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2020年08月12日16:37

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8/11 令和時代の超工芸 和巧絶佳展@パナソニック汐留美術館

お盆休み美術館巡り第2弾はこちら。
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ずっと前から楽しみにしていた展覧会である。

現代美術には苦手なのもあって、80年代生まれの作家さんの、やけに漫画チックだったり、やけに耽美的だったりの日本画は少し辟易。
でも工芸は期待しちゃう。なぜなら、工芸のどのジャンルもがっちがちの伝統技術あってこその現代で、まずはその技に感激するから。そして、実はいつの時代の工芸も、当時ではものすごくすっ飛んでいたデザインなはず、なので、今の時代なりにすっ飛んでいても違和感を感じないからだ。
がちがちの伝統がありながら、いつの時代も先駆。だから工芸は面白い。



申し込んでいたトークショーは、コロナ感染拡大を受けてyoutube配信になってしまった。お断りの電話が直接きた。残念だが、展覧会は予定通りでありがたい。
検温、消毒はあるが、事前予約なし。いつものパナソニック並みの人出で、入り口や最後のルオーギャラリーなど狭いところがかなり密になって焦る。
深堀隆介氏人気なのか、20代女性友人同士といった感じが多かった。旅行も帰省もできないお盆休みだものねぇ。



やっとスタンプが4つ溜まって、フリクションボールペンをいただく。コンプリートは2回目だっけ?最初はチケットホルダー、その次は付箋(これは友人よりいただく)。
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https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/20/200718/
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「和巧絶佳」とは、現代における工芸美の探求の三つの傾向―日本の伝統文化の価値を問い直す美しい「和」、手わざの極致に挑む美しい「巧」、工芸素材の美の可能性を探る「絶佳」−を組み合わせた言葉です。本展覧会では、舘鼻則孝、桑田卓郎といったそのような傾向の作品を制作し、いま最も注目されている1970年以降に生まれた作家たちを紹介します。彼らの作品はそれぞれに日本美の行方を予感させます。

第1章 和
舘鼻則孝(友禅染め、花魁の高下駄から発想を得たレディー・ガガの靴など)
桑田卓郎(梅花皮ーかいらぎーの技法、デフォルメしたポップなカラーの陶磁器)
深堀隆介(透明樹脂とアクリル絵具で立体的写実的な金魚)

第2章 巧
池田晃将(デジタル数字の螺鈿、遺跡のような?パワーストーンのようなイメージの漆工芸)
見附正康(超細密!フリーハンドで描いた九谷焼加賀赤絵の大皿)
山本茜(截金をガラスに閉じ込めたガラス截金)
高橋賢悟(アルミ現物鋳造、髑髏と小花)

第3章
新里明士(光を通す蛍手の広口大型陶磁器)
坂井直樹(鍛造、さびわびの鉄作品)
安達大悟(現代的模様の絞り染め)
橋本千毅(螺鈿と平文ーひょうもんーの漆工芸)
佐合道子(鋳込み成形の陶磁器)




注( )内は自分のための覚書で、正式な肩書きではありません。

舘鼻則孝フォト フォト


レディー・ガガの靴は恥ずかしながら知らなかった。伝統文化を現代に置き換えて再構築するって面白い。思えば、花魁や歌舞伎のデザインって当時でも突拍子ないものだったはず。

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焼成すると釉薬にヒビが入ったり、変形したり。そんな出来損ないみたいなものを尊んだ茶湯文化。だったら桑田卓郎のこれもありか。釉薬が剥がれ落ちるすんでのところの力強さに見入ってしまった。

本展で知っていたのは、「金魚掬い(救い」の深堀隆介氏と髑髏の高橋賢悟氏。

深堀氏はちょうど2年前の今頃平塚市美術館まで見に行った。大ブレイク中。
その時の日記
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1967931959&owner_id=2083345
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新作は1点のみだったが、やはりいくら見ていても飽きぬ。金魚は江戸庶民の夏の楽しみ、江戸時代の人が見たらきっとびっくり仰天、想像しただけで楽しい。

池田晃将の螺鈿はいかにも現代人という感じ。デジタル数字で思い出すのは宮島達男だが、同じように「変化し続ける、永遠に続く」といった生死、再生、輪廻を感じさせた。それが三角錐や立方体を覆っているのでまるでパワーストーンのよう。一つ欲しい…
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本展で一番気に入ったのが山下茜の截金ガラス。とにかく美しい!もともと江里佐代子さんが大好きだったので、師事したとあり納得。仏像を装飾する截金をガラスとガラスの間に入れることにより、ガラスの反射や屈折によって様々な表情を見せる。彫り出した白木の仏像に施す截金も素敵だが、ガラスに封じ込めるのもうっとり。

この作品もぐるっと360度回ってみるとどんどん表情が変わる。
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同じく、単眼鏡で食い入るように見てしまったのは、見附正康の赤絵絵付け。気の遠くなるような細い線は全てフリーハンド。イスラム風の繰り返し文様が美しく、見ているとさらに吸い込まれるよう。
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高橋賢悟の作品も印象的だったのでよく覚えている。2017年三井記念美術館の展覧会で初見。
こちらの日記
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1962743184&owner_id=2083345


そういえば、この展覧会も超絶技巧だった。現代でも多くの作家さんがしのぎを削っているんだな。世に出るには、誰も真似できない独自の技法と類例を見ない独創性か。

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新里明士の磁器は自然光の入る大きな窓辺がある展示室に置いたらどうだろう。さぞ綺麗だろうなぁ。蛍手の湯飲み茶碗は確か家にもあった。それには釉薬がまったりかかっていたからちょっと違う印象だが、分厚い所と薄くなったところの光の透過が違って綺麗だった。
それにしても無数に穴が空いて、薄くて、大きくて、口の広い磁器、どうやったら割れずに焼けるのだろう。


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山本茜の作品と同じくらい気に入ったのが坂井直樹。鉄の「たたずまい」が素晴らしくて、その線を何度も視線でなぞった。静かで強くて美しく清い直線と曲線。智美術館で個展をやったならさぞズバらしいだろうと夢想。

安達大悟の作品はまるで間仕切りのように使われていて面白かった。
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それにしても金沢で修行したり制作する作家さんの多いこと。京都も工芸の都だが、金沢の方がより自由な空気なのかな。板締め絞りという伝統技法だそうだが、まるで電波?デジタルの何かを想像させられる模様が面白い。

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現代的な池田晃将と対照的に伝統的な漆工芸の橋本千毅、サントリー美術館で国宝を拝観してきた後だけに、橋本氏へ軍配が上がる。
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小さな作品ばかりだが、美しさの全てがここに凝縮しているような濃さ。目を皿にしても見切れていないようなもどかしさを感じるほど。いつか国宝を作るかな。



最後は佐合道子の作品。これまでの工芸とはちょっと違うジャンルに感じたのは、その技法よりも込めた想いのパワーのせいかもしれない。
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なんだかよくわからない生のパワーのようなものが、うねうねと湧き出てきて圧倒される感じ。
振り返れば、12名の作家、それぞれの個性が炸裂して一括りにはできない展覧会。「和巧絶佳」という聴き慣れない造語?でケムに巻いたか。見応えありました。今後のために作家名を覚えておかなくちゃ。


9月22日まで。

アルバムはこちらhttps://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000107145072&owner_id=2083345
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