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2020年06月17日16:02

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6/14 画家がみたこども展@三菱一号館美術館

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フライヤー、メインビジュアルがゴッホ描く赤ちゃん。太ったオッサンか?と見紛うインパクト、生命力の強さガンガンで可愛らしくもない。ゴッホ苦手な私はかなり引く。


そういえば2014年森アーツセンターギャラリーで見た「こども展」のメインビジュアルもルソーのおばちゃん子供でインパクト大だったっけ。しかし、この時の「こども展」よかった。(こちら


2014年のこども展は19世紀から20世紀まで、画家がどんなふうに子供を捉えて描いていたかを紹介する展覧会だったが、この度の「画家がみたこども展」はそれとは違う。こどもを題材にすることが多いナビ派の画家たちの作品を「こども」をキーワードに再認識していこうというもの。
そうそう、三菱一号館美術館は、過去にも「ヴァロットン展」(2014年)「オルセーのナビ派」(2017年)展などいい展覧会があった、ナビ派に強い。折しも今回は開館10周年記念展だ、力が入っている。


が、やってきたのはコロナ禍による突如の臨時休館。いつ再開かを何度もはらはらチェック、会期は最初の予定では6月7日までだった。9日から待望の再開で21日までの延期が決まり、さらにまた9月22日までの延長が決まった。行政発表の勧告に翻弄されながらも広くお披露目可能となったわけだ、関係者様のご努力ご熱意に拍手、感謝、おめでとう。



再開後は完全予約制。チケットを持っていてもネットで日時を指定して申し込んでおかねばならない。小さな展示室が連なっているから、密になりやすいもの。
予約受付開始日に即予約。QRコードをプリントアウトして持参。検温、体調申告、消毒して入場。ロッカーは使用可。

11時から12時の間に入場する枠を取ったが、すごく空いていて快適。小さな展示室はすべて独占状態だった。1時過ぎに退場した頃は若干人が入ってきて、本日の予約はすべて満員の札がかかっていた。知らない人が来て尋ねていたが、予約なしの場合はキャンセル待ちがでた場合のみ入場できるらしい。
一枠に何人入場可なのだろうか。美術館によって違うと思うが、知りたいところだ。



内容は、おとなしめながら、いい作品が多かった。親密な題材、優しい色遣い、ほっこりできる作品が多い。難しいことを考えずに鑑賞できる。フランス、ル・カネのボナール美術館全面協力なので、ボナール、ドニ、ヴュイヤールが充実、三菱所蔵のヴァロットンがアクセントになり、ミュラー、マイヨールも逸品。親密となれば犬猫の登場も多く、ボナール3点やミュラー1点に猫登場には満足(ポスカが少なく残念だったが)。
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https://mimt.jp/kodomo/
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2020年に開館10年目を迎える三菱一号館美術館は、丸の内に位置する美術館として都市と芸術のかかわりにスポットをあてた企画や、建物の特性を活かした親密なテーマによる展覧会を数多く開催してきました。10周年を記念する本展では、19世紀末パリの前衛芸術家グループ「ナビ派」の画家たちが追求した親密なテーマの中から「子ども」に焦点をあて、都市生活や近代芸術と「子ども」との関係を検証します。フランス、ル・カネのボナール美術館の全面協力のもと、国内外の美術館および当館の所蔵品から、ゴッホ、ボナール、ヴァロットン、ドニ、ヴュイヤールらナビ派を中心とした油彩・版画・素描・挿絵本・写真等約100点により展覧します。


プロローグ 「子ども」の誕生
1 路上の光景 散策する人々
2 都市の公園と家族の庭
3 家族の情景
4 挿画と物語、写真
エピローグ 永遠の子ども時代




モンヴェル《ブレのベルナールとロジェ》フォト

いきなり飛び込んできたあまりにも可愛い絵。フラットな画面とぎこちない仕草が幼い可愛らしさを強調している。当時既成子供服はなく、高価なものなので、兄弟お揃いが多かったらしい。水兵さんの服は人気。



マティ《室内の子どもと女性》フォト

奥ではお母さんたちが忙しそう。少年は退屈なのかな。金色の短髪に黒い服、聡明そうな少年。



カリエール《病める子ども》フォト

はぁ〜また絵の前で涙腺が緩む。当時は子供の死亡率は高かった。母の頬を触る左手、右手は力なくだらんとしていて、ますます哀しい。

ルノワール《ジュヌヴィエーヴ・ベルネーム・ド・ヴィエール》フォト

ちょっと腕が太すぎるやろのツッコミをしたいが、顔の可愛らしさは天下一品。ミニチュアおままごとでお茶を入れてくれるのかな。

ボナール《小さな洗濯女》フォト
展示は下図の方で、犬の位置がまだ決まっていなかった。左腕にかけた洗濯物のかごが重そうな後ろ姿、このシルエットの描き方がうまい!



ヴュイヤール《赤いスカーフの子ども》フォト
手を引く父親の姿は半身と顔がなく、後ろ姿からの絶妙な切り取り方のスナップショット。子供の背に合わせて前屈みになる男の姿で、子供の小ささとおぼつかない足取りを知る。赤いスカーフ、かわいいね。



ヴュイヤール《乗り合い馬車》フォト
お揃いの帽子、お揃いの洋服で馬車の中から外を眺める姉妹の後ろ姿。はっきり描かれていないのに、爪先立ちして窓を覗き込むポーズがわかる。お出かけは楽しい。



ヴァロットンの版画10点は撮影可フォト

ヴァロットン《女の子たち》フォト

ヴァロットン《1月1日》フォト
ナビ派の子供絵のなかでもヴァロットンだけは特殊、毒がある。この絵もよくよくみると警官が貧しい男を連行しているところに子供が興味津々で群がっている図。子供の純粋無垢であるが故の残忍さ。



ボナール《ル・グラン=ランスの家族》フォト
人との間隔が空いた(ソーシャルデジスタンスではないのだが)横長の絵だからこそ、それぞれが思い思いにゆったり楽しんでいる雰囲気が伝わる。庭は外界から保護された閉じられた空間なのだ。子供たちにとって自由に動ける安心な楽園。



ドニ《赤いエプロンドレスを着た子ども》フォト
メインビジュアルにもなって、見たかった作品。絵本のよう。美しく優しい中間色。グレーとピンクの配色が綺麗。なんと愛くるしい!西洋の子供はエプロン、そしてタイツ、この定番衣装も絵本で見て憧れの可愛さだったなぁ。板絵だったため、壁掛けでなく、ショーケースの中の展示。

ドニ《雌鳥と少女》フォト
西美でお馴染みの絵。ドニは「美しきイコンのナビ」といわれて、子供に神聖さを見る。縦長、祈りのポーズは聖母像を意識。

マイヨール《山羊飼いの娘》フォト
今回改めていいなとおもったのがマイヨール。印象派風の色使いだが、すこし現実離れした感はマイヨールならでは。

ヴュイヤール《公園にて、麦わら帽子》フォト

公園あるある!の絵。もたもた、ぐずぐず、どろどろの好き勝手な子供にちょっとうんざりなお母さんの表情。腰に手を当てて、内心「もう毎日三密避けて公園、うんざりだわ。はやく学校再開してほしいわ」の独りごち。母のスカートのストライプと子供の麦わ帽の渦まきが効果的

ミュラー《ピクニック》フォト
三羽のアヒルがいることで「絵本感」がアップ。

ボナール《家族の情景》フォト
ボナール展なら、服の平坦な格子模様や縦長の構図に浮世絵の影響やらの解説がつくところ。大正時代日本の小説の挿絵です、と言われても騙されそう。



ボナール《子どもたちの昼食》フォト

ボナール《猫と子どもたち》フォト

もう1点、画像はないが 《ランプの下の整ったテーブル》にも猫が登場。食卓のところでボナールの猫はいつもちょこんとお相伴している。どの絵もそうで、どの絵も素敵だ。食卓+子供+猫の絵はいい。

ドニ《子供部屋(二つの揺りかご)》フォト
《赤いエプロンドレスを着た子ども》と並んで、今回のお気に入りはこちら。文句なく幸せな絵だと思いませんか?



ラコンブ《立つシルヴィの肖像》フォト
スカートをつまんで可愛い仕草、でも顔はちょっと強張って…そんな子供の時の写真あるあるです。背景のたんぽぽや花が可愛らしくも低彩度で少女のドレスを強調

ミュラー《猫と小さな少女》フォト
猫が描かれる作品は必ずググる(笑)かがむ少女の姿勢が愛らしい。猫が好きなのね。

ミュラー《紙提灯》フォト
ミュラーの人物は大抵顔を伏せて表情が曖昧。だからすこし現実離れしたところがあるけれど、これは心憎いなぁ。好きな作品。

ボナール《雄牛と子ども》フォト

ボナール《サーカスの馬》フォト
戦争が始まり、ボナールは今までのような子供の絵を描かなくなった。子供といる雄牛の表情は悲しげだし、サーカスの馬も哀愁がある。どちらも胸を打つ。

この展覧会、しみじみと好きだなぁと思える絵に出会えました。ナビ派が好きな人はもちろん、絵本の世界が好きな人も楽しめるような気がします。会期延長しましたので、ぜひ。9月22日まで。

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