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2020年11月16日07:22

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誰も書かなかったアラブ

『誰も書かなかったアラブ』山口淑子著、サンケイ新聞社出版局1974年発行。〜“ゲリラの民”の詩と真実〜と副題された本著は三回に渡る中東取材から書き下ろされたB6判226頁。先日10月17日に鎌倉川喜多記念館にて行われた『萬世流芳』上映会と関連講演会の合間に、山口淑子さん御自宅に"余っていた"書籍を希望者に配りたいと御親族から申し出があり、私は幸運にもこの一冊を頂けた次第。山口淑子御自身の数奇な半生を踏まえ好奇心と行動力が各頁に溢れていました。イスラエルとアラブの両方を訪れ、一方に肩入れする由はなかったと思いますが。パレスチナ人には国籍がないという現実、「救済や援助は要らないが共に戦って欲しい、貧しさが恥ずかしいのではなく戦いを忘れた時が死ぬ程恥ずかしい」や「多くのパレスチナ人(アラブ人)はユダヤ人との共存を望んでおり憎んでいるのは力づくで私達の国を奪おうとするシオニズムである」等 複数のパレスチナ人から聞かされた言葉に自身の半生を何度も振り返させられた、と言います。歌姫オンム カルスーンの後継者でパレスチナの「心」を歌うレバノンのパレスチナ人歌姫ヘイルーズの紹介。インタビューしたパレスチナの小説家でジャーナリストでもあるガッサーン・カナファーニー氏が爆殺されたショック。医療従事者の中野マリ子、テロリストのライラ ハレド、日本赤軍の重信房子、達に対するアプローチとインタビュー。パレスチナ難民キャンプで母親から懇願され、2歳の男の子に山口力という名前をつけて引き取る約束をしてしまった、させられてしまった山口淑子に立ちはだかった日本の法体系、結局この話はどうなってしまったのでしょう? 日本へ留学生したがっているパレスチナ人への「実現出来るよう努力する」という約束。様々な宿命と宿題を背負った山口淑子さんは、歌手と女優という枠に留まれず、「3時のあなた」司会者から参議院議員を経て波瀾万丈の人生を猛スピードで駆け抜けて行いかれた、ような気がします。
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