mixiユーザー(id:2083345)

2022年05月17日13:47

308 view

5/15 野田九浦ー〈自然〉なることー@武蔵野市立吉祥寺美術館

野田九浦(のだきゅうほ)、明治〜昭和時代の、歴史人物画を得意とした日本画家である。寺崎廣業に師事し、第1回文展で2席をとって(↓《辻説法》)注目を浴び、夏目漱石の新聞小説の挿絵を描き、北野恒富と大正美術会を結成して大阪画壇の発展にも寄与し、多くの弟子を育てた。帝国芸術院会員、文展・日展の審査員、日本画院同人、画塾煌土社を設立、金沢美術工芸大学教授などの肩書き。狩野探幽研究でも知られ、正岡子規とも交流して俳人としての才能も。
《辻説法》(会場ではこの下図を展示)
フォト

なのに、全くその名も知らなかった。私だけではないはず。忘れ去られた日本画家?晩年、吉祥寺に居を構えたことから、本美術館が多くの作品資料を所蔵しているという。


吉祥寺美術館はいい美術館だが、小さい。比して作品は大きいので展示点数が限られる。途中入れ替えがあってもいいから、もっと多くの作品を紹介してほしかった。そのくらい良い作品だった。
当時は、新しい日本画として朦朧体が脚光を浴びていたが、九浦は古来の描線にこだわったという。たしかに、個性的とは真逆の作風ではあるが、地味ながらも安定の上手さを感じる。府中市美術館の言い方を借りれば「ふつうの系譜」の美しさなのだ。特に、九浦が親しかった、あるいは敬慕した人物像は、淡々と描かれているが、内面をみごとに描き出していて感嘆に値した。

会場は空いている。写真撮影可はロビー展示この1点のみ。
フォト

フォト

派手さはないが、とても上手い画家なので、多くの人知ってもらい、後世に伝えて行ってもらいたいと思った。

https://www.musashino.or.jp/museum/1002006/1003349/1003372.html
フォト
野田九浦(のだ・きゅうほ、1879〜1971)は武蔵野市ゆかりの日本画家。幼少期から絵画に秀でた九浦は、10代半ばで日本画家の寺崎廣業(1866〜1919)に入門、その後東京美術学校に進学。同校中退後は日本美術院で研鑽を積むかたわら、正岡子規(1867〜1902)に俳句を学び、白馬会洋画研究所に通ってデッサンの指導をうけたほか、留学を目指して英語やフランス語の習得にも励んだ。
本展は、武蔵野市が所蔵する九浦の作品より約20点を関連資料とあわせて展観、“歴史人物画の名手”という側面にとどまらない九浦の魅力を紹介する。俳句の師・正岡子規から九浦が体得した自然主義を手がかりとしながら、九浦の仕事を通観。《等楊先聖》(1928年)や《江漢画房》(1949年)といった歴史人物画にとどまらず、恩師の姿を描いた《山荘における廣業先生》(1938年)や《獺祭書屋》(1951年)、愛猫と過ごす自身の姿を描いた《K氏愛猫》(1954年)、旅先の風景を描いた《湯元》(1935年頃)、異色の大作《雲上図[仮称]》(1910年代頃、六曲一双、本展初公開)など、多彩な作品を紹介する。
2021年11月、九浦は没後50年をむかえた。そして、2022年は吉祥寺美術館開館20年の節目にあたる。武蔵野市史を振り返れば、美術館構想の端緒となったのは野田九浦の作品群であった。九浦の存在によって吉祥寺美術館の現在があるといっても過言ではない。稀なる日本画家・野田九浦の仕事に触れるとともに、この時代を生きる私たちの在りようを見つめ直す機会となってほしい。


《K氏愛猫》1954年
入口を飾る絵。K氏とあるが、九浦本人。膝に猫を立たせるあたり、手慣れた猫飼いらしさ。
フォト

実際、こんな写真もある。手前の鉢がいい。
フォト

《「阪神名所図会」より》1917年
阪神電鉄沿線の風景を画家数人で分担して描く。彩色木版。構図に浮世絵の伝統が垣間見える。
フォト

フォト

フォト


《等楊先聖》1928年
雪舟に二羽の八哥鳥。あわい彩色に、二羽の八哥鳥と雪舟の袈裟の黒が効く。
フォト


《河霞む》1936年
平壌にて。窓の外は大同江。霞む川の様子と遠くの山並みが美しい
フォト


《山荘における廣業先生》1938年
画像なし。籐椅子に座る師寺崎廣業。元々は、左右に白樺などを描いた合計3面の作品だが、左右の絵は行方不明。繊細な線描と淡い色彩に恩師への追慕をかんじる。比して手前の竜胆の花がくっきりきれい。

《雲上図(仮称)》1910〜20年代頃
画像なし。六曲一双の紙本屏風。右隻は、輿に担がれた神官らしき人、担ぎ手も神官の装い。左隻は、荒馬に乗る日本武尊のような人、どちらも雲に乗っているから地上の人ではないらしい。
静岡の平林家旧蔵のもので、大井神社大祭の時平林家が勤めた休憩所に使われていたという。
九浦の作品は胡粉が美しいなぁ。

《江漢画房》1949年
司馬江漢が銅版画を製作しているところ。習作と背中合わせに展示されていて、小物の配置など違って見比べるのも面白い。
フォト


《夏の川》1950年代頃
鵜飼といえば川合玉堂だが、九浦のもいいなぁ。
フォト


《獺祭書屋》1951年
正岡子規。九浦が入門したときは既に病床にあったという。枕に肘をついて体を斜めにしているけれど、目線は鋭く気迫がこもっている。俳優遠藤憲一に似ていると思ったのは内緒。窓の外には葉鶏頭。
九浦の句「下駄を干す下宿の庭や葉鶏頭」
フォト

芭蕉と弟子の凡兆と去来を描いた《猿蓑選者》や宝井其角を描いた《晋其角》もよかった。人物がいい。

《白富士》1960年代頃
これまでと違って、輪郭線も朧げでフワッとした描き方だが、優しい色使いがホッとできる。霊峰富士ではなく、ふじさんの感じが好き。
フォト



併設の浜口陽三記念室「悠久のとき」から
浜口陽三《貝》
フォト


萩原英雄記念室「無垢な表現」から
萩原英雄《パラシュートの天使》
フォト


吉祥寺美術館では、版画家浜口陽三と萩原英雄の展示室もあり、そこではアートの椅子に寛ぐこともできる。お得感あり。

いずれも6月5日まで

22 22

コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月17日 14:29
    いいですねぇ。久しく行ってない吉祥寺美術館。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月17日 14:46
    > mixiユーザー 
    吉祥寺自体は人が多くて敬遠しがちなのですが、家から割と近いので気軽に行けます。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月17日 15:28
    こういう普通の分かりやすい画好き。
    でもとても丁寧に描かれているようすが写真からも伝わってきます。
    本物見てみたいなぁ…
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月17日 15:29
    少女漫画の洗練された絵みたいですね。私の好みだわん。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月17日 17:58
    《獺祭書屋》の窓外の景色と
    掛け布団が・・・なんとも上手だなあ。
    派手さはないけど。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月17日 22:28
    > mixiユーザー 
    そうそう、わかりやすいでしょう。そして、色も綺麗ですよね。花が丁寧に描き添えられているのもいいです。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月17日 22:29
    > mixiユーザー 
    ああ、確かに!細い輪郭線がまさにそう言う感じですね。わかりやすくていいですよね。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月17日 22:31
    > mixiユーザー 
    そこ!掛け布団の感じ、外の景色、いいよね。
    正岡子規っていうと横顔丸坊主の写真ばかりが教科書に載っているけれど、こんなお顔だったのよね。まだ若い。そして若くして無くなるのよねぇ。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月17日 22:54
    野田九浦さんって知りませんでした。そえにゃんさんの日記を見て興味津々!寺崎廣業よりもおもしろみがあって、でも廣業が師匠だったんだな〜っていうのもわかります。阪神電鉄の絵いいですね。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月17日 22:57
    > mixiユーザー 
    ねえ、知らなかったですよね。ご存命当時はきっと有名だったのかもしれませんが、どう言うわけか埋もれてしまったんでしょう。阪神電鉄の木版、いいですね。大阪では、もうちょっと名前が有名かな。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月18日 01:15
    日記の主題とずれますが、
    《貝》... あっ、これは、先日長谷川潔の件で知った技法かな、、と。「メゾチント」覚えましたー
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月18日 06:53
    > mixiユーザー 
    そのとおり!浜口陽三、長谷川潔はメゾチントの二大巨匠と言われているんですよ
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月18日 09:20
    正岡子規は結核で亡くなったんでしたよね。
    現代であれば予防も治療もできたのに・・・・。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月18日 12:41
    吉祥寺美術館も野田九浦も未知。行かなきゃリストに追加あせあせ
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月18日 12:54
    吉祥時美術館、初めて知りました。東京にはまだまだ知らへんとこ多いなぁ。そして、野田九浦、こんな優しい色合いの作品が多いんですね。私が観たのは、とても鮮やかな色の人物画でした。確か大阪で観たんやけど、タイトルとか忘れました(;´Д`)
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月18日 13:05
    淡い色調の作品が多く、うっとりするような感じですね(*´`)吉祥寺美術館なので、おそらくいい作品が展示されているのだろうと思っていましたが、やっぱり良かったようですね!(*´`)羨ましい(´ω`)
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月18日 23:35
    吉祥寺美術館 記憶が正しければ伊勢丹吉祥寺店の最上階だったかと。
    街中の賑わいの中に美術館があるというのはステキぴかぴか(新しい)
    若いカップルがデートついでに寄れるような、
    帰りにメンチカツを喰らいながらショッピング
    そんな経験あっても良かったかも冷や汗
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月21日 11:42
    > mixiユーザー 
    20代で発症し、ほとんどの名作が病床で生まれたんでしたね。長生きしたらどうだったかなぁ〜などと考えます。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月21日 11:47
    > mixiユーザー 
    野田九浦、初めて知りました。
    吉祥寺美術館、とても小さいですが、浜口陽三記念館もあって好き。お買い物、飲み歩き?と合わせてもいいかも
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月21日 12:09
    > mixiユーザー 
    野田九浦、ご存じだったのですね。大阪画壇で活躍されたとのことでしたもの、関東生まれなのに珍しい。
    吉祥寺美術館、ちいさなちいさな美術館で、武蔵野市立なんです。近隣にも三鷹市立の美術館がありますよ。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月21日 12:10
    > mixiユーザー 
    気持ちのよい線描と、上品な岩絵具の色、こういう日本画は安心しますよね。吉祥寺美術館はいつも渋いところをついてきますね。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月21日 12:12
    > mixiユーザー 
    おお、よくご存知で!伊勢丹が撤退して、今はコピス吉祥寺という商業ビルです。吉祥寺美術館が残ってよかったなぁと思いました。
    吉祥寺といえば、メンチカツね。通るたびに大行列です。

mixiユーザー

ログインしてコメントを投稿する

<2022年05月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031