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2021年04月25日20:11

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4/24 ミネアポリス美術館 日本絵画の名品@サントリー美術館



緊急事態宣言発出が決まった翌朝、各美術館のHPを確認してみたら軒並み25日から休館の報。間に合わなくてまだ出ていないところもあったが、今回の宣言の主眼が「人流を止める」だから、「予約制などして感染対策してますから」では済まないのだ。
9日に予約した鳥獣戯画展もパァ。府中市美術館の与謝蕪村展は後期も行きたかったのに休館してそのまま閉幕(2年連続だ)。がっくし。
予定通り11日に宣言が解除されれば、会期残り分再開する展覧会もあるだろうと一縷の望みを繋ぐ。
とはいえ、昨年の轍は踏みたくないので、今行けるところには行く!絶対見たかったサントリー美術館開館60周年記念展の「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」展。

ミッドタウンはいつもより人出が多かった。明日には休館となるだろうから、皆最後の買い物を楽しんでいるのだろう。私はいつものように感染対策として、外食せず、寄り道もせず、美術館へ一直線。美術館自体はそれほど混んでいない。人を入れないで六曲一隻の屏風を撮影できるほど。

米国ミネソタ州ミネアポリスにあるMia美術館所蔵の日本美術。浮世絵をはじめ多くの日本美術が自国でその価値を認められないうちに海外で高く評価され、コレクションされたというのは忸怩たるものがあるが、今回もまた初見の画家の名が多く、日本人として恥いるばかり。

宗達、抱一、探幽、若冲、蕭白、春信、写楽、北斎など有名どころは流石の逸品揃い。藝愛、山田道安、熊斐、松井慶仲、月岡雪鼎、三畠上龍、細川林谷や高芙蓉、青木年雄などなど、ほぼ初見、いずれも見応えたっぷり。

サントリーはいつも写真撮影可の太っ腹。全作品撮影してきましたのでアルバムをどうぞ。
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000117694776&owner_id=2083345
フォト
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2021_1/index.html
アメリカ中西部ミネソタ州最大の都市ミネアポリスに設立されたミネアポリス美術館(Minneapolis Institute of Art 通称Mia〈ミア〉)は、1883年にミネアポリスの市民や実業家が美術協会を設立したことに始まります。現在では、世界各地の約9万点を超える美術作品を所蔵しており、そのうち、日本絵画のコレクションは、約2500点の浮世絵をはじめ、質・量ともに国際的にも高い評価を得ています。近年でも在米の美術愛好家から多くの日本絵画・工芸が寄贈されるなど、今なお進化し続けるコレクションです。
本展は、Miaの日本美術コレクションの中から、中世から近代にいたる日本絵画の変遷を選りすぐりの優品でご紹介します。水墨画・狩野派・やまと絵・琳派・浮世絵・文人画(南画)・奇想派・近代絵画というように、江戸絵画を中心に日本絵画史の主要ジャンルをほぼ網羅するラインナップで、初の里帰り作品を含む貴重な機会です。展示室を訪れれば、きっとイチオシの絵師〈推し絵師〉に出会えるでしょう。時空を超えて一堂に集った人気絵師たちの華やかな競演をぜひご覧ください。

第1章 水墨画
第2章 狩野派の時代
第3章 やまと絵ー景物画と物語絵ー
第4章 琳派
第5章 浮世絵
第6章 日本の文人画〈南画〉
第7章 画壇の革新者たち
第8章 幕末から近代へ


雪村周継《花鳥図屏風》
フォトフォト
白鷺と燕、それに鯉、写実的でありながらデザイン性高いフォルム
フォト

山田道安《龍虎図屏風》
フォト>フォト
典型的な龍虎図だが、龍が雲を呼び、虎が風をおこすさまが力強い

狩野探幽《笛吹地蔵図》フォト
蓮の葉をかぶって雲に乗り笛を吹く地蔵来迎図。小さいが美しい。先日葉っぱを被って仮装する猿や蛙たちを「鳥獣戯画」で見たばかり。

狩野山楽《四季耕作図襖(旧・大覚寺正寝殿襖絵)》
フォトフォト
フォト
8枚の襖に耕作の四季を細かく描く。よく働く実直な人々、屋根や木に止まる鳥、長閑で平和な風景。
フォト
部屋の奥には猫もいて、猫ちぐらや餌入れも用意されている。

狩野山雪《群仙図襖(旧・天祥院客殿襖絵)》
フォト
こちらは九人の仙人と童子の姿を描く。もともとは、メトロポリタン美術館蔵の狩野山雪《老梅図襖》と表裏一体だったとか。フォト
蝦蟇仙人かなフォト
これは木葉の衣を着ているから神農?フォト

狩野山雪《雲門好日図》フォト
すっきり洒落た空間感表現

清原雪信《騎獅文殊図》フォト
根津で勉強したばかり、狩野派随一の女性絵師。柔らかい線が美しい


伝住吉如慶《きりぎりす絵巻》フォト
住吉派再興の祖。擬人化された虫たちが繰り広げる恋愛物語絵巻。
セミの右衛門督と結ばれた玉虫姫、出産シーン。
フォト
セミが産湯を浸かっているとは奇想天外(笑)


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お祝いに駆けつけたのも虫たち
可愛いような、そうでもないような…微妙だけれど面白い。

鈴木其一《三夕図》フォト
琳派は、《狗子図》そっくりの《童子図》の伝宗達や、洒脱な《楸に鷦鷯図》の抱一もあげたいが、私はこの三幅に鳥肌がたった。墨のぼかしにゾクゾク!
「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ」フォト
「寂しさはその色としもなかりけり真木立つ山の秋の夕暮れ」フォト
「心なき身にもあはれは知られけり鴫たつ沢の秋の夕暮れ」フォト

伊藤若冲《旭日老松図》フォト
明け方の凍るような冷気。素早い筆致で描かれた松の勢い。この松は鶏図の背景にも描かれているが、朝日を背にした松は一際力強い。

伊藤若冲《叭叭鳥図》
フォト
真っ逆さまに降下する叭叭鳥図はつい先頃まで岡田美術館で展示されていたが見にいかれなかった、しかしこちらを鑑賞できて満足。止まっているのは橋の欄干?

松井慶仲《虎図》フォト
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山田道安の水墨画の虎もよかったが、あざやかな彩色もいい。目の虹彩の青が綺麗。

曾我蕭白《群鶴図屏風》
フォトフォト
若冲の《鶏図押絵貼屏風》六曲一双の正面に展示してあったのがこちら。狩野派でも琳派でも鶴は特別、端正で神々しく描かれているものだが、蕭白の鶴はなんだか騒がしい。自由で生き生きして、いくら見ていても飽きない。畳目が確認でき、素早い筆致で一気呵成に描いたと言われている。
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歌川豊春《三代目瀬川菊之丞図》フォト
透視図法を用いて遠近感を強調した「浮絵」の技法を用いているが、室内の人々の艶やかさと外の景色の空気感がいい塩梅になっていて素敵。

三畠上龍《舞妓覗き見図》
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美女の着物の裾が風に舞い上げられている様子を、円窓から丁稚が覗き込んでいる。
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指で目蓋をこじ開けて、大口で笑う様はかなりグロテスク。裾が風に乱されてエロチックと言うのは良くあるが、右幅のような絵は、他に類例がないらしい。

葛飾北斎《朝顔に蛙》フォト
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蛙がどこに隠れているかわかるかな。

池玉蘭《西湖図》フォト
景勝地杭州西湖は昔3度も旅行した。ご飯も美味しく、いいところなのです。池玉蘭は池大雅の奥さん。夫婦仲良く紙を並べて書画を制作したと言う。この時代に珍しいこと。

細川林谷《仙台観猟図》フォト
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篆刻家の細川林谷は他にも3点あったが、なんとも飄逸な味わいある作風。剣士に追い詰められて狩られる猪や鹿の様子を人々が山の上から見物。

浦上春琴《春秋山水図屏風》
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浦上玉堂の長男。右隻は春、左隻は秋、眺めていると、柔らかな筆致、美しい淡彩で描かれた絵の中にいつの間にか引き込まれ、まるで自分が雄大な自然の中にいるような気分になる。

佐竹永海《風神雷神図》フォト
鷲に背中を掴まれた風神、蟹に足を挟まれた雷神、アニメっぽいところが米国人に受けているのかも。
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狩野芳崖《巨鷲図》フォト
雪舟風の岩や木に対して、西洋画のような陰影がある鷲。よく見ると足元の岩の影に小猿が三匹怯えながら隠れている。

青木年雄《鍾馗鬼共之図》フォト
アメリカ西海岸で活躍した移民画家。もうびっくり!「怪奇な主題とそのユーモラスな取り扱いは河鍋暁斎の画風を、細かく技巧的な描写と西洋的な陰影表現は逸見一信の画風を想起させる」と解説。
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鬼の虎のパンツがリアル〜

鈴木松年《春山帰樵図》
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曾我蕭白の再来と言われた画家。空気遠近法が美しい。

柴田是真《漆絵画帖》フォト
最後は、柴田是真の漆絵。「丘に蕨」「竹に仔犬」「岩に波」「胡瓜に蟻」「紅葉と蟋蟀」「雪に虎」の6図。雪の中に隠れた虎の表情が猫のように可愛い!今回の「お持ち帰り」はこれに決定!他の図も見たいなぁ。

…ってことで、わたしの#Mia展推し絵師は柴田是真でした。

緊急事態宣言のため4月25日から5月11日まで休館。予定では6月27日まで。早い再開を望みます。


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