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2020年07月28日08:25

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ニノチカ

『ニノチカ(Ninotchka)』米国1939年、エルンスト・ルビッチ監督、グレタ・ガルボ、メルヴィン・ダグラス、ら。
先日のBSプレミアムで放送された録画を鑑賞しました。小津安二郎連続講座で城西国際大学の滝浪先生が絶賛していたルビッチの作品を観るのも楽しみでした。当時の風刺作品としては相当なレベルなんだろうと思います。貴金属売却の使命を果たす為にソ連からパリへ派遣された三人の役人を現地指導する為に送り込まれた共産主義信奉者で特別全権大使ニノチカ(ガルボ)が恋に落ちる、というお話。ガルボがレストランで急に大声で笑い出すシーン、新鮮でたまげました。これでグッと来ない男性がいるでしょうか? ガルボにコメディは似合わないだろう、と、偏見たっぷりにそう思い込んでいたのですが、撤回します。只でさえ鉄仮面被りながら何かを押さえ込んだ風情のガルボが、ソ連の役人として、労働者階級が屯するパリのレストランに入り込んだ空気からして腹を抱え込む寸前でした。共産主義やソビエト連邦を風刺したコメディ多かれど、この作品も一押しです。笑わない人間を笑わせる事に「遣り甲斐」を感じる事がありますが、「笑わない女優」を笑わせる脚本と、それに同意したガルボも賞賛されるべきだと思います。レオン(メルヴィン・ダグラス)とキスを交わした後に「自分が殺したポーランド兵にもキスをしたわ」と言い張る所までは何とか強がっていたガルボ、以降は資本主義に「毒されて」いく一方でした。1939年公開というタイミングや、前に観た『征服』におけるナポレオンの対ロシア感情と因縁、等 様々な思惑にも囚われます。ソ連役人達による「思い出までは検閲出来ない」という台詞、ガルボによる「ソビエトには高い理想があり、パリには暖かい気候がある」という台詞、ガルボの美貌のみならず数々の台詞を楽しめました。ガルボに惚れたダグラスがマルクス資本論を読みこなそうとしているシーンも興味部外者です。ガルボの初トーキー作品『アンナ・クリスティ』での「Garbo talks!」と宣伝されたように、本作品公開前は「Garbo laughs!」で相当な人が映画館に駆け付けたであろう事が推測されます。
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