昨年7月夏休みに合わせて開幕予定だったこの展覧会。まだ詳細もない片面だけのチラシは、横割りにワニ、トラ、フクロウ、ワシなどの鋭い目だけをクローズアップしていてかなり刺激的だったが、どんな強い動物も未知のウイルスには勝てない、ということで延期となっていた。
開幕となって嬉しい。
科学博物館は昨年の「ミイラ 展」以来。夫はこの手のものは拒否なので、今回も平日一人鑑賞。
要予約だったが、前日夜の時点で毎時500人以上の空きあり。確かに空いてはいたが、お子さん連れ多く、春休み外して正解だった。
展示は、パネル説明と剥製が中心だが、さすが科博、剥製の質・量が半端ない。苦手な人は耐えられん充実ぶり。
パネル説明には、ルビがふってあるが、用いている単語は難しく、大人向けの文章。ターゲットがよくわからないぞ。
「大地のハンター」というから、なんとなく獰猛な野獣ばかりを思い描いていたが、全体の半数以上は爬虫類や昆虫、はては寄生虫まで…なもんだから、ミイラ展の時と同様、後半はちょっとキツかった(虫、すごく苦手です)。
ただ、捕食の様子をダイナミックに捉えた動画(ナショナルジオグラフィック提供)が随所にあり、これが面白かった。気持ち悪さよりも、よくもまあ地球にはいろんな捕食者がいるもんだという好奇心の方が優ったと言える。
「やっと」の思いで(笑)見終えた先には、ミュージアムグッズコーナー、この充実振りも半端なかった(後ほど紹介)。
とにかく濃ゆ〜い展覧会でした。
http://daichi.exhn.jp/
陸に上がって4億年のうちに多様化したハンター(捕食者)。特別展「大地のハンター展 〜陸の上にも4億年〜」では、動物が生きていくために必要な営み「捕食(捕らえて食べる)」に注目し、ハンターの顎と歯の進化、ハンティングテクニックを紹介しながら生態系におけるその役割と重要性を解き明かします。
さまざまなハンターの起源と進化を紹介し、大地のハンターが生きる地球環境のこれからを考える科学展覧会です。大型のワニやネコ科哺乳類、鳥類、トンボやハチなど、国立科学博物館が誇る貴重な標本のコレクションを中心に、300点以上の標本展示で構成します。
第1章 太古のハンター
捕食する動物の起源を遡ってみると、口が横に開くもの(節足動物)から、縦に開くもの(哺乳類)へと進化したという説明に、「理科」苦手の私もはは〜と納得。
そして、捕食者として強力な武器になる犬歯、さらにはその奥にある「裂肉歯」の進化によって肉食哺乳類のハンターの繁栄があった、とのこと。猫が首を傾けて餌を食べるのは、この裂肉歯を使っているところなんだって。この力が相当な強さらしい。
といわけで、出迎えてくれたのが、白亜紀最大のワニ「デイノスクス」
第2章 大地に生きるハンター
水辺、森・密林、草原、荒野(砂漠・岩場)の四つの生息域
ずらっと並ぶ剥製の数々に興味津々
コビトカイマンは、坂崎幸之助氏寄贈だって?ペットだったカイマンちゃんが昇天されたのち剥製として寄贈されたらしい。猫好きの一方、爬虫類・両生類の愛好者でもあるのよね(最後に素晴らしい写真の展示もありました)。
ワニは水生適応した捕食者の頂点に立つが、時としてジャガーに襲われるそうだ。
「渡辺省亭」展の興奮が冷めやらなかったせいか、鳥類は剥製をガン見してしまう。
「ヤマセミ」
赤阪迎賓館七宝絵の原画にもあった
「モズ」
「百舌の速贄」も剥製で紹介。絵に描くと可愛いのに、なかなかの捕食者…。
「トラフズク」
省亭が好んで描いたミミズクはこれだっけ。
ちなみに、フクロウの類は26種類大集合で圧巻だった。フクロウはファンも多いからね。
「アカショウビン」
こちらは田中一村だ
当たり前のことだが、鳥には、脚でハンティングする者と嘴でハントする者があるのだよね。被捕食者の気持ちになったら、足で捕まれ空中に連れていかれる方が嫌かも…などと妄想してみた。
でもやっぱり、私の中では大地のハンター=ネコ科が一番!
「ウンピョウ」
「イリオモテヤマネコ」
「カナダオオヤマネコ」
「サーバル」
「チーター」
「カラカル」
「ピューマ」
「マヌルネコ」
「ユキヒョウ」
みんな、かわいい〜かっこいい〜
♡
イタチ科のラーテルは面白い
「非常に獰猛な種で様々な動物を狩る。毒蛇の毒を解毒できたり、首の皮膚が分厚くて肉食獣に噛まれても平気であるなど、芸達者」だそうだ。
おびき寄せ・待ち伏せテクニック
待ち伏せのメインキャラは「ベルツノガエル」
土に潜って待ち伏せ、口に入ればなんでも食べるらしい。これによく似た太りすぎた猫をテレビで見たことがあるなぁ。
おびき寄せは「ワニガメ」
口を開けて、ピンク入りの舌をくねらせ、ミミズと間違えてやってきた魚をガブリ
暗闇
暗闇のハンターは、先ほどのフクロウたちとコウモリやモグラなど
「オオアラコウモリ」
剥製を見ていると、洋傘のことを「コウモリ」とはよく言ったものだと、しみじみ感心したり。
第3章 ハンティングの技術
偏食なハンター(オオアリクイ、ヘビ、血・体液を吸う動物)
「オオアリクイ」
1日に80箇所の蟻塚を回って3万個体!のアリやシロアリを捕食する。ちなみに、アリはハチに、シロアリはゴキブリに近い仲間で、全く別のものだと初めて知る。
「バブ」
新鮮な卵しか食べないガンスタマゴヘビの映像も凄かった。よーく選んで丸呑み、殻は消化できないから、そのままペーッと吐き出す。
「チスイガラパコスフィンチ」
カツオドリと仲良くケースに収まっているが、カツオドリの腰を突いて流れ出た血液を飲むという。可愛い顔してそんなぁ〜〜
毒使いのハンター
動物の毒には「ポイズン」と「ヴェノム」がある。ポイズンの代表はフグ毒、皮膚や筋肉に蓄積され捕食者から身を守るために利用される。ヴェノムは狩りに使われ、体内の毒腺で構成され、毒牙などを通じて獲物の体内に注入されて効果を発揮。ヘビなどの爬虫類、サソリやクモなどの節足動物で独立に進化。
また被捕食者の立場から妄想…チーターに飛びかかられて喉元を一発噛まれるのと、ヘビに一瞬の隙に噛まれて毒を注入されるのとどっちが怖いだろうか…あ、ヘビは巻きついて絞め殺す種類も、頭からスルッと飲み込む種類もいるから、そういうヘビの方がごめん被りたいかも。
昆虫・節足動物コーナー
(トンボ、クモ、ハチ、カマ使いのハンター)
「テイオウムカシヤンマ」
世界最大のトンボ。羽根の美しさにうっとりするが、大きさが鳥以下でよかった。でないと怖い。
クモの捕獲は実に面白い。糸を投網状に広げて獲物にかぶせるメダマグモ、粘球をつけた糸を振り回して蛾を捕らえるナゲナワグモなどびっくりするような技。
これまで色々みてきたが、一番怖かったのが最後のハチかもしれない。花の蜜や花粉を集めるハナバチのほかに、寄生バチや狩りバチがいる。
寄生バチは、産卵管で獲物に卵を生みつけ、孵化した幼虫が相手を食い殺すことで完了。
「ウマノオバチ」
狩りバチは、強力な顎と産卵管が変化した毒針を武器にハンティング、仕留めた獲物にその場で卵を産み付けるもの、巣に持ち帰って産み付けるもの、肉団子にし加工して幼虫に与えるものなど様々。毒針に刺された獲物は麻痺してゾンビとなるが、死んでおらず、新鮮なまま幼虫の餌となる!恐ろしや〜
最後は、カマキリに代表されるように、鎌状に進化した前足で獲物を挟んで食らいつく昆虫を紹介。
第4章フォーエバー・大地のハンター
外来のハンターと絶滅してしまったハンター
最後は高度なハンティング能力を身につけた残念なハンター「ヒト」がもたらした現状への警笛。
絶滅してしまった種としてニホンオオカミは常に紹介されるが、ここでは乱獲によって絶滅した愛らしいニホンカワウソの剥製と捕食のために連れてこられ生態系を崩す結果となった外来種マングースの剥製が多くを語ってくれた。
「ニホンカワウソ」
「マングース」
最後は充実のミュージアムグッズ
かわいい(?)ぬいぐるみの中に混じって、ベルツノガエルの卵ゼリーにタガメサイダー。
カエルの卵はタピオカだが、サイダーには本物のタガメエキスが入っているらしい。
そしてコオロギのおつまみ(食糧危機がやってきて食べなくてはならぬ日が来るかも…)
ワニの目、ハチ、カエルの卵プリントのタオルやマスクもかなりなインパクト。全身豹柄の大阪オバちゃんなんて可愛いもんや。
アルバムはこちら
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000115721196&owner_id=2083345
6月13日まで
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