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2020年01月06日19:54

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1/5 パッション2020 今みておきたい工芸の想い@東京国立近代美術館工芸館

金沢に移転することが決まり、この展覧会がここでの最後となる。
近美にはよく行くのに、その先長い坂を登ってここまでくるのは稀。近美の常設展を見るだけでも相当な量だし、土日は近隣に食事するところがないのでつい午後から出かけてしまうため時間がないのだ。
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それでも、素晴らしいゴシック建築の旧近衛師団司令部本庁舎を見るのは楽しく、興味深い展覧会の時に何回か出かけた。
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いよいよここでの展示も最後となると混むだろうから、無料日の第1日曜日に出かけることにした。正月2日は東博、3日は写真美術館、4日は東京富士美術館、5日は工芸館と年明け連続4日の美術展三昧となった。

工芸館目に巨大な作品フォト

懐かしいドアノブフォト

レトロな内装フォト

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https://www.momat.go.jp/cg/exhibition/passions2019/
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工芸を「パッション」の語とならべて考えることは、もしかしたらふだんはあまりないかもしれません。なぜなら工芸に注がれるパッションは姿かたちや質感にすっかり溶け込んで、むしろ背景の諸事情をいちいち分析する間もなく味わえるよう整えられてきたからです。しかし何を選び、未来へとつなげるのかを考える今、工芸に託されてきた知恵と愛とを見過ごしてしまったらもったいない!
 来年はいよいよオリンピックイヤー。世界との出合いは国際的な視野を広げるだけでなく、私たちの内側に目を向ける好機でもあります。日本の近代は工芸をとおして何を感じ、想いを託してきたでしょうか。作家の言葉や活動・出来事から20を抽出し、それぞれの局面に浮かび上がるパッションをご紹介します。

日本人と自然
オンステージ
回転時代
伝統⇄前衛
工芸ラディカル


「セルフガイド」というミニ図録を先着2万名に配布。この冊子、500円位で売ってもおかしくない、かなり立派です。会期末には無くなってしまうかも。美しい印刷で、帰路にじっくり読んだら含蓄がある言葉の数々。「工芸」という分野が、鑑賞目的に純粋に作られた美術品に対して、精緻で超絶な技巧で装飾を施してはいるもののあくまでも実用品から発した品であるという分野であることの「葛藤」を改めて考えさせられた。

それは、ちょうど2時から始まったギャラリートークを聞いても思ったこと。研究員さんのお話は、きっと真面目な方なのでしょう、正確を期すためややもったりしていて、不真面目な私なぞは途中で飽きてしまったけれど、なるほどと思うこと多々あり、勉強になった。


明治期の工芸作品は、藝大美術館や泉屋博古館、三井記念美術館などで見ることも多く、最近は超絶技巧などともてはやされているけれど、開国した日本が世界で独立した国家として認められるために「独自の美術」を確立しなければならなく、その中で伝統的な「工芸品」をどのように「美術」に昇華させようかと苦悩し、創られてきたものだったのだ。

そもそも「美術」という言葉は翻訳語で、日本の概念になかった。日本の美術品らしきものには、把手がついていた(襖)り、畳めた(屏風)り…。西欧の価値観に照らし合わせた時、こぼれ落ちたものを中国の古書から引き、「工芸」と総称したとのこと。
工芸は、美術よりも下のものという位置づけであった。西欧ではジャポニズムが流行り、日本の工芸は人気であったけれど、芸術とは認められなかったらしい。明治黎明期、近代化に躍起になっていた日本政府は「美術がなければ文化がない」と「日本文化」を作るのに必死だった。


それをなんとかしようとしたのが、今で言う工芸作家たち。帝展に新発想の作品を出品し物議をかもす。そして、その変遷のなかで世界に認められたのが鈴木長吉の《十二の鷹》
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皆が一羽ずつ写真を撮っているのがおかしいフォト

今回、私がすごくみたかったもの。フォト

パリ万博で金賞をとり、最初は「工芸館」で展示されていたのが「美術館」に移転の快挙となった。
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十二羽の鷹狩の鷹、一羽一羽に個性があり、生き生きとしている。そして美しい!用途はなくとも「飾りたい」作品こそが「美術」という条件を満たしている。「日本の美術」が認められたのある。

そこでパッション!同じ部屋に飾ってあったのは、小名木陽一の《赤い手袋》という1976年の作品。
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巨大な手袋は織物でできている。タピスリー復興を目指したビエンナーレに出品。その時の小名木の言葉が「セルフガイド」に載っている。「(他の工芸家たちの作品が現代美術化しているのをみて)手工芸的織技法と惜しげもなく絶縁し、織のみが持ちえた生活反応を抹殺してしまった」
この2作品が同部屋にあることはとても示唆に富んでいて、面白いと思った。
《十二の鷹》から83年後、工芸のあり方は揺れ、その後もずっと多くの作家たちが問いかけ、道を探り、伝統を受け継ぎ前衛に進めて、今にあるようだ。それが時系列的にわかる展示、なかなか奥深く、有意義だった。

写真はアルバムに載せました。よかったらご覧ください
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000106581201&owner_id=2083345

その中から一部ご紹介

福本繁樹《四曲屏風 巴》フォト

松田権六《蒔絵鷺文飾箱》フォト

加藤土師萌《緑地釉裏金彩飾壺》フォト

高橋禎彦《Arc》(一部)フォト

3月8日までフォト

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