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2022年05月04日16:41

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5/3 ふつうの系譜ー京の絵画と敦賀コレクション【後期】@府中市美術館

前期展示は桜満開の3月30日。日記↓
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1981967201&owner_id=2083345

後期展示は約1ヶ月後の本日、五月晴れ。同じソフトクリームを食べている私。
3月30日フォト
5月3日フォト
まずは「ふつうの系譜」とはなんぞや?からおさらい。
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いま、江戸時代の画家の中で、伊藤若冲や曽我蕭白ら「奇想の画家」が人気です。鮮やかな色やおかしな形にあふれた若冲の絵も、蕭白の奇怪な人物画も、強烈で奇抜で、心を揺さぶります。
しかし考えてみれば、「奇想」という魅力は、「そうではないもの」、つまり「ふつう」があって初めて成り立つのかもしれません。
美術はすべて「驚き」です。奇想の作品のように、呆気にとられたり気持ち悪かったりすることもあれば、きらきらした美しさにときめいたり、あるいは、穏やかな夢心地を味わえる絵もあります。描き手たちは、一枚の平らな画面の上に、見た人の心をさまざまに動かすための技術や工夫を込めてきたのです。
「奇想」への注目によって「ふつう」になってしまった江戸時代の「きれいなものづくり」ですが、そこには、豊かな歴史と美の手法が生きています。そんな「ふつう」の魅力を知れば、奇想も、そして「日本美術史」という更なる広い世界も、もっともっと輝いて見えることでしょう。

↑2020年開催時のHPからの抜粋。

前回も記したが、この企画展は2020年コロナ禍において途中休館→閉館してしまって、後期は一度も開催されなかった幻の展覧会なのだ。満を持しての再開催、今年は完徹できそうでよかった。
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では、後期の作品からご紹介。

まずは「ふつう」でない「奇想」の画

伝岩佐又兵衛《妖怪退治図屏風》
坂上田村麻呂の鬼神退治を描いているが、妖怪たちが楽しい。
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曾我蕭白《鍾馗図》
畳の目も見えるからたぶん即興の席画。強い風(風邪)にびくともしない鍾馗さまは病魔除け
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次は、「ふつう」の画。

まずは、いにしえを思うロマンチックな気持ちを完成された美で描くやまと絵。
土佐光孚《仙洞御所修学寺御幸図》
仙洞とは上皇、修学寺は修学院離宮のこと。お公家様が大行列だ。5頭身くらいの「まろ」たちがちゃんと描き分けられていて和む。
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土佐光起《菊鶉図》
中国風に緻密に描かれた鶉と日本風のたおやかな菊がマッチ。鶉の顔がこまかーい点描で描かれていた。
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冷泉為恭《童子読書図》
きちっと描かれたやまと絵もいいが、さらっと描いても上品。童子もいいとこのお坊ちゃんというお顔。
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田中訥言もまたやまと絵に新しい風を取り入れた復古やまと絵の絵師。《鶴包丁図》は、正月に包丁家の人が天皇の御前で鶴を箸と包丁だけで調理する儀式を描いたもの。魚のそれは今でも継承されているのは知っていたが、鶴を?とちょっとびっくり。まな板の上で、鶴が仰向けに羽を広げていた図に衝撃。画像なくて残念。

目に映るものをリアルに描くという新しい絵画を生み出した円山応挙。今でこそ当たり前だが、登場した時はこれまでになかった斬新な画法だった。
そして、府中で応挙といえば「かわいい」の元祖。
《狗子図》こちらは敦賀市立博物館蔵
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そっくりなのが、近年見つかったこちら、個人蔵。敦賀所蔵の1ヶ月前に描いている。並べるてみると動画のコマのよう。子犬がころころじゃれているよね。
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そして、参考出品として、府中市美術館蔵の《時雨狗子図》
これは、応挙の現存する犬の絵の中で最も古いもの。土の中に何かを発見したのかな。
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ついでながら、敦賀所蔵のものには箱も展示。掛け軸に合わせた寸法の箱が入れ子でふたつ。外の箱は、箱も大事にしたくてのちの人が作ったのだろうか。箱の表には堂々と「犬 應擧筆」の文字。
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源《藍采和図》
藍采和(らんさいか)という仙人。いつもボロボロの服を着て、靴は片足のみ、施された銭を引きずって歩いていたというが、すごく爽やか。気持ち良い絵だなぁ。
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松村景文《合歓花小禽図》はほわっとして気に入った絵だったが画像なし、代わりにこちら《月・山桜小禽・山茶花鴛鴦図》もまたよかった。
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原在中は、漢画と土佐派的やまと絵の両様を取り入れて宮中貴族の間で活躍。異様なほど整った形を追求したがゆえに、キレイだけれど現実味がなく、却って個性的、「奇想」と「ふつう」の間。
原在中《嵐山図》
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原在中《山州嵐山真景図》
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横長構図と縦長構図だが、在中が描く嵐山は、緑の松とピンクの桜がぎっしり、前景に滔々と流れる桂川を細かく描いている。

原在明《桜鞠、紅葉鞠図》画像なし
こちらは珍しい蹴鞠の図。左幅の絵は「鞠ばさみ」という木の枠のようなもので鞠をはさみ、木に吊るして干している、メンテナンス中。右幅の絵は鞠が紅葉の枝にはさまれている図、ここから試合開始となるらしい。鞠をアップに描いただけで、ゲームに興じる姿はないが優雅な公家の遊びが感じられる。

岸連山《龍虎図》
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岸良《猛虎嘯風図》
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岸駒もまた「奇想」と「ふつう」の間、岸派の絵師たち、震える線描が特徴。応挙の虎と比べるとまるで違うのがわかる。

日本の絵画は、線や形のみの力、筆遣いの迫力、余白の美しさを大事にしてきた。が、明治に入り、ヨーロッパの迫真画法が優位となり、画家たちは難しい局面に立たされる。

幸野楳嶺《雪中清水寺》
雪に包まれた清水寺。奥行きを表すグラデーションが幻想的。
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幸野楳嶺《敗荷鴛鴦図》
萎れて折れた蓮の葉に鴛鴦、そして月。なんと叙情的!
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鈴木松年《朝陽蟻軍金銀搬入図》
朝日を背に勇ましい義軍と思いきや蟻軍exclamation & question金銀を巣穴に運ぶ蟻は1匹として同じ姿はなし。
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最後は「ふつう画の楽しみ方」を導くコーナー。

浮田一漾埓稈耋疑沺娉菫なし
復古やまと絵の画家だが、これは面白かった。2幅の掛け軸、左幅は雪の中にわずかな枯れ草と獣の足跡、右幅に振り返る狼の図。しんと静まり返る雪の森、枝に積もった雪がどさっと落ちたのだろうか、狼の驚いた顔がなんともいい。

原在中《菊に鶏図》
「ふつうは刺激がなくてつまらない」とは言わせない。雄鶏の羽は見事、菊はたおやか、雄鶏が捕まえたバッタに引き寄せられ、ぴよぴよと駆け寄るひよこたちの何と愛らしいことか。
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「ふつうの系譜」展、前後期共に堪能しました。5月8日まで。
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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月04日 16:58
    ふつう、が企画になるって奇想だわん。あ、上手い!ハート
    ソフトクリーム美味しそう。ピンクだね。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月04日 18:05
    冷泉為恭《童子読書図》と、松村景文《合歓花小禽図》の月と、
    岸連山《龍虎図》の龍の方。
    が、今回のお好みよ〜〜〜。
    自分で作る料理と同じく薄味が好きみたい。
    蟻の絵凄いんだけどこの題材で描いてくれとのご依頼で描いたのかしら?
    それとも本人がどうしても蟻が描きたかったのかしら?
    なんだかえらく気になってしまう。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月04日 18:22
    土佐光孚《仙洞御所修学寺御幸図》
    の麻呂麻呂感、いいですね(*´ω`*)丸っこくて可愛いですね(*´ω`*)

    冷泉為恭《童子読書図》
    本に手を置き、筆を持って真剣に読書をしているんでしょうけど、ヒョロヒョロと書かれている様子から、なんか物語の世界に浸っているようにも見えて面白いです( ・∇・)この人の作品、私好きなのかもしれません(・-・*)

    この美術館はバスでしかアクセスできないので、その交通の便の悪ささえなければ行ったのになぁ(´・ω・`)
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月04日 19:47
    > mixiユーザー 
    あはは、その通りだねぇ〜学芸員さんの腕の見せ所、さすがだわ。
    ピンクのソフトはあまおう、まあ、「一応の」いちご味。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月04日 19:49
    > mixiユーザー 
    あまおうソフトと言っているけれど、公園の売店だから怪しい…

    ふつうの絵は確かにホッとします、でも見ているうちに何がふつうだかわからなくなってきますよ。
    ふつうってすごい!でも凡人の私はふつうというわけではないのね、と。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月04日 19:53
    > mixiユーザー 
    うんうん、薄味ね。でも味わい深い。人間もそうありたいね。
    蟻はね、すっごくうまいのよ。じっとずっと観察していたんだろうなぁ、という蟻の姿。喉がむずむずしてきそう。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月04日 19:59
    > mixiユーザー 
    冷泉為恭ね、根津美術館ですごくいいっておっしゃっていたでしょう。それ、私もこの絵見ていたので、とてもそう思いました。さらさらと余白にナナメって書いた和歌がまたいい、読めないけれど。なんでしょうかね、滲み出てくる品の良さかな、文句なしに美しいなぁと思います。
    府中市美術館は、私はいつも東府中の駅から歩いて行きます。15分くらいかしら、人が少なくて楽です。ただし、各駅しか停まらない駅だから、新宿から行くとかったるいですよね。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月04日 22:58
    府中市美術館、こちらもまだ行ったことがありません。自分が相当無精者に思えてきます。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月04日 23:05
    蟻の絵面白いですね。
    熊谷守一の蟻は建物の壁にありましたね。

    澤田瞳子の「星落ちてなお」を読んで今「若冲」を読んでいます。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月04日 23:15
    > mixiユーザー 
    いやいや、お忙しいですもの。私はかなりヒマ人なんです。というか趣味が少ない?ですね。
    府中市美術館は少し交通不便です、せめて駅から近いといいのですけれどね。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月04日 23:19
    > mixiユーザー 
    熊谷守一記念館の壁の蟻、いいですよね。カクカク描いてあるけれど、蟻の特徴をよく捉えています。
    鈴木松年の蟻はリアルで、はー本当に蟻って働き者!と賞賛してしまいます。
    「星落ちてなお」は河鍋暁斎の娘でしたね、奇想の絵師たちを継ぐもの、弟子や家族はどんな思いをしたのでしょう。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月05日 06:08
    仙人、いいなー。どうしてこんな表情描けるんでしょう。

    仙人の生き方も、あこがれですけど、そこまで徹底できない中途半端。
    中高時代漢文が好きで、かつ老荘思想が大好きだったのを思い出させる絵です。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月05日 17:24
    ふつうって何?・・・奇想でないもの? 人間いつもハイテンションではないわけでホッとする絵もやっぱり必要。冷泉為恭っていえば「伊勢物語」思い出します。絵がふんわりして好きハート達(複数ハート)《童子読書図》 はさらに肩の力が抜けた感じが良いですねわーい(嬉しい顔)
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月05日 17:32
    > mixiユーザー 
    こんな爽やか仙人の絵、なかなかないですよ。
    奇怪な仙人の絵の方が多いですからね。
    chocoさんが、仙人の生き方に憧れてたとはちょっとびっくりでした〜
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月05日 17:42
    > mixiユーザー 
    曾我蕭白や河鍋暁斎をいつも飾っておきたいかというと…?ですものね。部屋に飾るなら、やはり、綺麗なもの、可愛いもの、素直に上手いと思えるものがいいな。
    冷泉為恭は元狩野派の絵師だったのに王朝好きで復古やまと絵の絵師になり、尊王攘夷の過激派に暗殺されちゃうというすごい一生を送っているんですね。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月05日 23:10
    「奇想」と「ふつう」美術に限らず音楽も同様だと思います。
    驚きは芸術の重要な要素ですが、年月を越えて古典として残るのは限られます。
    「画家は発明家では無い…」興味がある言葉です。
    自分もふつうの芸術が分かる大人になりたいと思う今日このごろですあせあせ
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月07日 21:55
    > mixiユーザー 
    音楽も同様なんですね!
    心地よいもの、美しいもの、そして技術的にも優れているものは飽きがきませんね。つい目新しいものに心動かされますが、残るのはほんの一部なのでしょう、その目利きができる人になりたいと思いますが、これもまた簡単ではなく。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月10日 06:51
    奇想の系譜も有りましたけれど、普通の系譜も良いなあ。日記でみせてもらいながら、奇想と普通の間や普通の楽しみ方など、考えながら読みました。菊と鶏の作品、愛らしくいいですねわーい(嬉しい顔)
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2022年05月10日 07:03
    > mixiユーザー 
    美しい絵、整った絵、上手な絵は見ていてホッとしますね。可愛らしい絵も心が和みます。色々な楽しみ方がありますね。

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