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2020年07月21日08:24

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君の名は

『君の名は(前編&後編)』1953年&1954年公開、菊田一夫原作、大庭秀雄監督、佐田啓二、岸恵子、淡島千景、川喜多雄二、市川春代、ら。こんな大作、未だ観ておりませんでした。5月24日空襲を逃げ惑い、同じ防空壕で生き延びた佐田啓二と岸恵子。お互いの名前をも確認する余裕ないままに翌日の5月25日空襲サイレンが鳴り、「もし生きていたら、、半年後の11月24日の夜にここ(数寄屋橋)で会いませう(佐田啓二)」→「ええ、是非、きっと(岸恵子)」と、離れ離れに。お互いの名前くらい聞く余裕も無かったのか?、と冷ややかにも思い掛けましたが、物語が成り立たなくなるので、そう言った揚げ足取りは自分で却下した上で鑑賞を続けました。過去を思い出そうとする努力vs忘れようとする努力、について考え込まされるシーンが複数出て来ます。割り切れないまま、納得しないまま、自分自身に嘘をつきながら結婚に踏み切り時間を味方に付けて幸せになる人もいれば、結局忘れ切れなかった過去に引き摺られて悶え続ける人もいます。後者の様な人生があるからこそ、沢山の物語が残されて来たわけで。北海道、鳥羽志摩、佐渡、雲仙、、と一作で日本全国をこれだけロケするスケールも凄いものです。岸恵子を挟んだ佐田啓二と川喜多雄二のドロドロな三角関係も壮絶ですが、岸恵子の良き友人を演じた淡島千景による佐田啓二への好意がいつ脱線するのか否かの関心がこの作品に更なる緊張感を与えていたように思います。嫁(岸恵子)姑(市川春代)に挟まれながら嫉妬の権化となり続けた川喜多雄二って結局は本職の歯科医に収まっていたのですね。憎まれ姑役の市川春代、病に倒れて哲弥で看病してくれた岸恵子へ弱々しく本音を漏らすシーンも見事でした。ところで摩周湖畔で佐田啓二を愛したアイヌ娘を演じた北原三枝の自殺って一体何だったのか、、、?
幾つもの名曲が挿入されていました。「君の名は」「君いとしき人よ」「花のいのちは」「黒百合の歌」「君は遥かな」「忘れ得ぬ人」「数寄屋橋エレジー」
「綾の歌」、、佐田啓二が歌ったり、淡島千景が歌ったり。菊田一夫作詞と古関裕而作曲の名コンビも歴史的な偉業だと思います。エンディングは菊田一夫の想いを淡島千景が呟きます。「忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ」と。さて、東京空襲の中で一番悪名高いのが3月10日の「東京大空襲」ですが、この映画では525機のB29により800名弱が亡くなったとされる麹町・麻布・牛込・本郷方面の5月24日空襲が紹介されています。翌日5月25日 の「山手大空襲」の方が遥かに被害が大きかったらしい(死者4000名弱)ですが。
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