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2020年01月25日21:43

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1/24 〈対〉で見る絵画@根津美術館

根津美術館に来たのはいつ以来だろう。リニューアルオープンの時以来かしら。ずっとチェックを怠っていたら、さくら☆さんが「これ、面白そうよ」と教えてくれた。チラシを見てみると、確かに面白そう。いいことを教えてもらった。

日本の絵画には左右対のものが多い。屏風などは二曲一双、六曲一双など右隻と左隻で一組のものがい多いし、掛け軸も二幅や三幅で組みになっているのものある。屏風は左右入れ替えできるのもあると聞くし、掛け軸はいくつまで組み合わせがあるのだろうか。知らないことを知るチャンス。
さくら☆さんより一足先に行ってきました。差し支えあったら、後で読んでね。
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会場は中国人が多かった。そうか、翌日から春節。渋谷から表参道を観光、そして根津美術館に足を伸ばすとはシブい。館内撮影禁止を知らないで注意される人が多かった。東博などは撮影できるからね。殷時代の青銅器コレクションを熱心にみる中国人も。我々日本人がボストンに行って歌麿を見るような気持ちかな。

http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html
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東洋の絵画には、2幅対(ふくつい)や3幅対など、複数の掛幅からなる対幅や、右隻と左隻で1双となる屏風など、〈対〉で成り立つ作品が数多くあります。対幅は全体としてだけではなく、単幅や異なる組み合わせでも鑑賞できる性質をもっています。そのため、伝来の途中で4幅対が2幅ずつに分割されたり、あるいは逆に別々の作品が組み合わされて対幅に仕立てられるということもありました。
この展覧会では、「〈対〉で見る絵画」の各幅・各隻相互の連続性や独立性、対比のおもしろさや全体の完結性など、その見どころの多様さをお楽しみいただきます。絵画と同じように、刀装金具に表された対の図様にもご注目ください。


1 二幅対
双幅ともいう。表装は同じ裂を使う。一つの主題を持ち、異なる時間や空間を描くので、空間の取り方に配慮する。

狩野山雪《梟鶏図》フォト
とぼけた表情の梟の目はアサッテの方向を見ている。鶏は険しい目つきで対照的。夜と朝、松と竹、曲線と直線を対比させたユーモアあふれる作品。梟の顔が可愛い。

谷文晁は《離合山水図》
離合幅というのは、並べてかければ風景が繋がるが、一幅ずつ単独で見ても十分鑑賞に耐えるもの。
バリエーションが楽しめるのね、と感心していたら、池大雅の5幅《寿老・四季山水図》は、春秋、夏冬2幅ずつでも良し、真ん中に寿老人を置いて3幅にしても良し、飾るスペースに合わせてどうぞ、というものだ。谷文晁も池大雅も人気がある理由がわかる。


2一双の屏風
屏風は二曲(扇)、四曲、六曲、八曲とあり、左右隻で一双となる。最も多いのが、六曲一双、二曲一双で、大抵は左右の隻を入れ替えることができる。地平線や水平線をつなげるのは建具としての安定感をだすため。

雪村周継《龍虎図屏風》フォト
東の龍、西の虎はセット、強さの象徴で武士に人気。雪村はうまいなぁ、勢いがある。龍の形と虎の姿勢、波しぶき、スピーディに呼応

《吉野龍田図屏風》フォト
吉野の桜と竜田川の紅葉も鉄板のセット。群青の小川がつながっているので統一感あり

尾形光琳《夏草図屏風》フォト
上の琳派は1隻でも飾れるが、こちらは入れ替え不可、是非セットでどうぞ!というもの。右から左に晩春から初夏にかけての草花。


3工芸における〈対〉

刀装具によく対が用いられている。洒落ているのは龍虎を花のリンドウとユキノシタで表していること。リンドウは漢字で書くと竜胆だから龍、ユキノシタは虎耳草で虎、強さの象徴の刀にあえて直接龍虎を描かないあたりは江戸時代の粋。


4三幅対
三幅対は、仏や仙人、伝説上の人物などを中幅に置き、左右に花鳥や山水を配する。これは仏画の三尊形式に倣ったもの。ここまではわかっていたが、中国は複数対で、三幅対は日本独特のものだとは知らなかった。室町から江戸にかけて流行った。

中幅に格調高い画題を持ってくるので表装も左右より豪華にする場合もあるとのこと。さくら☆さんから聞いたのだが、普通の掛け軸には上下の裂(一文字)があるが、格が高くなると左右にも細く裂(一文字廻し)がつくそうだ。今まで気にしてみたことがなかったのでこれを確かめてみるチャンス!

ちなみに三幅対は中幅単独でもいいし、左右二幅を対としてもいい。

7点出ていたうち、中幅に一文字廻しがついていたのは、森狙仙《龍・鹿図》
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この画像でわかるかな。中幅には縦線の枠があるでしょ。絵がグッと締まるよね。龍の猛々しさに比べて、鹿のおっとり、ゆったり平和な感じがなんとも良かった。龍と鹿の取り合わせは珍しい。

《風俗図》の三幅は、中央に禿を従えた遊女、右にかぶき風男、左に若衆で、恋の鞘当。

狩野探信《富士、育王山、金山寺図》は、左右に中国の育王山と金山寺で、真ん中が我らが富士山だった。

土佐光起《三夕図》は秋の夕暮れを歌った寂蓮、西行、定家の歌仙図。人がポツンと、背景もうっすら小さく、余白を多くとった画面はしみじみと寂しげでいい。中幅はもちろん定家。画像がないので歌だけ載せよう。

「寂しさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮れ」(寂蓮)

「心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ」(西行)

「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ」(藤原定家)


5四幅対・五幅対
四幅は春夏秋冬、五幅は五節句、八幅は瀟湘八景、十二幅は十二ヶ月。全部飾らなくても、季節に応じて飾ったり、広さに応じて決めたりしてもいい。掛け軸ってかなり合理的にできているなぁ。


6分割と再生
作者がそうした意図を持って描いたのとは別に、後世バラバラにされてしまったものもある。また、画冊などから抜いて、勝手に対に仕立ててしまったものもある。残念な話だが、これもまた後世の人の審美眼で決めたものとして鑑賞するのも面白かろう、と。
ああ、この片割れは当時のどさくさの中どこに行ってしまったんだろう、とか、それが古民家から見つかったとか、そんなニュースを聞くことがあり、これもまたある意味美術ファンが胸ときめく事件でもある。


呂文英《売貨郎図》フォト
根津美術館所蔵はこれと小鳥を売るもう一点。あと2幅は藝大美術館にあるという。あ、藝大ではないかもしれないがみたことがある。
この絵はすごく楽しくて好きだ。子供相手の露店で、手前では子供が楽しそうに遊んでいる。売っているものは、色とりどりの玩具や飾り?綺麗だ。いくらみていても飽きない。
屋台の上に不思議柄の白猫発見。額に黒丸、尾黒の人面猫。

海北友松《呂洞賓・鷺・鶴図》フォト
六曲一双の押し絵屏風12図のうち3図のみ軸装。右幅の鷺がもうサイコ〜〜!六曲一双のまま見たかったなぁ。


展示室は2部屋のみだけれど、充実の内容。面白かった。


同時開催のテーマ展示では、伝狩野山楽《百椿図》が美しく楽しい。
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寛永年間に椿の品種改良ブームが起こったそうだ。江戸時代には、朝顔や花菖蒲など園芸ブームが多かったよね。百の園芸種を趣向を凝らして活けた図に、当時著名人の讃がそえてある豪華絵巻。
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花瓶に飽き足らず、文箱や硯箱、塵取りや茶托に活けたり、竹籠や風呂敷に花弁だけ盛ったり。そして、干支のネズミも登場。

この展示室では、干支の鼠にちなんだ作品も展示。

河鍋暁斎《鼠獅子舞図》フォト
鼠は大黒様の使いだから縁起がいい。大国様を暗示する大きな袋の前で、鼠が獅子舞。これがめちゃくちゃ可愛い。

冷泉為恭《鼠打出の小槌行列図》も画像は見当たらなかったが、隊列組んだ鼠たちが打出の小槌持ち上げてこちらに行進してくる図は可愛かった。応挙の鼠が素晴らしかったのも言うまでもない。

そして最後は《鼠短檠(たんけい)》フォト
江戸時代のあかり道具だが、灯芯ひたす皿の油が減ってくると鼠の口から油が滴れて自動給油するからくりもの。マイミクさんが欲しいと言っていたっけ。確かに欲しくなるね。


2月11日まで


久しぶりにきたから庭を散歩したかったが、膝がまだまだ痛くてダメなので、入り口で諦めた。う〜ん、すごく残念。

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冬の庭のしつらえで、藁で編んだ可愛いこれらがあちこち。よく牡丹の霜除、雪避けにかざしてあるのはみるけれど、恥ずかしながら名前を知らなかった。調べてみたら…

わらぼっち

なんて可愛い名前!


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