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2021年02月24日12:10

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2/23 写真家ドアノー/音楽/パリ@Bunkamuraザ・ミュージアム

アンリ=カルティエ=ブレッソン「決定的瞬間」の《サンラザール駅、パリ 1932》と同時に、頭に浮かぶのがロバート=ドアノーの《市庁舎前のキス》で、「フランス人の写真はなんて洒落ているんだ」と言うのが私のイメージ。
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今回《市庁舎前のキス》はありませんでしたが、《オペラ座のキス》が出ています。
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二人だけ、時が止まっている。

ドアノーの写真はこれまであちこちで見ていたが、今回の展示を見て、感じたのは「Bunkamuraの展示テーマはなんて洒落ているんだ」と言うこと。テーマはずばり「音楽」と「パリ」。パリというと、私は芸術→画家たちの街とイメージしてしまうが、パリは音楽にあふれた街だと言う。作品の配列も、壁面の色もBunkamuraらしくオサレだった。(でもソファがない…)

写真は戦後、パリが解放された時から始まる。街には、アコーディオン、ヴァイオリン、打楽器で演奏するグループが現れ、そこで歌詞集が売られる。人々が集まって歌詞集を手に取り一緒に歌い出すと言うのだ。地下鉄の中でも誰かが歌い出すと自然と合唱になるという。



展示は8章で構成されていて、街角の流しの音楽家、シャンソン歌手、ビストロとやキャバレーの賑わい、ジャズとロマ音楽、スタジオやクラリネット工房の風景、オペラ、モーリス・バケとの写真集《チェロと暗室のためのバラード》、そして晩年とらえたミュージシャン、など。
全て音楽関連の写真だ。
途中で何箇所かスライドショーがあり、関連の音楽が流れている。会場に入ったすぐのところでは、シャンソンだ。私たちは、音楽を耳にしながら、見進めていくのだが、実際の音が聞こえなくても写真から音楽を感じる。
流しのアコーディオンの音色は、和音の美しさとふいごの緩急が少し物悲しいし、熱気ムンムンのキャバレーの喧騒の中での伴奏や歌はリズミカルで賑やか、狭いビストロ、穴蔵酒場で女が歌うシャンソンは気怠い。

ドアノーは職業写真家であるから、作品のほとんどは依頼を受けてのものとなっている。
パリのキャバレー文化は、モンマルトルから、モンパルナスへ。ムーラン・ルージュやシャノワールと聞くとロートレックだ。その後の中心は、サン=ジェルマン=デ=プレへ移る。
新聞、雑誌のためのルポルタージュを多く担当している。
音楽関係者との交流も親密で、名曲「枯葉」の作詞者ジャック・プレヴェールを被写体とした写真群は、その背景がパリ郊外の味わいある風景。私はこのシリーズが一番好きだった。


また、チェリストのモーリス・バケとの写真集《チェロと暗室のためのバラード》は、サルバドール・ダリと写真家フィリップ・ハルスマンのコラボ写真集を彷彿とさせる。チェロを伴にしたバケがあちこちに出没、フォトモンタージュ、コラージュを使ってコミカルに仕上げている。


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そうそう、会場最初には《共同住宅》というコラージュ作品があった。古いビルの1区画ずつに、室内の日常を撮った写真をはめて作った作品。ドアノーはこうした遊びのような作品も作るのですよ。

例えばこんな写真(今回の写真展にはありません)。
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今でこそ、一般の人たちがスマホで撮ってインスタにあげるような写真ですが、この手法の先駆けだっったのかな。やはり洒落ているね。

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https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_doisneau/
フランスの国民的写真家ロベール・ドアノーは、パリを舞台に多くの傑作を生みだし、世界で最も愛され続けている写真家のひとりです。本展は、パリの街角にあふれるシャンソンやジャズなど様々な音楽シーンを題材に1930年代から90年代にかけて撮影された、ドアノー独自の音楽的感覚に富んだ作品約200点で構成されます。2018年末から2019年春にかけて、フランス・パリ19区にある“フィルハーモニー・ド・パリ”内の音楽博物館で開催され大好評を博した展覧会を基に、日本向けに再構成した巡回展がやってきます。



気に入った作品を少し紹介。

流しのピエレット・ドリオンの写真はどれもよかった。
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横位置のアップ写真では、コンタクトシートの展示もあり、同ショットが3点あったけれど、一番不機嫌そうな顔をしているこれを選んでいる。私もやっぱりこれを選ぶかな(笑)
この年1953年の《サン=マルタン運河 冬と夜》は、夜凍る運河を船が進む風景の写真。

《サン=ジェルマン=デ=プレのジュリエット・グレコ》フォト

《レクリューズのバルバラ》フォト

《イヴ・モンタン》フォト

《マドモワゼル・アニタ》フォト

《ジャンド・ラインハルト》フォト

《バレエ 「カルメン」の衣装合わせ、イヴ・サンローランとジジ・ジャンメール》フォト

《レ・リタ・ミツコ》フォト



なんと言ってもよかったのが、ジャック・プレヴェール被写体の8作品。
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黒いモジャモジャの犬を連れて散歩、シスターとすれ違う街角。ずらりと並ぶ洗濯物を背景にタバコ燻らす船上の姿。急な階段を上がってくる上半身。簡素なカフェのテラス席で赤ワインで寛ぐ姿、等々。美しい都パリではなく、労働者階級が住む下町の景色は、写真として好きだ。



撮影可能は最後に大きく引き延ばされたパネル。
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《パリ祭のラストワルツ》フォト
1949年のパリ祭、1日の撮影を終えて、最後に残ったフィルムで撮ったものという。
パリ祭の熱気を引きずり、もう1曲と余韻をたのしみ踊る二人、、、、パリっ子と音楽と写真、いいですね。



ボーヴォワールが、ドゥ・マゴのお気に入りの席で執筆をしている写真がありましたが、Bunkamuraのドゥ・マゴには、くまがっ!

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ロックダウンを受けて、パリの本店では(抗議の意味を込めて?)こんなふうにクマのぬいぐるみが席を埋めているそうです。日本の支店でも寄り添う形で。
はやくコロナが退散して、賑わいの街が戻ってきますように。

3月31日まで

※カメラを持参したら、ポストカード1枚いただきました〜♪
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