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2020年11月11日07:58

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流れる星は生きている

『流れる星は生きている』1949年公開、藤原てい原作、小石栄一監督、三益愛子、三條美紀、羽鳥敏子、徳川夢声、植村謙二郎、小宮一晃、ら。
満洲の気象台に勤めていた夫(新田次郎)と離れ命からがら新京→朝鮮半島南下を経て日本に引き揚げた藤原てい原作に基づくお話。幼子三人を連れながら雨や泥の中を歩き続け川を渡るシーンが壮絶です。もう歩けないとへこたれる息子を叱咤しながらどれ程を歩き続けたのでしょうか。いつ命を落としてもおかしくない肉体と精神状態の限界に鞭打ち続ける事が出来たのは、敗戦国民として苦労から逃れられはしないものの祖国に帰る事が出来ればなんとかなる、という微かな希望が残されていたからでしょうか。加えて、夫を置いたまま先に大陸を離れたからには石にかじりついても後で引き揚げ船に乗るはずの夫を祖国で待ち迎えなければならないとする悲壮な義務感もあったはずです。引き揚げ後、意志に反しキャバレー等で生計の糧を得ざるを得なかった堀井節子(三條美紀)ら婦人達も多い中、運良く製本屋で働き口を見付けた主演の三益愛子は経営者から次男(佐藤勝彦)を跡取として里子に欲しいと言われながらの揺れ続ける葛藤を好演していました。里子に出されるのではないかと気付いた次男(佐藤勝彦)をビクビクさせてしまった世の中と大人の世界を怨めしく思いました。路上靴磨きで家計を助けようとする健気な長男(大久保進)がジフテリアという粘膜症に感染、治療代が足りずに途方くれるも相談した医者(徳川夢声)の優しさに救われまが、この作品を観ている方も救われた思いです。やはり、「誠意を持って正面から相談してみる」という態度って、いつの世も大切である事を教えられます。ハッピーエンドで幕となり、ホッとした鑑賞でした。
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