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2019年12月15日00:59

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結婚の夜

『結婚の夜(The Wedding Night)』米国1935年、King Vidor監督、Gary Cooper 、Anna Sten、Otto Yamaoka、ら。
ゲイリー・クーパーが脚立に乗って作業するシーンは『晩春(1949年)』における電気屋さん、アンナ・ステンが階段から落ちるシーンは『風の中の牝雛(1948年)』における田中絹代の階段転落、と各々のシーンを小津安二郎が参考にした、という複数の解説が納得出来るものである事を再確認しました。階段転落の豪快さと迫力については田中絹代が数段上ですが。『晩春』における原節子がゲイリー・クーパーを好みの男性像にあげるなど、とかく小津安二郎のトーキー作品に影響を与えたと言われるこの作品、見応え満載でした。自分の小説をなぞるゲイリー・クーパーと真剣に向き合うアンナ・ステンが、その小説の中にまで踏み込んで向き合おうとする姿勢と表情が豊かでした。アンナ・ステンはポーランド娘マーニャを演じていますが、キエフ生まれですね。ニューヨークからコネチカット州の田舎への移動中、長々と続くキャベツ畑、そして大きなキャベツ、今では全米一番の豊かな州と言われるコネチカット州にあんな農場が広がっていて大変興味深いです。自動車産業に多く関わるポーランド系の人々がイリノイ州やミシガン州のみならず米国北東部にも沢山住んでおり、ポリッシュクラブなる飲み屋があちこちにある事は私自身もポーランド系の知人に複数のポリッシュクラブへ連れていって貰った事で実感した事があります。ノストロイヤ(乾杯)!という掛け声が何回も出て来ますし、プルーンスープなる料理も自慢げに紹介されています。「アメリカ人になったつもりか? お前はポーランド人の娘だ。月曜日に許嫁と結婚しろ」と父親に怒鳴られたマーニャ、ポーランド系がみんなああいう風だとは理解していませんが、それでも米国への単純同化を拒む移民の人も沢山おる事が窺えます。ポーランド式結婚式、ポーランド語、「ポーランド女は隠れて泣くものよ」という年配女性によるマーニャへのアドバイス、ポーランド色がたっぷりと刷り込まれた映画です。タカという召使い役はシアトル生まれの日系人オットー山岡ですが、独り台所で完璧な日本語を溢すシーンは日本人俳優かと思ってしまいました。
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