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2021年06月04日12:05
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6/2 モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて＠SOMPO美術館
緊急事態宣言は6/20まで延長となったが、美術館・博物館・映画館等は緩和措置がとられ再開可能となった。発表された日から度々各美術館のHPをチェック。
松濤美術館の「フランシス・ベーコン展」は6/6まで会期があったが再開することなく閉幕。残念。一方「モンドリアン展」は、6/1に再開、会期は6/6までなので6日間だけの再開！慌てて、ネットで２日13時に予約。
受付で並ぶことはなかったが、会場に入ると思ったより人が入っていた。１点につき3人くらいが同時に鑑賞している程度。60数点を２フロアに分けての展示なのでゆったりしている。キャプション読むので頭を使うせいか（笑）私語がなく、静か。
モンドリアンにはちょっとした思い出がある。
今回参考資料にあった「みづゑ 1974年6月号」はモンドリアンのコンポジションが表紙だった。高校の美術室に置いてあった記憶がある。
仲良しでライバルの美術部男子、ある日突然モンドリアンを語り出したのよね。モンドリアンの引く線は黄金比率なのかとか、三原色の配置がどうだとか、そもそもモンドリアンが、この矩形が組み合わさっただけの「絵」にどのように行き着いたのか、果たしてこれは絵か、デザインか、等々。あのころの私たちは部活で、ろくに絵も描かず、そんな話ばかりをしていたっけ。私はモンドリアンのことは全然分からなくて、彼の話はチンプンカンプンだったのだけれど、負けるのが嫌で知ったかぶりをした。40数年後の今、その「知ったかぶり」を解消するチャンスがやってきたのだ（笑）いざゆかん、モンドリアン！
https:/
モンドリアン（1872-1944）生誕150年を記念して、オランダのデン・ハーグ美術館所蔵のモンドリアン作品50点、国内外美術館所蔵のモンドリアン作品と関連作家作品約20点を展示します。モンドリアン作品は、初期のハーグ派様式の風景画、象徴主義や神智学に傾倒した作品、キュビスムの影響を受けて独自展開した作品、晩年の水平垂直線と原色平面の「コンポジション」まで多岐にわたります。モンドリアンが主張した理念「新造形主義」に基づき、ドゥースブルフなどの画家、建築家と共に1917年に「デ・ステイル」が結成され雑誌が創刊されました。モンドリアンの絵画構成は、デザイン領域まで影響を与えています。「デ・ステイル」のプロダクトデザインを合わせて紹介し、モンドリアン芸術の広がりを再検証します。日本で23年ぶりの待望の「モンドリアン展」です。
初期は、自然主義的な風景画。印象派やハーグ派の影響を受ける。
《王立蝋燭工場》1895-99
とはいえ、平面的または幾何学的な表現や、画像はないが《田舎道と家並み》のような大胆な構図が後の変貌を暗示させている。
1909年神智学協会に入会、神智学とは、全ての精神の動きは一つの普遍的な教義に統べられると考えた神秘的な世界の見方で、成長と腐敗、再生と進化などの代表的テーマで花の作品にも反映される。
《ヘイン河畔ー水辺の木々》1907-07
《枯れゆくひまわり�供�1908
神智学が今ひとつよく分からないが、ひまわりの絵を見て連想したのは、エゴン・シーレ。象徴主義の影響も受けているようだし、「ひまわり」「枯れる」というキーワードも大切のような気がする。シリーズ４点のうちの１点。
また、スーラの影響を受けて、新印象派的な明るい点描作品も制作。
《砂丘》1909
砂丘の展示３点、うち１点はアーティゾン美術館所蔵。だれもモンドリアンの絵だと思わないよね。
《陽のあたる家》1909
《オランダカイウ（カラー):青い花》1909-09
「白花を描きながら、青に対して赤を置き、暗く見せることでオレンジ、紫をかんじさせる視覚的効果を探求」したと、解説あり。
《ドンブルグの教会塔》1911
「精神的なものをより普遍化する」はモンドリアンの言葉。
わかるような分からないような…ただ、花にしろ建物にしろ、堅牢なフォルムに補色を用いていて、力強く、永遠であることを感じる。少しフォービズム的なこの辺りの作品、嫌いではない。
1911年には、ピカソ、セザンヌに触発され、キュビズムに傾倒。
《コンポジション木々２》1912-13
《色面の楕円コンポジション2》1914
アルファベットが確認できる。まだ具象表現がある。
1912年頃からは、水平線と垂直線を交差させる抽象画や色面で構成する抽象画を制作。
《コンポジション（プラスとマイナスのための習作）》1916
《色面のコンポジションNo.3》1917
「三原色をそのまま使ったら当時の人には解らないだろうから、色を薄めた」とモンドリアンは言うが…その意図すら解らんよ〜ぅ
と言うわけで、抽象を極めようとしていた時代、世間は私のように解らん人ばっかりだったから、生活のために具象も描いている。これが、上手い。
《夕暮れの風車》1917
風車はシルエットだが、堅牢で堂々たる姿、しかも躍動感もある。ピンクと水色で描いた教会塔↑と共通するものが。
《2本のオランダカイウ》1918
10年前の絵と比べると、神智学的、象徴主義的描き方がさらに整理されている感じ
《自画像》1918
注文制作だが、背景に↑の《色面のコンポジションNo.3》をモノクロでちゃっかり入れてる。
1917年には新造形主義のグループ「デ・ステイル」を創設（1925年に脱退）、1920年からは、水平線、垂直線、三原色の矩形で構成される作品を発表、これらが誰もがイメージする「モンドリアン」だ。
《大きな赤の色面、黄、黒、灰、青色のコンポジション》1921
一番目立つ赤面はその下の黒面の4倍となっているが、よくみると黒面もまた４分割されている。合同と相似を見つけながら、色の効果的配置も確認していくと、この構図が全く隙のない完璧の唯一無二であると感じずにはいられなくなってくるから不思議。
《赤、青、黒、黄、灰色のコンポジション》1921
三原色が周囲に置かれたことで、外に広がっていく予感を与える。黒色の枠線は画面端まであるものと少し手前で途切れているものがあり、これもまたリズムを作っている。私は、赤の下の黒線の縁に赤の残像が見えた。
《コンポジションNo.1》1929
京都近代国立美術館所蔵。赤がないパターン。
《線と色のコンポジション：�掘�1937
画面を区切っていた太い黒線が、太さを変え複数現れ、リズミカルになる。キャプションでは「平面を破壊」とあったが。
このように目まぐるしく画風が変わったので、見ていて全く飽きなかった。でも、やっぱり抽象美術を理論化した「新造形主義」と言うのはよく分からなかったし、「デ・ステイル」のメンバーの一人が「斜線」を導入（要素主義）して、水平垂直だけであることを否定したので、袂を分つことになったというエピソードの意味もよく分からなかった。なんで、斜めがダメやねん？
ただ、水平線、垂直線、三原色の矩形で構成されるコンポジションの「完璧さ」「完成美」は改めて感じ入った。
展覧会には、モンドリアン以外の同時代（主に「デ・ステイル」のメンバー）の作家の絵画や椅子、それから、で・ステイルを「実行」した家（映像で紹介）もあってこれまた面白かった。
こうしたムーヴメントが、バウハウスにつながり、やがて、この国でミッフィーが誕生した必然を感じたり。
見に行かなかったけれど、現代広告デザインでヒットを飛ばす佐藤可士和氏だって、モンドリアンに大いに影響を受けているのでは、と想像してしまう。
理数系はからきしダメな私は、理論はよく分からなかったけれど、やっぱりモンドリアンは偉大だ！と感じた展覧会でした。
6月6日まで
リニューアルしてからは2回目の訪問。
受付で並ぶことはなかったが、会場に入ると思ったより人が入っていた。１点につき3人くらいが同時に鑑賞している程度。60数点を２フロアに分けての展示なのでゆったりしている。キャプション読むので頭を使うせいか（笑）私語がなく、静か。
モンドリアンにはちょっとした思い出がある。
今回参考資料にあった「みづゑ 1974年6月号」はモンドリアンのコンポジションが表紙だった。高校の美術室に置いてあった記憶がある。
仲良しでライバルの美術部男子、ある日突然モンドリアンを語り出したのよね。モンドリアンの引く線は黄金比率なのかとか、三原色の配置がどうだとか、そもそもモンドリアンが、この矩形が組み合わさっただけの「絵」にどのように行き着いたのか、果たしてこれは絵か、デザインか、等々。あのころの私たちは部活で、ろくに絵も描かず、そんな話ばかりをしていたっけ。私はモンドリアンのことは全然分からなくて、彼の話はチンプンカンプンだったのだけれど、負けるのが嫌で知ったかぶりをした。40数年後の今、その「知ったかぶり」を解消するチャンスがやってきたのだ（笑）いざゆかん、モンドリアン！
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モンドリアン（1872-1944）生誕150年を記念して、オランダのデン・ハーグ美術館所蔵のモンドリアン作品50点、国内外美術館所蔵のモンドリアン作品と関連作家作品約20点を展示します。モンドリアン作品は、初期のハーグ派様式の風景画、象徴主義や神智学に傾倒した作品、キュビスムの影響を受けて独自展開した作品、晩年の水平垂直線と原色平面の「コンポジション」まで多岐にわたります。モンドリアンが主張した理念「新造形主義」に基づき、ドゥースブルフなどの画家、建築家と共に1917年に「デ・ステイル」が結成され雑誌が創刊されました。モンドリアンの絵画構成は、デザイン領域まで影響を与えています。「デ・ステイル」のプロダクトデザインを合わせて紹介し、モンドリアン芸術の広がりを再検証します。日本で23年ぶりの待望の「モンドリアン展」です。
初期は、自然主義的な風景画。印象派やハーグ派の影響を受ける。
《王立蝋燭工場》1895-99
とはいえ、平面的または幾何学的な表現や、画像はないが《田舎道と家並み》のような大胆な構図が後の変貌を暗示させている。
1909年神智学協会に入会、神智学とは、全ての精神の動きは一つの普遍的な教義に統べられると考えた神秘的な世界の見方で、成長と腐敗、再生と進化などの代表的テーマで花の作品にも反映される。
《ヘイン河畔ー水辺の木々》1907-07
《枯れゆくひまわり�供�1908
神智学が今ひとつよく分からないが、ひまわりの絵を見て連想したのは、エゴン・シーレ。象徴主義の影響も受けているようだし、「ひまわり」「枯れる」というキーワードも大切のような気がする。シリーズ４点のうちの１点。
また、スーラの影響を受けて、新印象派的な明るい点描作品も制作。
《砂丘》1909
砂丘の展示３点、うち１点はアーティゾン美術館所蔵。だれもモンドリアンの絵だと思わないよね。
《陽のあたる家》1909
《オランダカイウ（カラー):青い花》1909-09
「白花を描きながら、青に対して赤を置き、暗く見せることでオレンジ、紫をかんじさせる視覚的効果を探求」したと、解説あり。
《ドンブルグの教会塔》1911
「精神的なものをより普遍化する」はモンドリアンの言葉。
わかるような分からないような…ただ、花にしろ建物にしろ、堅牢なフォルムに補色を用いていて、力強く、永遠であることを感じる。少しフォービズム的なこの辺りの作品、嫌いではない。
1911年には、ピカソ、セザンヌに触発され、キュビズムに傾倒。
《コンポジション木々２》1912-13
《色面の楕円コンポジション2》1914
アルファベットが確認できる。まだ具象表現がある。
1912年頃からは、水平線と垂直線を交差させる抽象画や色面で構成する抽象画を制作。
《コンポジション（プラスとマイナスのための習作）》1916
《色面のコンポジションNo.3》1917
「三原色をそのまま使ったら当時の人には解らないだろうから、色を薄めた」とモンドリアンは言うが…その意図すら解らんよ〜ぅ
と言うわけで、抽象を極めようとしていた時代、世間は私のように解らん人ばっかりだったから、生活のために具象も描いている。これが、上手い。
《夕暮れの風車》1917
風車はシルエットだが、堅牢で堂々たる姿、しかも躍動感もある。ピンクと水色で描いた教会塔↑と共通するものが。
《2本のオランダカイウ》1918
10年前の絵と比べると、神智学的、象徴主義的描き方がさらに整理されている感じ
《自画像》1918
注文制作だが、背景に↑の《色面のコンポジションNo.3》をモノクロでちゃっかり入れてる。
1917年には新造形主義のグループ「デ・ステイル」を創設（1925年に脱退）、1920年からは、水平線、垂直線、三原色の矩形で構成される作品を発表、これらが誰もがイメージする「モンドリアン」だ。
《大きな赤の色面、黄、黒、灰、青色のコンポジション》1921
一番目立つ赤面はその下の黒面の4倍となっているが、よくみると黒面もまた４分割されている。合同と相似を見つけながら、色の効果的配置も確認していくと、この構図が全く隙のない完璧の唯一無二であると感じずにはいられなくなってくるから不思議。
《赤、青、黒、黄、灰色のコンポジション》1921
三原色が周囲に置かれたことで、外に広がっていく予感を与える。黒色の枠線は画面端まであるものと少し手前で途切れているものがあり、これもまたリズムを作っている。私は、赤の下の黒線の縁に赤の残像が見えた。
《コンポジションNo.1》1929
京都近代国立美術館所蔵。赤がないパターン。
《線と色のコンポジション：�掘�1937
画面を区切っていた太い黒線が、太さを変え複数現れ、リズミカルになる。キャプションでは「平面を破壊」とあったが。
このように目まぐるしく画風が変わったので、見ていて全く飽きなかった。でも、やっぱり抽象美術を理論化した「新造形主義」と言うのはよく分からなかったし、「デ・ステイル」のメンバーの一人が「斜線」を導入（要素主義）して、水平垂直だけであることを否定したので、袂を分つことになったというエピソードの意味もよく分からなかった。なんで、斜めがダメやねん？
ただ、水平線、垂直線、三原色の矩形で構成されるコンポジションの「完璧さ」「完成美」は改めて感じ入った。
展覧会には、モンドリアン以外の同時代（主に「デ・ステイル」のメンバー）の作家の絵画や椅子、それから、で・ステイルを「実行」した家（映像で紹介）もあってこれまた面白かった。
こうしたムーヴメントが、バウハウスにつながり、やがて、この国でミッフィーが誕生した必然を感じたり。
見に行かなかったけれど、現代広告デザインでヒットを飛ばす佐藤可士和氏だって、モンドリアンに大いに影響を受けているのでは、と想像してしまう。
理数系はからきしダメな私は、理論はよく分からなかったけれど、やっぱりモンドリアンは偉大だ！と感じた展覧会でした。
6月6日まで
リニューアルしてからは2回目の訪問。
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