。
学歴優秀な二人がニューヨーク摩天楼を見渡すアパートで、ニーチェ理論を実践すべく同窓生デイヴィッドを絞め殺して遺体を納めたチェスト(整理箪笥)の上に並べた晩餐を囲み、スリルを更に味わう為に関係者を招いてパーティーを開く、という何とも悪趣味なお話。1924年の「レオポルドとローブ事件」が題材、との事ですが、調べる程にニーチェの優越思想とやらが紹介されていて、純粋無垢な青少年には確かに危なそうな空気がプンプンと臭います。人生経験少ない青少年が哲学を学ぶのは頭でっかちになりかねず、早すぎるのでは？、と個人的には思います。私が高校生の頃、哲学者を一人選んで調べた事を発表する、なんて授業がありましたが、ニーチェやら、カントやら、ヘーゲルやら、、って、ちんぷんかんぷんでした。今でも殆ど変わってはいませんが。Jスチュワートが演じた青年達の大学教授カデルも、「世の中には法律など超越した超人がいてもいい」等と嘗て授業で話していた事をパーティで場違いにも繰り返すとは、未だ未だ尻が青いようにも思えましたが。実行犯人の一人であるブランドンに対して共犯者のフィリップが徐々に反感を抱いて行きながらも精神的に追い詰められ憔悴していく様子、なかなかの見応えがありました。ヒチコック最初のカラー作品、且つ ワンカット？という触れ込みで、まるで舞台を観ているかのようです。米国映画にしては皆がハキハキした台詞だったので英語学習に適しているでせう。デイヴィッドの恋人役ジャネットを演じたジョアン・チャンドラーが素敵、1946年に公開されたチャンドラー出演作『ユーモレスク』も是非とも観たくなりました。