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2022年05月16日11:18

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5/14 SHIBUYAで仏教美術ー奈良国立博物館コレクションより【後期】@松濤美術館

展示作品中28件が前後期入れ替えまたは巻き替えだったので、後期も行ってきました。
前日ネット予約しましたが、予約していない人も入れたので、いまのところ空きはあるようです。前期より人は心持ち多めでしたが、ストレス皆無。
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展示内容については、前期の日記をどうぞ。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1982042315&owner_id=2083345

後期展示を中心にご紹介。

《首懸駄都種子曼荼羅厨子》鎌倉時代
首懸というのは、携帯式のこと。駄都(だつ、だず)は舎利のこと、種子はタネじゃなくて、しゅじと読み、仏教の諸尊を梵字一文字で表したものをいう。なるほど、仏様の代わりに梵字が描いてある曼荼羅ね。ちょっとずつ言葉もお勉強。
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ちなみに、大日如来の慈悲を示す胎蔵界曼荼羅と大日如来の知恵を示す金剛界曼荼羅の二つをあわせて両界曼荼羅という。

《烏樞沙摩(うすさま)明王像》鎌倉時代
すべての穢れを浄めてくれる明王。躍動的。右下に後ろ手に縛られる猪頭の鬼がいる。
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《金銅三鈷杵》平安時代
通期展示だったが、前日記未記載なので今回記す。
川端康成氏旧蔵、文鎮がわりに使っていたらしいが、客人に指摘され、文鎮にはもっと時代の金剛杵を使い、これは新しい大事に保管するようになったとのこと。仏具を文鎮がわりにするなんて、さすが?川端康成。
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《地蔵菩薩像》鎌倉時代
視線を下方に落としているのは、衆生救済のお姿。蓮華座下部に湧き上がる雲が描かれているのは来迎型。なるほど、雲に乗っているのはお迎えの証拠だから、阿弥陀図などもそうやって見分けることができるのね。
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《刺繍阿弥陀三尊来迎図》南北朝〜室町時代
というわけで、これも雲に乗っているので来迎図。ただし、この図の梵字などの黒い部分は死者や出家者の毛髪による刺繍。祈りがいかに切実かがわかる。
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《辟邪絵》平安〜鎌倉時代
後期観覧の目的がこれ、前期に〈天刑星〉〈栴檀乾闥婆〉〈毘沙門天〉を見たので、後期2点でコンプリート。誰が描いたのかわからないが、六道絵あり陰陽道あり中国の伝承ありで、民間に伝わったものなのかな、自由素朴で興味深い。巻物で残っていればなぁ…

〈鍾馗〉
よく見かける鍾馗様は大抵烏帽子を被っているが、こちらはやけにつば広の帽子を被っている。つばは麦わらで編んだようで、縁に炎。なんとも不思議。
疫鬼の目をえぐっているところで小指の方にえぐった目玉がついてる!
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〈神虫〉
朝に3000匹、夕に300匹の疫鬼を食べるという神虫。8本の足で同時に鬼を捕まえないとそれだけ退治するのはむずかしかろう、大忙しだね。
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《沙門地獄草紙(沸屎地獄)》平安〜鎌倉時代
《辟邪絵》と元来一具の絵巻であったという説あり。
沙門は僧のこと。地獄に落ちた僧は獣頭人身の獄卒に糞尿の川に突き落とされる。恐ろしさに泣くと、その涙から炎が噴き出すという責め苦に遭う。それで坊主の顔から火が出ているのか、あな、恐ろしや。
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それにしても、地獄門いっぱいの僧侶たち、罪を犯した僧侶がこれほどまでに多かった堕落した時代だったのか、それとも戒めに描かれたのか。坊さんもこれを見てさぞ震え上がったことだろう。

《泣不動縁起》室町時代
前期は上巻、後期は下巻の巻替え。
ストーリーは以下の通り
「三井寺の証空(しょうくう)という僧が、重病に陥った師の智興の身代わりを申し出て病を受けたものの、苦しみに耐え難く、年来信仰している画像の不動明王に、せめて後生は助け給えと祈ったところ、憐れんだ不動が涙を流し、壇上に落ちる。すなわち証空のそのまた身代わりとして死んだ不動は、冥土の死者に縛られ閻魔庁へ引かれて行くが、不動が現れたのを見て閻魔たちは驚き礼拝し、早速繩を解いて帰らせた。こうして証空も師の智興も助かり、不動画像は一堂を作って安置され、泣不動と称されたという。」(奈良国立博物館所蔵品データベースより)

病に臥せる三井寺智興の隣の間で証空が祈ると壇上の不動画が感涙して落ちる。掛け軸がはらと落ちている。
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次の場面に移るための小休止?川のそば鳥や兎がいる。
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身代わりとなった不動明王が縛られて冥府に連れていかれる。先頭の人が指差して何か言ってる。「次の死人、フツーの人とちょっと違いまっせ、体から炎出てまっせ」とか?
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連れてこられたのが不動明王だと知り、平伏す閻魔王たち。不動明王の足の下には蓮華座。モップスリッパじゃないよ。
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《薬師如来坐像》奈良時代
通期展示だが、改めて整った美しさにうっとり。顔や体の丸みがとてもいい。台座の蓮華座が像の着衣で覆われてているが、その衣を通して蓮弁の形が表れていることに今回気づく。
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《明恵上人夢記(四月二十二日》鎌倉時代
東博「鳥獣戯画」展でみた高山寺明恵上人の見た摩訶不思議な夢を記した書の断簡。
この日の夢は、荒れくるう大海に浮かぶ船を見て、明恵が西方にむかって祈ると金色の光明が二筋に分かれて到来し、明恵の額を照らしたという内容。



5月29日まで。

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