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2020年02月14日21:14

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2/12 永遠のソール・ライター@Bunka muraザ・ミュージアム

チケットはマイミクさんから1枚いただき、金券ショップから1枚買って、スタンバイ。9日に「日曜美術館」で紹介されてしまったので、混むと嫌だなと思っていたら、平日のせいか空いていた。ほっ。

美術館へ行くと、日本は本当に老人大国なんだなぁと思う。70代80代に受けそうな美術展はいつも混んでいて、若者に人気の美術展はアニメ系以外比較的空いている。私はどっちもO Kの無節操派(笑)

さて、ソール・ライターは3年前開催の展覧会を観に行っている。その時も興奮して長々と日記を書いている(相変わらずの稚拙な文章で恥ずかしい限り)。重複した内容は避けたいので、こちらをご覧ください。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1960860208&owner_id=2083345

ソール・ライターの晩年は一線から退き、毎日自分の身近なものを撮り続けていたようで、名声を求めないその生き方が多くの人の共感を呼んで映画にもなっているが、一方では、撮った写真の多くがカラーポジのまま数千点も残されていて、目下、ソール・ライター財団がアーカイブ化を進めているらしい。そういうことで、回顧展としては異例の速さで再度開催されているわけだ。初出作品が130点というから楽しみだ。

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https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_saulleiter/
1950年代のニューヨークが鮮やかに蘇る。伝説の写真家、ソール・ライターの作品展示会が、渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催される。
2017年に同じくBunkamura ザ・ミュージアムで日本初の回顧展が開催され、大きな話題を呼んだソール・ライター(1923–2013)。2回目となる今回の展覧会「ニューヨークが生んだ伝説の写真家 永遠のソール・ライター」では、2017年の開催以降に発掘された膨大な未整理資料の中から、モノクロ・カラー写真、カラースライドなど、数多くの作品を厳選。最新のデジタル技術によってアーカイブ化された、ソール・ライターという不世出の写真家の、創作活動の秘密に迫るまたとない機会だ。
1950年代から、ニューヨークでファッション・フォトグラファーとして活躍していたソール・ライターは、1980年代に表舞台から一度退く。その後、2006年にドイツのシュタイデル社から出版されたカラー作品集「Early Color」が世界的な反響を呼ぶ。1948年から1960年にかけてニューヨークを中心に撮影されたストリートスナップで構成されたその1冊は、写真業界にとどまらず各界から大きな反響を呼び、ソール・ライターの名が再び脚光を浴びることに。御年80歳を超えて、いわば衝撃の世界デビューを果たした伝説の写真家なのである。
今回の展覧会の第1部「ソール・ライターの世界」では、この「Early Color」によって“カラー写真のパイオニア”と称されるようになった、世界初公開のカラー作品を筆頭に、2017年開催時には紹介できなかったモノクロ・カラーの代表作や未発表品など、およそ200点が展示される。キャリア初期にファッション写真を手がけていた彼の色彩センスによって、当時のニューヨークの街や人々が醸し出していた空気感を捉えた作品群は必見。これが70年も前の世界とは思えないほどの鮮やかさと美しさに感動するはずだ。
また、第2部「ソール・ライターの仕事場をたずねて」では、カラー作品だけでも8万点と言われるソール・ライター全作品のアーカイブ構築を目指す「ソール・ライター財団」によるプロジェクトの一部を紹介。2013年の死後、ソール・ライターが40年以上にわたって暮らしていた住居兼アトリエでもあったニューヨーク・イーストヴィレッジのアパートに残された、膨大な未整理作品や資料の発掘作業は、今もなお現在進行形で続けられており、今回はその様子の一部を公開することで、作品の世界観をより深く知ってもらうという取り組みとなっている。
2017年開催時には見ることのできなかった未発表作品も多数展示される「ソール・ライター展」が再び。前回も足を運んだ人はもちろん、彼の作品に初めて触れるという人も、美しい写真の数々をじっくり堪能してほしい。



3年前魅了された赤い傘のシリーズもまた登場。嬉しくなる。
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写真らしくない平面的なモノクロの図に赤色がポイントとなっている。前回日記でも、ジャポニズムだ、浮世絵だとその影響を言ったが、すぐ連想したのが、川瀬巴水の版画↓だった。
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そして、図柄は似ていないが、傘の魅力で言えば、小村雪岱↓も思い浮かぶ。
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雪や雨には情緒があり、傘はそこに詩的なリズムを刻んでくれる。だから見ていて飽きない。
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今回のメインビジュアルも傘。これもいいなぁ。

でも、写真ならではの面白さは「ガラス」。ソール・ライターの写真の特徴の一つは、ショウウインドウなどのガラスの映り込み、それと窓ガラスに当たる雨粒や結露の水滴の面白さ。
ショウウインドウに映る景色とウインドウの中の商品はまるで多重露光のように時空を超えた不思議な世界を作る。
雨粒や結露で濡れた窓ガラスを通せば、画面は滲んで水彩画のようだったり、ソフトフォーカスがかかったようになったり。
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日曜美術館では、ソールの写真の特徴は「ガラス」「ポイントカラー」「1/3構図」の3点だという。モチーフに傘や雨粒、水滴、雪を用い、ガラスの映り込みを使って、画面の1/3のところに見せたいものを凝縮させて、差し色を入れれば、ソール風の出来上がり。特に赤の差し色は効果的だ。
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これは全体がモノクロームの中、左上端の水色のスカートに目がいく。
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スナップ写真は、巨匠と言われる写真家が撮ったものでも、あまりにも普通の日常を切り取っていたりすると、あ、それなら自分でも撮れそうと思ってしまうところが危ない。ソールの写真は特にそうだ。
重たいものを前ボケで配置する構図、画面を分断するような構図、意図的に覗き込むような構図など初心者のマニュアルでは失敗のはず。
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ところが、どういうわけだかいい。いや、これは本当は失敗っていうのでは?と思うようなものもあって、本当のところよくわかっていなかったりする(正直に告白)。それは素人の私が見る目がないからなんだろう。
いずれにせよ、天才的感覚でバランスが絶妙なのか、撮影者の何かがプラスされているのか、凡人が真似して撮ったものと違う事は確かなようだ。(そんな思いもあり、前回も今回もグッと堪えて写真集は買わなかった。下手な真似をしそうで怖いから)

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それから、ソール自身はもともと抽象画家を目ざしていたというのもあって、写真がとても絵画的なのも特徴だ。モノクロ主流の当時の写真界で色彩にこだわった。私が好きなボナール、マティスを愛していたというから、私がソールの写真も画家としてのソールも好きになるのは自然な事だった。

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これは《モンドリアンの労働者》というタイトルがついていたが、クレーと言ってもいいな。
ミロのような弾んだ写真もある。

しかし、モノクロもすごくいい。展示室1枚目の写真がこれ《ニューヨーク》だった。
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すごく小さくプリントしてあったが、1発目にガーンときてしまった。

今回とても気になったのは、妹デボラとパートナーソームズの写真。いずれもモノクロだ。厳格なユダヤ教聖職者の家に生まれたソールにとって妹デボラだけが良き理解者だったというが、デボラは20代で精神病発症、生涯施設で暮らしたという。パートナーソームズとは40年連れ添っているが結婚はしていないようだ。
写真が対照的。モデルとの距離が全く違うのだ。ソームズはとてもいいパートナーだったのだろう、愛猫を抱く写真もあり、微笑ましかった。でもデボラは…息が詰まるような距離の近さ、写真に兄妹の絆に思いを馳せる。
デボラ  
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ソームズフォト

会場には写真作品だけでなく、コンタクトシートやソールが偏愛していたという名刺大の写真(スニペット)、それからソールのアパートの壁の装飾をも再現してあり、これだけは撮影可であった。まるで画家のアトリエのようだね。
スニペットフォト

アパートメントとの壁の再現
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ハッとしたのは、《ソームズに愛を込めて》と題してインクで描かれた9枚の作品。まるで墨画のようだ。即興で描いたような禅画の趣き。素敵だ。こんな作品を見られる写真展もそうそうないだろう。

愛猫たちを写した写真も9点あった。覚書で日記を作成
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1974647511&owner_id=2083345


3月8日まで


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