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2020年01月05日21:19

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1/4 フランス絵画の精華@東京富士美術館

正月2日は東博「博物館に初もうで」、3日は東京都写真美術館無料日、そして4日は八王子の富士美術館。5日も近美工芸館無料日を予定しているので、毎年恒例の4日連続の美術館三昧のお正月です。

さて、八王子はちと遠い。9時半に出て美術館着は11時時少し前。早ランチをレストランで済ませ、企画展をたっぷり2時間、カフェで休んで所蔵品展を、これまで見てないものを中心にさくっと。
特集の「時代を拓いた女性フォトグラファー」がなかなかの充実ぶりだったのだが、華々しい絵をお腹いっぱい堪能した後だったので、勉強したかったが頭が回転せず残念。充実の観覧。
気づけば3時半。帰宅して5時である。せめて八王子の駅前なら気軽に来られるのだが。


「ルネ・ユイグのまなざし フランス絵画の精華 大様式の形成と変容」
https://www.fujibi.or.jp/exhibitions/profile-of-exhibitions/?exhibit_id=1201910051
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本展では、ヴェルサイユ宮殿美術館やオルセー美術館、大英博物館、スコットランド・ナショナル・ギャラリーなど、フランス、イギリスを代表する20館以上の美術館の協力のもと、フランス絵画の最も偉大で華やかな3世紀、すなわち17世紀の古典主義から18世紀のロココ、19世紀の新古典主義、ロマン主義を経て、印象派誕生前夜にいたるまでの壮大なフランス絵画の流れをたどり、ヨーロッパ絵画の規範の確立と絵画芸術の自律的な革新をもたらした不断の芸術思潮とその源流を回顧します。
また、東京富士美術館では、開館以来、フランス絵画の収集に力を注ぎ、17世紀から19世紀の重要なコレクションを形成してきました。本展ではそれらの代表作も出品します。

第1章 大様式の形成、17世紀:プッサン、ル・ブラン、王立美術アカデミー
第2章 ヴァトーとロココ様式ー新しい様式の創出と感情の表現
第3章 ナポレオンの遺産ー伝統への挑戦と近代美術の創出
第4章 デッサン



富士美の所蔵品だけでこの企画をできそうなくらいだが、フランスはじめヨーロッパ各地の美術館から作品を借り受けている。ヴェルサイユ宮殿美術館、ルーアン美術館、レンヌ美術館、ナンシー美術館、ボルドー美術館、リール美術館、ダリッジ絵画館等等等…知らない美術館もいっぱい。それだけでワクワクする。

ヴァトーのデッサンなども充実していてその上手さに目を見張ったが、やはり大きく華やかな肖像画は目を引く。それ以前の宗教画や神話画も面白いし、風俗画も一人一人拾っていくと声が聞こえそう。可愛い少年に心和んだり、宝石ちりばめた絹の衣装はどう描いたんだろうと凝視したり。また、時代ごとに並んでいるので、最後は新古典主義、ロマン主義から、印象派の兆しが見えてくる少し前までで終わり、変遷を知る上でも興味深かった。
お正月に素通りした西美の「ハプスブルグ展」には混んでいて行かれそうもないが、こちらは相変わらず空いています。交通アクセスが良ければおすすめ。大阪、九州にも巡回するそうです。

以下気に入った絵、気になった絵をご紹介

アンブロワーズ・デュポワ《フローラ》フォト
天使が出てくる絵は多いが、天使がいかに可愛らしく悪戯っぽく魅力的に描かれているかが鍵(私的には)。時々恐ろしく邪悪な顔をしたものや、やけにおっさん臭いのもあるからね。

ニコラ・プッサン《55歳の自画像》フォト
背後には背を向けた天使が二人。これは死を暗示しているメメントモリの肖像。当時の55歳、死を意識していたのかな。

フィリップ・ド・シャンパーニュ《キリストとサマリヤの女》フォト

ニコラ・ミニャール《リナルドとアルミーダ》フォト
恋におちた二人がお互い鏡や相手の瞳に自分を映して愛の交歓。キューピットもうれしそう。

シャルル・ル・ブラン《キリストのエルサレム入城》フォト
右端、老婆と若い母親、子供が縦に並ぶ図は三世代を示す。群衆図はこういうところがお面白い。

イアサント・リゴー《自画像》フォト
なかなかのイケメン。

ニコラ・ド・ラルジリエール《ロアン大公夫人の肖像》ルーアン美術館蔵フォト
この後、所蔵品展を見に行ったら、そっくりな絵が!
ニコラ・ド・ラルジリエール《若い婦人の肖像》フォト
富士美所蔵の方が筆致を残さず細密に描いているが、同じモデル?顔だけ変えて別の人の肖像?量産した?

ナチエ《ジョフラン婦人》フォト
こちらは所蔵品展でお馴染み。
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ナチエ《ミネルヴァのモモられてピネウスと仲間を石に変えるペルセウス》
こちらはトゥール美術館蔵。メドゥーサの首を見て石に変わる瞬間の敵軍の描写が上手い!

ニコラ=ベルナール・レピシエ《ファンションの目覚め》フォト
屋根裏部屋で若い娘が起きたばかりで身支度している様子。足元にクリーム茶の猫がすりすりが可愛い。

撮影可のコーナーフォト
普通はメインビジュアルでないものが撮影可なのだが、今回は素晴らしい3点が撮影可だなんて、なんと大盤振る舞い。ポスカを買えばいいだけなのに、自分のカメラで撮るうれしさはなんなのでしょう。

ジャン=アントワーヌ・ヴァトー《ヴェネチアの宴》
フォトフォト
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他2点より圧倒的に小さいのだが、細かい描写力に単眼鏡の出番!いわゆる風俗画で男女の恋模様を描いているのだが、ドレスの美しさや表情の微妙な加減で優美。

ジャン=フランソワ(ジル)・コルソン《休息》
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愛らしい寝顔の少女と猫と小鳥。なんてファンシー。猫の顔模様がいわゆる「失敗黒白」なところが自然でいいな。時代下ってアンカー描く猫は可愛過ぎたもの。

エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン《ポリニャック侯爵夫人》フォトフォト
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5割増しで美しく描く肖像画家ルブランは文句なくいくらでも見たい、だってきれいなんだもの。麦わら帽子につけた野の花が初々しい

同じくルブランの作品は他にも2点
《クリュソル・フロランサック男爵夫人》フォト
衣装の赤と黒が目に鮮やか。気づいて振り返るシーンも胸キュンで美しさ更に2割増

《ユスーポフ侯爵夫人》フォト
結婚生活に恵まれなかった夫人、まるで森の女神のように美しい

イポリート・フランドラン《ポリテス、トロワに攻めよるギリシア軍を見張るプリアモスの息子》フォト
新古典主義アングルに影響を受けた画家。アングルに影響を受けたとすぐわかる身体描写。真横から描く斬新さが印象的

ポール・ポドリー《ウェネスの化粧》フォト
パキンとした色使いが多かった中で、ふんわりした筆致が優しく心地よく、ヴィーナスもキューピットも優美。

そして、ウイリアム・ブグローの大作が3点
《死者の日》フォト
ご主人が亡くなったのだろう、母娘の悲しみが伝わる

《バッカント》フォト
バッカントとはバッカスの女信徒のこと。酔っぱらったバッカント、ええ?ヤギの髭を掴んじゃってる??

《青春とアモル》フォト
アモルを肩車した若き娘。享楽の戒めともいうが、賛美したい美しい絵。

2時間どっぷりの展覧会。

続いて、所蔵品展の作品は、こちらのアルバムに。
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https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000106577419&owner_id=2083345

少しだけこちらでも紹介すると…今回大作は企画展に行ったせいか、肖像画の小品に素敵なものがありました。
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一方、ナポレオンの肖像画は数点、見比べると面白い。
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そして、印象派が台頭した頃のイギリスのエドワード・ウィルキンス・ウェイト《ひなぎくの野の子供たち》がとてもリリカルで素敵。たんぽぽの綿毛もあるよ。
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1月19日まで


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