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2019年10月16日08:50

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悪童日記

『悪童日記(A nagy füzet)』ドイツ・ハンガリー2013年。国立映画アーカイブにて。アゴタ・クリストフ原作、ヤーノシュ・サース監督、ギーマント兄弟(双子)、ジョンジュヴェール・ボグナール(母)、ピロシュカ・モルナル(祖母)、ウルリッヒ・マテス(父)、ら。
1944年8月14日、プダペストからオーストリア国境近くの祖母の元へ疎開させられた双子兄弟が日毎精神的に逞しくなっていったのが戦争という非常のおかげ、とは何たる皮肉、しかし、日本でも同様に疎開させられた子供達が逞しくなった例は多かったのだと想像しますが。20年間も祖母に会いに来なかった母親の事情掘り下げはなかったものの、孫である双子が預けられたゴツい祖母は周りから魔女と呼ばれ、肉親とは信じられない当初の冷たい態度が徐々に人間味を醸し出す経緯に安堵はさせられました。生き抜く為に自らサバイバル訓練を課して日記をつけ続けた、引き離されなければ目の前の肉親の死さえも乗り越えてどんな辛い事にも耐える事が出来る、一心同体として切磋琢磨して来た双子が終戦後に取った決断はオーストリア側に逃げるかハンガリー側に残るか、というそれぞれの決断。先に国境柵を越えようとした父親が地雷に吹っ飛ばされても怯まずに行動する冷徹さと冷静さに悲しい成長を感じました。日記に描かれたパラパラ漫画の銃殺シーンが記憶から消えません。1956年のハンガリー動乱でスイスに亡命した女性作家アゴタ・クリストフはフランス語で本原作を書き、その後「ふたりの証拠」「第三年の噓」と続く三部作を完成させ、本映画の完成を観る事なくこの世を去った、との事ですが、原作に近付きたい映画作品の一つとなりました。原作での祖母は映画と正反対に痩せていたんですね。
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